キャリアに貪欲なインド人!インド人の就職観とは?

今回は、2014年5月までインドに2年間赴任されており、日系企業向けの人材紹介サービスの立ち上げを行っていたRGF Select India(株式会社リクルートホールディングス海外法人、以下「RGF」)の関野さんにインタビューしました。

【インド人材×日系企業のマッチング事情】

ーー関野さんがRGFのDelhi事業に関わることになったきっかけを教えてください。

RGFがインドでビジネスを開始した2011年5月の段階では、リクルートが日本で買収した人材紹介会社の元社長で現在は従業員であるイギリス人社員が立ち上げに関わっていました。当時は彼以外は全てインド人による組織構成で、立ち上げから約1年はインドのローカル・多国籍企業に対しての人材紹介サービスを提供していました。その後、どんどんインド進出数が増加してきている日系企業(現在は1000社を超える)に対しても人材紹介サービスを提供していくべきという方針が加わり、僕がインドに着任することになったんですね。つまり、その時僕が与えられたミッションは『日系企業向けの人材紹介サービスの立ち上げ』ということで、2012年4月からインド駐在が始まりました。

ーーインド進出している日系企業向けの人材とはどのような人材なのか、また日本人とは異なるインド人求職者の特徴はありましたか?

日系企業のインド人求人としては、およそ半分が営業ポジションです。そして次に多いのが人事や総務系のアドミ二系、秘書、通訳などの事務系、そしてエンジニアなどの専門職系が続きましたね。インド人求職者の特徴としては、就業観ではお金が大事な位置を占めているんですよ。また、会社の知名度や規模を気にする人が多く、インド国内の有名企業や、大手外資企業の人気が高いのです。一方で日系企業は認知度が低いことが多いです。すでにインドに進出して歴史のある企業は認知度が高いことがありますが、これから進出する企業は仮に日本で有名であっても知られていないんですよね。

ーー認知度が低いことは、海外ですからなおさらネックになりますね。

そうですね。ですからインド人求職者とのカウンセリングの際には、企業様の日本における知名度や、教育制度についてもしっかり伝えています。インド人の方は、教育機会を与えてくれる企業を求める傾向も高いんですよ。ですので、日系企業は人材育成に時間とお金をかけているということ、入社してからのサポートが充実しているということ。そういった情報をきちんと伝えた上で面接に行ってもらうようにしていますね。

【これは意外!?インド人の成長意欲と、転職が多い理由】

ーーインド人は仕事への意識が低いようなイメージが強かったので、そのように教育機会が与えられることへのニーズがあることに驚きました。

『インド人が仕事への意識が低い』というのは、ステレオタイプな意見のように感じます。我々が日々お会いしているインド人材は、成長欲や上昇志向を持ち、給料を上げたい、新しい環境で成長していきたい、より価値の高い自分にしたいという人も多くいらっしゃいますよ。だからこそ日系企業の教育制度やサポート体制の充実性、安定性のメリットを伝えていますね。

ーーインド人は2~3年に一度転職すると言われるほど機会が多いですが、転職することへの意識に特徴はありますか?

リクルートグループの「人」と「組織」に関する研究機関であるリクルートワークス研究所にて、日本含むアジア8カ国における就業意識調査を行いました。その中で雇用において重要視するものを3つ答えてもらったところ、日本以外の全ての国は、最も重視することとして『給料・福利厚生』をあげました。もちろんインドもその国の一つです。転職の動機としても、給与が大きく影響します。給料が上がる機会に転職するというのが一般的なインド人の考え方です。物価上昇率も影響しますが、現職との比較で20~30%上昇することが当たり前レベルですし、転職することでこれまで最大50%上昇という事例もありました。

ーーそうして転職の機会をうかがっているのですね。

矛盾するように聞こえるかもしれませんが、おもしろいことに、もう一方で重要視していることが『雇用の安定性』なんですよ。一社に居続けて毎年10%前後上がるところより、転職の方が上昇率が高ければ転職しますよね。特に20~30代のインド人の方は昇給を目的に働く方が多いので、自分が一番高く売れる若手のうちに転職を繰り返す傾向があります。そうして、30歳を過ぎたあたりから、次は長く働ける場所を探し始めます。35歳以降は転職の機会が格段に減りますし、自分の市場価値を高めきったところで、今度は雇用の安定を求める。すごく合理的な考え方だと感じました。

ところで、前述の調査において、日本で最も重要視されていることは、「職場での良好な人間関係」。インドと対照的でおもしろいと思いました。

【インド人の合理的思考と、リクルートの文化を融合して強い組織へ】

ーー特に人材領域を扱うRGFだからこそ、インド人との関わりも深く、より知る機会も多いと思います。そのなかで苦労などはありましたか?

そうですね。リクルートグループとしては初となる日本人のインド駐在でしたから、周りに一人も日本人が居らず、苦労は多かったですね。特にインド人のマネジメントについては苦労しました。インドに来て感じたことは、インド人は合理的でやや短期的な考え方をする方が多いということ。ジャパンデスクを開始するにあたって、何度かRGFのインド人スタッフと議論をするなかでも、その合理的な思考を感じることが多々ありましたね。

ーー合理的な思考、とは?

例えば、自分としては『新しいマーケットを開拓するためには、時として損して得を取る必要性がある』、また『クライアントの満足を追求するために、インドに進出している1000社の日系企業様との長期的な関係性を構築したい』という考えがありました。しかしインド人スタッフからは『時間をかけすぎじゃないか』『結局無駄になるのではないか』のように、非合理的だと指摘されたんです。しかし、日系企業様から信頼を得ることが長期的には重要であることを、僕は一生懸命説明をしました。話し合いを重ねていくなかで、彼らも徐々に理解し納得してくれ、最後は同じベクトルで一緒に頑張ってくれましたね。

ーーなかなかその意識の擦り合わせは難しそうですね。

目標もそうですが、マネジメントでも最初は苦労しました。合理主義と関係しますが、働き方として、チームプレーよりも個人プレーを好むという特性もあります。元々インド人は働くうえでのモチベーションが個人に強く立脚しているため、必要がない限りチームワークというものを重視しません。『チームで切磋琢磨しながら共に高い目標達成を目指す』というリクルートの働き方や文化も最初は理解されなくて……。

ーーそういったジレンマの中で、何か工夫はされましたか?

個人主義の働き方の中で、毎日メンバー全員で朝礼を行い、挨拶や掛け声を皆で出し合ってみたり、、求職者の転職成功が決まる度に拍手やハイタッチをして皆で喜び合うことをするようにしました。またRGFアジア全体での取り組みでもあるのですが、チーム目標を達成したらメンバー全員で東京にインセンティブツアーにいける仕組みを創ったりしました。あとはインドで『飲み』に行く文化が少ないので、ランチを毎日一緒に食べたりして家族や友人の話をしたり、月に1回はインド人・日本人関係なく飲みニケーションをとっていました。彼らは飲まないんですけどね(笑)。インドの良い文化を学ぶ一方で、日本の、リクルートの良い文化を持ち込み融合させるハイブリッドなカルチャーを構築し成功することが僕たちリクルートの価値であると思いましたし、このようなお互いを高めあう関係性を意識して構築していきましたね。

【注目される海外就職を、もっと身近なものにするために】

ーー現在インドから帰国されたとのことですが、日本では何のお仕事をされているのですか?

セントラルジャパンデスクという部門を新しく日本で立ち上げ、日本在住で海外に転職したいと思っている転職希望者の方にアジア各国への転職機会を提供するサービスを始めています。インド駐在時は、インドで就業したいという人をインドにある企業だけへの紹介・転職サポートをしていましたが、今後はインドを含むアジア全域への転職サポートを行っていきます。海外に転職したい方がいても、みなさん情報が少なすぎることに困っていらっしゃるので。

ーーたしかに、海外転職などはインターネット検索ボリュームでも大きいものの、なかなか情報は見かけませんよね。

アジアで働きたいと言う方は、ほとんどの方が最初はシンガポールか香港で働きたいとおっしゃいます。メディアでも取り上げられることが多く認知度が高いですし、綺麗・安全というイメージもありますよね。けれど、色々とお話しをしていく中で、違う国の案件と出会い、満足のいく転職活動をされている方も大勢いらっしゃいます。まだ他の国の情報が相対的に少ないのだと思います。。豊富で適切なアジア各国情報を提供していくことにより、セントラルジャパンデスクがいろんな気づきや可能性を提案していきたいと考えています。

この記事をご覧になったアジア就業を考えている方がいらしたら、ぜひ弊社にご登録を!(笑)

【エネルギー溢れる時代に、海外で働くススメ】

ーー関野さんは、どうしてそこまで海外への想いが強いのでしょうか?

日本を出て、海外で頑張っていこうという人がもっと増えてもいいと思うんですよね。特に若いうちにアジアで働くとなると、日本では考えられない程、大きな責任と裁量を持つことになります。当然ビジネス環境が日本と比べて未整備な分、日本では当たり前にできることもなかなかできないですし、一人で考え実行する過程では悩みやプレッシャーも多く、考え方の違いから理解されずに逃げ出したくなるような場面もでてくるでしょう。しかし、その環境こそが自分自身を成長させ高めるものです。もし、日本で何かしらの閉塞感を感じる方がいらっしゃるのなら、海外、特に発展途上のアジアに出るべきだと思います。現在急成長しているアジアであれば、自分が頑張った分が、行動した分が、努力がわかりやすく実績となって返ってくる。頑張れば頑張るほど報われ、自信を付け、もっと頑張りたくなる。そんな働き方を若い人に経験してほしいと感じています。

ーー関野さんご自身が実感してきたからこそ、説得力がありますね。

もっともっと『自分はこれだけやれるんだ!』という成功体験を積んでほしいです。もちろんその過程には、文化や言語などさまざまな苦労があります。その環境で自分自身を、また他メンバーや組織のマネジメントができるような人材が増えてほしいと思いますね。そんな方を一人でも増やせるように、頑張っていきたいです!(協力・みやけよう

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