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中国ファーウェイ:全世界で2015年に「スマートフォン1億台を突破」新記録を樹立

佐藤仁学術研究員・著述家

中国のスマートフォンメーカー、ファーウェイ(華為、Huawei)は2015年12月22日、2015 年に1年間で同社のスマートフォン出荷台数が1 億台を突破したことを発表した。 1年間に1億台ということは「1 秒に3 台のペース」でスマートフォンが売れたことになる。そして同社は2016年1月6日に2015年のスマートフォン出荷台数は1億800万台、売上高は200億ドルを超えたと発表した。

■ミドル~ハイエンドでのブランドを確立

ファーウェイのスマートフォン出荷台数は2010 年には300 万台のみだったが、 この5 年で30 倍になり、市場シェアは世界3 位、中国市場のシェアでは2015 年3 月から9 月まで連続で1 位を獲得した。2014 年末現在、 170 以上の国でファーウェイの製品及びサービスを提供しているが、他には西欧、中東や中南米などの市場で人気が高い。特にブランド認知度はヨーロッパで大幅に伸びた。そして西ヨーロッパのハイエンドスマートフォン市場(端末価格が400~500ユーロ)では スペイン、イタリア、ベルギー、スイス、ポルトガルなどでマーケットシェアのトップ3にランクインしている。

ファーウェイはミドル~ハイエンド市場でのスマートフォンが好調である。2015 年第3 四半期(7~9月)には、中国における販売価格が2,000 人民元(約36,000円)以上のミドル~ハイエンドのスマートフォンの出荷比率で33%となり大幅に増加した。現在、中国国内におけるファーウェイのTouch&Try 店舗、専用展示エリア、専用展示ラックの数は1 万を超えている。

西ヨーロッパの一部の先進国では、400~500ユーロ(約52,000円~65,000円)のハイエンドスマートフォン市場におけるシェアが60%を突破している。欧州市場で最大の中国スマートフォンメーカーにまで成長している。2015年にはHUAWEI Mate 8、 HUAWEI Mate S、 HUAWEI P8、 Honor7、 Honor7i などのフラグシップ端末を多く出し、ミドル~ハイエンド市場における地位を確かなものにした。

■世界16か所にR&Dセンター

ファーウェイではイノベーションを「長距離」と位置づけており、現在、中国、ドイツ、スウェーデン、ロシア、インドなど世界各地に16のR&Dセンターを置いている。そこで製品のコンセプト化からハードウェアスキームまで、EMUI(Emotion UI:ファーウェイが独自に開発したAndroidのユーザーインターフェース) から各種ラボ検証のサポートまで、新製品に対する技術、加工製造を向上し続けることで、市場から高い評価を得ている。同社は研究開発に多く投資しており、例えば2014 年は、通年の営業収益の14.2%を開発に投じた。また同社の特許申請件数76,687件のうち18,000件が端末と関係する特許である。

■中国ではファン育成にも注力

中国ではスマートフォンはブランドや端末自体の差別化だけでなく、ユーザーも無視できない。ファーウェイでは中国だけでなく世界各地でもファン交流イベントを開催し、ファン同士が趣味のグループを形成し、メンバーを増やし続け、1 ユーザーの口コミから出発し、ユーザーの忠誠心を高め、ファンの帰属意識を高めている。ファンクラブには登録者数は1,800 万人を超え、掲示板への書き込み総数は8,000 万件を超えている。このようにファーウェイでは中国で「強大な口コミ効果」によって、更に多くのユーザーがファーウェイファンになり、そのようなスパイラルでスマートフォン出荷台数1 億台突破に繋がっていった。

■競争激しいスマートフォン市場

現在、世界中で1年間にスマートフォンが10億台以上出荷されている。世界1位のサムスンは2014年に1年間で3億台以上出荷している。2位のAppleも2014年には1億9,000万台以上出荷している。また最近ではインドやインドネシアなど新興国でも地場のメーカーが台頭してきており、100ドル前後のローエンドのスマートフォンで出荷数を伸ばしている。ファーウェイは年間1億台のスマートフォン出荷を突破したが、世界規模で見ても、スマートフォン市場は非常に競争が激しい。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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