Google、イスラエルでカープール実験:新たな収益源として欲しい「通勤ルートの情報」

Google傘下のイスラエルWazeは、イスラエルのテルアビブで自家用車の相乗りサービスであるカープール(Carpool)の実験「RideWith」を始めたと報じられた。Googleは2013年6月にイスラエルで地図サービスを提供しているWazeを買収した。同社は2008年に設立されたスタートアップ企業でGoogleによる買収後も独立企業として存続してきた。そして2013年8月にはGoogleマップにWazeの道路情報機能を統合した。

「RideWith」はテルアビブのグッシュダン地域に通勤するの通勤者を対象としている。利用者は「RedWith」のアプリで、自宅と勤務先の間を走っている自家用車にカープールを申し込むことができる。自家用車の運転者は、Wazeのアプリで行き先が同じ方向の通勤者を探す。アプリのGPS機能を使って利用者をピックアップし目的地まで送る。相乗りできるのは1ドライバーにつき1人のみで、運転手が利用者を乗せられるのは、運転手が自宅近くから職場に行くとき、または職場から自宅近くに帰るときのみで、1日当たりの回数は最大2回とのこと。また、運転手と利用者のマッチングはWazeが行う。利用者はアプリで運転手のプロフィールが確認できるとのこと。そして利用者はアプリ経由でクレジットードから料金を支払う。利用料はガソリン代と自動車の使用に伴う消耗費用のみで、運転手への報酬は支払わない仕組みである。つまり運転手から見ると、ほとんどボランティアである。

■Googleが欲しい個人の通勤ルート情報

今回のカープールを用いた実験「RideWith」は運転手から見るとほとんどボランティアであるし、Googleにとってもカープール自体で収益が上がるようにも見えない。Googleが欲しいのはユーザーの通勤経路とその情報であろう。Googleは世界中であらゆる情報を吸い上げて、個人にカスタマイズした広告を配信している。Googleの収益の90%以上が広告収入である。そのためにGoogleは世界中のあらゆる情報を集めていきたいと考えている。検索エンジン、メール、YouTube、スマートフォン(Android)と来て、次に欲しいのはユーザーの行動の導線になる通勤経路の情報であろう。多くの人にとって通勤経路は毎日そんなに変わらない。ユーザーがどのようなルートで通勤しているのかを把握することによって、ユーザーの自宅と勤務地、通勤経路周辺でのお店やレストランなどの広告を配信したりすることが可能であろう。そこに新たな広告の収入源が期待できる。

特にGoogleはソーシャルメディアでは大きく出遅れている。ソーシャルメディアとして「Google Plus」があるが全世界で14億人が利用しているFacebookとは大きく差をつけられている。Facebookユーザーがどこにチェックインしたというような行動履歴や人間関係の把握は遅れている。「RideWith」ではユーザーがどこに住んでいて、どこに勤務していて、どういう通勤経路で、何時に出社・帰宅するのか、誰の車に相乗りして通勤するのか、といった情報を把握することによって、その人にカスタマイズした各地域の広告を配信することが可能だろう。Googleの広告収入は増収増益ではあるが、市場の予測には届いてないことから、今のうちに収益の基盤を固めておく必要がある。

■カープールで重要なのは安心して利用できるか

テルアビブはたしかに通勤ラッシュ時には交通渋滞するエリアもあるが、あえて「RideWith」アプリを用いて見ず知らずの運転手の車でカープールするほどのものでもない。利用者も運転手も、本当に相乗りして大丈夫なのだろうか、という不安もある。カープールで一番重要なのは当たり前だが「安心して利用できること」であり、その信頼構築はそんなに簡単なことではない。

果たしてテルアビブで「RideWith」の実験は成功するのだろうか。そしてGoogleはカープールから本当に新たな収益源を確保できるのだろうか。

▼通勤時のテルアビブの道路

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▼イスラエル(ハイファ)のGoogleオフィス

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*記事内で「カープール」を「カーループ」と表記していた箇所がありましたので、訂正しました(2015年7月14日)