ドイツ:Facebook、Google、Twitter「ヘイトスピーチを24時間以内に削除」で合意

ダッハウ強制収容所

ドイツ政府は2015年12月、Facebook、Google、Twitterにおいてヘイトスピーチを発見した場合「できる限り24時間以内に削除する」ことで合意したことを明らかにした。FacebookやTwitterなど各社は社内に「専門家チーム」を設置し、ヘイトスピーチの書き込みがあった場合に、ユーザーが報告できる仕組みを構築し、内容を確認してヘイトスピーチと判断したら24時間以内に削除する。ドイツでは、ヘイトスピーチは刑法上の犯罪で、最長で禁錮3年の実刑が科せられる。

■ドイツで急増する難民

ドイツでは2015年に入ってから特にシリア、アフガニスタンからの難民が急増しており、2015年だけで100万人の難民・移民がドイツに流入している。そしてドイツにいるほとんどの移民・難民はスマートフォンや携帯電話を所有しており、FacebookやTwitterを多く利用している。携帯電話がないと生活や仕事にも支障が出てくるので、必需品である。また移民・難民の多くは母国にいた時から、FacebookやMessengerを通じて、すでに欧州にいた家族や友人らと連絡を取っており、情報を得て欧州にやってきた人が多く、FacebookやTwitterはコミュニケーションのプラットフォームになっている。

■襲撃されたFacebookドイツの事務所:「Facebook Dislike」の落書き

ドイツ北部のハンブルクにあるFacebookの事務所は2015年12月12日、約15~20人の集団に襲撃された。そして壁に「Facebook Dislike(フェイスブック、よくないね)」と落書きされた。また石や発砲弾でガラスも割られたそうだ。ヘイトスピーチや人種差差別発言のプラットフォームになっているFacebookへの怒りの矛先が向かったと報じられている。

メルケル首相も2015年9月にFacebookに対して、ヘイトスピーチ、人種差別発言の投稿について対応の強化を促していた。そしてFacebookはドイツ政府と協力してネット上でのヘイトスピーチ、人種差別発言に対して削除などを行っていくことを表明していた。

Facebookでは利用者に暴力や差別を誘因するような書き込みは認めていない。それでも利用者は本人が意図しない発言でも、それがヘイトスピーチや差別を誘因してしまうこともある。

■ドイツ、ネットで共有される日常の不安や不満

第二次大戦中にナチスによるユダヤ人やロマの迫害から、ドイツでは難民・移民に対して寛大であり、受け入れる経済的余力も他のヨーロッパ諸国よりはあるが、このような難民・移民の存在に不安や不満を感じるドイツ人も多い。またドイツ人だけでなく、以前にドイツにやってきた中東やアフリカからの移民らは、自分たちの仕事を新たに来た移民や難民に奪われるのではないかという不安を持っている人も多い。新たに来た移民や難民は生活基盤の安定のために仕事が欲しいから、安い賃金でもいいから働きたいと思っているので、以前からドイツにいた移民らにとっても脅威である。

そしてヘイトスピーチの意識がなくとも、そのような日常の不安、不満をネット上に書き込み、それに同調する人も多く、それらの書き込みは、あっという間に拡散されていく。「日常の不平不満」は表現の自由の領域かもしれない。どこからが「ヘイトスピーチ」で、どこまでが「日常の不平不満」なのか。その線引きがこれからは難しくなるだろう。そしてその判断をGoogle、Facebook、Twitterには求められるようになる。

技術やサービスの発展による情報伝達のスピードとそのプラットフォームやツールの充実は、ホロコーストで多くのユダヤ人が迫害され虐殺されたナチス時代とは比べ物にならない。

虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑(ベルリン)
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ユダヤ人が多く虐殺された強制収容所には多くの学生が見学に来る
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ダッハウ強制収容所
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