Yahoo!ニュース

シンクロ日本代表、リオで強盗事件に巻き込まれないよう3か月前から「歩きスマホ」禁止

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

2016年3月からブラジルのリオデジャネイロで開催されるシンクロナイズド・スイミングのリオ五輪世界最終予選に向けて、日本代表は2016年2月12日、東京都北区の国立スポーツ科学センターで合宿を公開した。その中で井村雅代ヘッドコーチはトップ通過に向けて現地での生活と治安対策2つを明らかにした。1つはジカ熱対策として現地の殺虫剤を用意することで、もう1つが強盗事件対策として「歩きスマホ」の禁止である。

強盗事件に巻き込まれないように「歩きスマホ」禁止

ブラジルでは、携帯電話を狙った強盗事件が多発しているようで、井村ヘッドコーチは、2015年12月から日本国内においても「歩きスマホ」と、人前での携帯電話の使用を禁止しているとのこと。「癖は向こうに行っても出ちゃうから、日本にいるうちから禁止」と意識付けを徹底していると報じられていた。

「歩きスマホ」をしたり人前で通話していて、そのスマートフォンを盗むために襲われたら、生命の危機におよぶかもしれないし、非常に危険である。また「歩きスマホ」はスマートフォンの画面に集中してしまうから、注意力がなくなり、スリに遭う可能性も高い。そのような事件に巻き込まれたら、シンクロナイズド・スイミングでも良い結果も出せないだろう。

癖というよりも習慣になってしまっている「歩きスマホ」

「癖は向こうに行っても出ちゃう」とコーチが言うように「歩きスマホ」や人前での通話も癖なのだ。特に「歩きスマホ」は癖というよりも、もはや習慣になってしまっている人が世界中で多い。

電車に乗っているとき、道を歩くときはスマートフォンの画面を見ていないといられない人が多すぎる。もはや「歩きスマホ」をしないと歩けないのではないかと思うくらい習慣化してしまっている人が多い。

日本では「歩きスマホ」をしていても、そのスマートフォンを盗むために襲われるような強盗事件は発生しないだろうから、そのような危機感はないが、「歩きスマホ」は非常に危険である。

「歩きスマホ」ちょっと我慢するだけ

日本だけでなく世界中の駅でも道路でも多くの人が「歩きスマホ」をしている。「歩きスマホ」で事故に巻き込まれたり、転倒して大怪我をする可能性が高い。そして「歩きスマホ」は危険なことだと「わかっちゃいるけど、やめられない」もので、「自分だけは事故に巻き込まれない。他人には迷惑かけていないから大丈夫」と自己中心的な思考に陥る。

さらに「歩きスマホ」は自分が大怪我をするだけでなく、他人を事故に巻き込んでしまう、つまり加害者になってしまう可能性も大きい。ぶつかって、相手に怪我をさせたりしてしまうこともありうる。

「歩きスマホ」が習慣化していても、良いことなんても何もない。シンクロナイズド・スイミングの選手らも昨年12月から3か月間もかけて「歩きスマホ」をしないように習慣づけている。

人前でスマートフォンを使用しているだけで、強盗事件の標的になってしまうような治安の国だったら、別の意味で危険だから「歩きスマホ」をする人も激減するだろうが、日本はとても平和な国である。

もう習慣化してしまった「歩きスマホ」をやめるには、相当な時間がかかるだろう。スマートフォンの使用を禁じている訳ではない。「歩きスマホ」でなく、他人に迷惑をかけないようなところでスマートフォンをチェックすればいいだけのことだ。歩く時に、歩きながらスマートフォンの画面を見ることを我慢して「歩きスマホ」をやらないだけなのだ。

「歩きスマホ」の習慣をやめるだけで、両手が自由になり、姿勢も良くなり、視界が広がって、かなり歩きやすくなることに気が付く。それだけのことでも「わかっちゃいるけど、やめられない」のだろうか・・・

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事