スマホだけに聞こえる音声テクノロジーとは?

インクレディブル・インディア!というのはインド政府観光局のキャッチフレーズだが、インドではインクレディブル・テクノロジーに出会うこともある。それがSilverPush社の持つ音声ビーコンという技術である。SilverPush社は2012年に設立された会社で、USに本社を持ち、インドで広告配信を行っている会社である。

デジタル広告の世界では、一人のユーザーが複数のデバイス(デスクトップやモバイルやタブレット)を使ってウェブやアプリにアクセスしている場合、どうやってユーザーを特定するのかというのが大きなテーマになっている。デスクトップではクッキーというIDを使ってユーザーを特定できるが、モバイルではそれがうまく機能しないからだ。

その課題に対して、SilverPush社は2つのソリューションを持っている。一つは「デスクトップからモバイル」のターゲティング技術。二つ目は「テレビからモバイル」のターゲティング技術。

前者は、自宅で同じWifiを使ってデスクトップやモバイルを使っている場合、IPアドレスや利用時間などの情報から統計的にマッチングされる技術である。このデスクトップを使っている人は、このモバイルを使っているだろうという推定ができる。それによってデスクトップで特定の商品やサービスを探しているようなユーザーにモバイルの広告配信することができる。

後者は、音声ビーコンという技術を使う。テレビコマーシャルの中に耳には聞こえない超音波の音声(ultrasonic inaudible sounds)を埋め込む。もしユーザーのスマホにSilverPush社のSDK(Software development kit)が使われているアプリがインストールされていれば、SDKが自動で音声ビーコンを検出する。それによってユーザーを特定することができ、特定のテレビコマーシャルを見た(聞いた?)であろうユーザーに対してモバイルの広告配信を行うことができる。

音声ビーコンの仕組み
音声ビーコンの仕組み

音声ビーコンに関しては特許も持っているという。一番の問題は、彼らのSDKが入ったアプリがどれだけインストールされているということだが、インド国内では1800万台を超える台数になっているという。すでにネスレやフィリップスなどのグローバル企業がインドで利用した実績がある。現在のところアンドロイドのみ対応しているが、まもなくiOSも対応するということ。

音声という比較的アナログなところに最新のテクノロジーを持ち込んだことが興味深い。ただスマホが音声ビーコンとはいえ音声を拾っているという事実はユーザーからすると気持ち悪さも残る。

携帯ユーザーが7億人と言われ、スマホ台数が1.5億台と言われているインドだけあって、モバイル分野への投資が強まっている。

音声ビーコンのデモを試している様子