インドのおサイフケータイ事情とは?

(写真:アフロ)

●はじめに

日本では数年前に「おサイフケータイ」が一気に普及しました。IC チップ入りの携帯をカードリーダーにかざすと支払いを済ますことができるサービスです。一方、インドでは携帯電話を通じての支払い方法として「モバイルウォレット」が普及しつつあります。ペイティーエム(Paytm)などのプロバイダーでアカウントを開設し、デビットカードやクレジットカード、銀行口座を使ってチャージして、そのチャージしたお金でオンラインショッピングやタクシーなどの支払いができるというサービスです。ユーザーの使うメリットとしては、取引に対して手数料がかからない、カード情報や暗証番号を入れる必要がないということがあります。今回は、なぜインドでモバイルウォレットが普及し始めているのかその背景を探りたいと思います。

●モバイルウォレットの普及状況は?

モバイルウォレットは新しい概念ですが、急速に普及しています。モバイルウォレット最大手のペイティーエム(Paytm)は、立ち上げから15 ヶ月で5000 万のユーザーを集め、1 ヶ月で1600 万回の取引実績があります。また2 番手のモビクィック(MobiKwik)は前年比300%近く成長しており、1500 万ユーザーを集めています。今後は消費者がモバイルウォレットを使える場所(マーチャント)を増やす必要があります。今はオンラインのマーチャントが中心ですが、今後は日本のようにオフラインで使えるマーチャントを増やしていく必要があります。

●モバイルウォレットの対象ユーザーは?

現在、モバイルウォレットを使っている人はテクノロジーに精通した若者と想定されます。今後は裾野が広がり、田舎に住むユーザーでも使うようになると想定されます。モバイルウォレットの対象ユーザー下記の4つのカテゴリに分かれます。

1.クレジットカードを持っていて、支払い手段としてウォレットを選んでいるユーザー

2.カードは持つが、代引きを好んで使っているユーザー

3.カードを持たずに、代引きを使わざる得ないユーザー

4.代引きを使いたいが、代引きの配達対象外エリアで商品を

買えないユーザー

(Oxgen 副社長の発言から参照)

インドの場合、支払いの際に代引き(キャッシュ・オン・デリバリー)を選ぶ割合が半分以上と言われていますが、代引きの場合、商品を受け取る際に本人が立ち会わなければいけないという難点があります。また代引きが使える対象エリアに住んでいないと商品を買うことができません。そうした難点を持つ上記の3.4.のユーザーのモバイルウォレット移行へのポテンシャルは大きいと考えられます。カードを持たないユーザーにチャージしてもらうために、リチャージ・キオスクと呼ばれるチャージするための端末を設置したり、連絡すると自宅までチャージしに来てくれるサービスも始まっています。

●モバイルウォレットの将来は?

IAMAI(Internet and Mobile Association of India) のレポートによると、モバイルインターネットユーザーは2015年6月に2.13億人に到達するといわれています。インドでモバイルウォレットの普及が広がる2つの大きな要因があります。一つ目は、既存の銀行がテクノロジーやインフラという観点で機能していないため、モバイルウォレットが入り込む隙が十分にあるということ。二つ目は、インドは現金至上主義の国のため、現金からデジタルマネーへの転換するポテンシャルが大きいということです。日本とはまったく違う背景で、モバイルウォレットはインドで普及を始めており、支払いにおける一大インフラになろうとしています。皆さんもぜひモバイルウォレットを使ってみて、その利便性を感じてみてください。

こちらの記事はインドのフリーペーパーのシバンスで連載中の記事になります