インドネシアでAQUOS CRYSTAL発売:シャープはインドネシアのスマホ市場で戦えるのか?
2015年5月、シャープは、インドネシア市場でスマートフォン「AQUOS CRYSTAL」を発売したことが報じられた。現在、海外でシャープが販売しているのは2014年10月から販売開始した米国Sprintのみである。
2014年にインドネシアで出荷されたスマートフォンは2,840万台である。インドネシアでは地場のメーカーの勢いが凄い。2014年Q4のインドネシアでのスマートフォン市場のシェアでは上位5位のうち3社が地場のメーカーである。1位はサムスンで、4位に中国のOPPOが入っている。OPPOはここ1~2年、インドネシアだけでなくタイ、マレーシアなどの東南アジア市場で積極的なキャンペーンを行い各国でシェアを急拡大している。
インドネシアにおける2014年Q4でのスマートフォン市場シェア
(Counterpoint発表資料を元に作成)
かつてインドネシアではフィーチャーフォンの時代はノキアが圧倒的に人気で、その後BlackBerry人気が高かったが、現在ではほとんどがAndroid OSのスマートフォンである。現在では地場メーカーのスマートフォンが大人気である。SmartfrenやEvercossの他にもNexianやMitoなど有名な地場メーカーがある。日本では誰も知らないメーカーだろうが、インドネシアではテレビやビルボードでの広告などを行っており、認知度も非常に高くなっている。
インドネシア政府は2016年から輸入携帯電話機・スマートフォンの全てに対して、いくつかの部品をインドネシア国産品とすることを課して、同国産業の育成を図ろうとしていることが報じられている。さらに2017年までには年間携帯電話機の50%を国産品(インドネシア国内生産)とすることを目標としている。そして2014年末までに10以上のグローバルメーカーや地場メーカーがインドネシアでスマートフォン、携帯電話の工場を設立している。工場設立は、インドネシアでの雇用創出にもつながる。
インドネシアではiPhoneは価格が高いから人気がない。若者が多いインドネシアでは100ドル~200ドル程度のスマートフォンの人気が高い。端末選択の基準は価格である。また中古のスマートフォンも大量に流通している。
スマートフォンでインドネシア人がやっていることはFacebookやTwitterといったソーシャルメディア、LINEやWhatsAppのようなメッセンジャー、YouTubeでの動画閲覧など、どの端末であっても利用できるサービスばかりであり、iPhoneやサムスンである必要はない。そして地場メーカーの端末でもそれなりのスペックがある。
シャープはそのようなインドネシア市場で「AQUOS CRYSTAL」を3,999,000 ルピア(約 38,000円)で販売すると報じられている。インドネシアのスマートフォン市場では相当な高級品である。
果たして経営再建中のシャープは日本とアジアを主戦場にしていくことを明らかにしており、今回インドネシア市場でスマートフォンを投入してきた。インドネシアは人口約2億5,000万人の大市場で、スマートフォンも急成長しているが、すでにコモディティ化してしまっている。そして地場メーカーの安いスマートフォンが大人気であるため、これからシャープは「価格に見合うクールな端末」であることをインドネシア市場で相当に訴求していかないといけないだろう。
▼スマートフォンが普及したインドネシアでは「歩きスマホ」も問題になっている。