ドイツ検察当局、ヘイトスピーチを削除しないFacebookを捜査:人種差別と憎悪扇動を懸念

ドイツで、Facebookに投稿された人種差別的な発言(ヘイトスピーチ)をFacebookが削除していないということで、ドイツにおいて人種差別や民族憎悪を扇動したとして検察当局がFacebookを捜査していると報じられた。ドイツの法律家が2015年10月5日にFacebookのヘイトスピーチの書き込みへの対応について検察に告発し、ハンブルグの検察当局がFacebookのドイツのマネジャー3人に対して、煽動容疑に相当する可能性があるとして捜査を行っている。この報道に対してFacebookは正式なコメントはしていない。ドイツでは、ヘイトスピーチは刑法上の犯罪で、最長で禁錮3年の実刑が科せられる。

■急増する難民への不安。Facebookはドイツ政府と協力してヘイトスピーチ、人種差別発言に対抗

Facebookでは利用者に暴力や差別を誘因するような書き込みは認めていない。それでも利用者は本人が意図しない発言でも、それがヘイトスピーチや差別を誘因してしまうこともある。

メルケル首相も2015年9月にFacebookに対して、ヘイトスピーチ、人種差別発言の投稿について対応の強化を促していた。そしてFacebookはドイツ政府と協力してネット上でのヘイトスピーチ、人種差別発言に対して削除などを行っていくことを表明していた。

ドイツでは今年に入ってから特にシリア、アフガニスタンからの難民が急増しており、2015年だけで80万人の難民・移民がドイツに流入してくると予測されている。そしてドイツにいるほとんどの移民・難民はスマートフォンや携帯電話を所有しており、Facebookを多く利用している。携帯電話がないと生活や仕事にも支障が出てくるので、必需品である。また移民・難民の多くは母国にいた時から、FacebookやMessengerを通じて、すでに欧州にいた家族や友人らと連絡を取っており、情報を得て欧州にやってきた人が多く、Facebookはコミュニケーションのプラットフォームになっている。

■Facebookでシェアされる日常の不安や不満

第二次大戦中にナチスによるユダヤ人やロマの迫害から、ドイツでは難民・移民に対して寛大であり、受け入れる経済的余力も他のヨーロッパ諸国よりはあるが、このような難民・移民の存在に不安や不満を感じるドイツ人も多い。またドイツ人だけでなく、以前にドイツにやってきた中東やアフリカからの移民らは、自分たちの仕事を新たに来た移民や難民に奪われるのではないかという不安を持っている人も多い。新たに来た移民や難民は生活基盤の安定のために仕事が欲しいから、安い賃金でもいいから働きたいと思っているので、以前からドイツにいた移民らにとっても脅威である。

そしてヘイトスピーチの意識がなくとも、そのような日常の不安、不満をネット上に書き込み、それに同調する人も多く、それらの書き込みはFacebookの特徴である「いいね」や「シェア」であっという間に拡散されていく。技術やサービスの発展による情報伝達のスピードとそのプラットフォームやツールの充実は、ホロコーストで多くのユダヤ人が迫害され虐殺されたナチス時代とは比べ物にならない。

ベルリンのホロコースト記念碑
ベルリンのホロコースト記念碑