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99歳までお元気だったベティ・ホワイト:愛したのは、ホットドッグ、フライドポテト、毎晩1杯のお酒

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 アメリカが愛するコメディエンヌで女優のベティ・ホワイトが、現地時間12月31日に亡くなった。99歳。2週間後に控える100歳の誕生日には大きなイベントが予定されており、「People」誌のインタビューで心境を語ったばかりだった。彼女のエージェントは、「100歳になろうとしていたにもかかわらず、この人は永遠に生きるように感じていた」と、悲しみの声明を発表している。

 イリノイ州オークパーク生まれ。ラジオで仕事を始め、まもなくテレビで活躍するように。代表的な出演作にコメディ番組「The Golden Girls」、「The Mary Tyler Moore Show」、「ボストン・リーガル」、映画「あなたは私の婿になる」などがある。長く着実なキャリアを保ってきたが、2009年にスーパーボウルのコマーシャルに出たことや、新たなコメディ番組「Hot in Cleveland」が成功したことで、90歳にして再び人気が再燃。最近も「トイ・ストーリー4」に声の出演をするなど、まだまだ現役で頑張っていた。功労賞も含め、エミー受賞歴は8回。

 筆者は、ホワイトがアニメーション映画「ロラックスおじさんの秘密の種」に声の出演をした2012年にインタビューをしている。そのちょうど1ヶ月前に、90歳の誕生日を迎えたばかり。「この仕事を始めた頃は、90歳になった自分を想像することすらしなかったわねえ」と、彼女は微笑みを浮かべて語っていた。

「だいたい、40歳になったら女優には役がないと言われていたのよ。今もこうやって自分がお仕事させていただいていることには感謝してやまないわ。当たり前とは受け止めていない。私はとても幸運。90歳なのに、こんなに元気なんだもの。常にエネルギーに満ち溢れているから、仕事を入れ過ぎてしまうのよね。断ることができないのよ。私はこの仕事が大好きだし」とも、付け加えていた。

 健康のためにしていることはと聞くと、こんな答が。

「ランチにはサラダを食べなさいと言われる。ヘルシーなものを、と。でも、私はホットドッグとフライドポテトを食べるの。正直にそう告白すると怒られるのだけれど、『これをやってきて私は90歳まで生きてきたのよ!あなたはいくつ?』と反論するわ(笑)。それに、毎晩、帰宅をした後にお酒を飲む。でも、1杯だけよ。2杯目を飲む必要はないから。タバコは吸ったことがないし、甘い物も好きじゃない。体重を心配しなくていいのはラッキーだと思うわね」。

死ぬことは怖くない。謎の答がわかるのだから

 彼女はまた、自分が前向きであり続けられるのには、死ぬことへの考え方も影響しているかもしれないとも語っている。

「死ぬことを怖いとは思わないの。それは母の影響。私たちは、生きているうちにいろいろなことを学んでいく。でも、死んだ後にどうなるのかだけは、わからない。だから母は、誰かがお亡くなりになるといつも『ああ、この人は謎を知ったのね』と言った。そう聞くと、悲しくなくなるのよ」。

 結婚歴は3回。自分の子供はもたなかったが、死別した最後の夫アレン・ルーデンが前妻との間に授かった子供たちとは親しかった。

「彼らはみんなすばらしい人たち。私はとても仲が良いのよ。一番上の子は医者で、やはり医者である奥さんと一緒にバングラデシュに行き、そこで赤ちゃんを養子に取ったの。だから私には今、孫もいる。彼らは主にバングラデシュにいるからあまり会えないけれど、常に連絡を取り合っているわ」。

 そんな彼女は、動物をかぎりなく愛した。

「動物は私の人生でとても大切な存在。人からしょっちゅう『もしベティが子供を生むことがあれば、5匹も6匹も生むんだろうね』と言われたものよ(笑)」。

 彼女は今、天国で、愛する夫と多くの動物たちに囲まれているのだろうか。そして「ついに私にも謎がわかったわ」と微笑んでいるのだろうか。

 ご冥福をお祈りします。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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