インド最大手のイーコマースがウェブサイトを閉鎖?

インド最大手のフリップカート

●はじめに

今年5月にファッション大手eコマースであるミントラがウェブサイトを閉じて話題になりました。今度はミントラの親会社であるフリップカートが9月にウェブサイトを閉じる、というニュースが出て話題になっています。今回はウェブサイトを閉じるということが、いったい何を意味するのか?ということを考えてみたいと思います。

●なぜ閉じる?

背景には、モバイル(主にスマートフォン)からのアクセスの増加があります。ミントラはウェブサイトを閉じる前、トラフィックの90%、売上の70%がモバイル経由でした。日本ではウェブサイト経由でeコマースを使うのが一般的ですが、インドのeコマース大手はアプリと呼ばれるソフトをモバイルユーザーに配布しています。ユーザーはこのアプリを一度ダウンロードして、ホーム画面からアプリを立ち上げて買い物します。ウェブサイトを閉じるということは、このモバイルアプリに注力するということを意味しています。そのメリットですが大きく3つあると考えられます。

1.顧客を囲い込むことができる

アプリはホーム画面に常駐していますが、日々使うアプリの数は限られるため、一度使った顧客は継続的に使うと想定されます。また商品選びから購入までアプリ内で完結するため、他社と価格比較されづらいというメリットもあります。

2.開発リソースを集中できる

ウェブサイトをやめることでアプリの開発に注力することが可能になります。モバイルはGPS(全地球測位システム)、NFC(近距離無線通信)、センサー、決済機能など技術革新が急速に進んでおり、今後eコマースもこれらの技術に対応していく必要があります。

3.地方のユーザーにリーチできる

都市部のユーザーはパソコンとモバイルの両方からインターネットにアクセスが可能ですが、地方のユーザーはパソコンを持たずモバイルからのみアクセスすると想定されます。eコマース各社は地方に倉庫を作り始めており、eコマースの主戦場は都市部から地方へ移りつつあります。

2018年にはネットユーザーの8割がスマホユーザーに(eマーケッター調べ)
2018年にはネットユーザーの8割がスマホユーザーに(eマーケッター調べ)

●課題は?

ミントラはファッションに特化したeコマースですが、フリップカートはあらゆるジャンルの商品を扱う総合eコマースです。モバイルの小さな画面で膨大な商品をどう見せるか?商品の色や形をどう伝えるのか?ユーザーに合わせてどうパーソナライズするのか?というのは大きな課題になります。特にこれまでパソコン中心にeコマースを使ってきたユーザーからは大きな反発が予想されます。

●まとめ

実は、フリップカートはインドで一番モバイルを売っている会社です。エクスクルーシブ販売という手法で、シャオミ、モトローラ、レノボなどの携帯メーカーと独占契約し、店舗では売らず、フリップカート限定で売っています。モバイルを販売し、販売したモバイルからさらにeコマースの売上をつくる、という独自のモバイル生態系をつくりつつあります。これは他社が真似できない強みです。一方でアプリだけになった場合、ユーザーの使い勝手は課題が多く、成功が必ずしも約束されているものではありません。インドはモバイルの壮大な実験場になりつつあります。

こちらの記事は、インドのフリーペーパー「シバンス」で連載している記事を転載したものです。