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セレブがメーガン妃に同情、英国王室の人種差別を批判

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX/アフロ)

 アメリカが、メーガン妃とヘンリー王子のインタビューの話題で持ちきりだ。CBSがたくみにプロモーションしたことから、このインタビュー番組は現地時間7日午後8時の放映前から強い関心を得ていたが、その内容は期待を裏切らない、とてもショッキングなものだったのである。視聴率は1,700万人(アメリカではパーセントでなく人数で視聴率を表示する)と、スポーツの生中継以外では今季で最高の数字。それだけの人が見たとあれば、それだけの人がこの話をするのも当然だ。

 昨年の「Black Lives Matter」運動もあり、アメリカでは人種差別への意識が高まっていることから、メーガン妃が受けたという人種差別についての話は、とりわけ反感を買った。インタビューでメーガン妃が語ったところによると、妊娠中、彼女は、王室のメンバーから何度も「生まれてくる子の肌はどれくらい黒いのか」と言われたというのだ。生まれてくる子には肩書きを与えない、セキュリティも付けないとも言われたとも述べている。

 メーガン妃はその人物を特定するのを避けたが、インタビュアーを務めたオプラ・ウィンフリーは、翌朝の番組で、それらの発言をしたのはエリザベス女王とフィリップ殿下ではないと語った。ウィンフリーは、インタビューを振り返り、一番ショックだったのは、子供の肌の色についてのこの会話と、メーガン妃が本気で自殺を考えていたという部分だったとも述べている。

インタビューは最初、メーガン妃だけで、途中からハリー王子も参加した(Harpro Productions/ CBS)
インタビューは最初、メーガン妃だけで、途中からハリー王子も参加した(Harpro Productions/ CBS)

 衝撃は、セレブの間にも広まった。セリーナ・ウィリアムズは、「私の友人メーガン・マークルは、他人への思いやりを持つ人。そのお手本を示して生きています。真の高貴とはどういうものかを、私は毎日、彼女から教えられています」「組織やメディアが女性や有色人種を抑え込み、苦しませ、悪者扱いすると言うことを、私は誰よりもよく知っています」「勇気をもった行動をしたあなたを誇りに思います。簡単ではなかったでしょう。でも、あなたは強い。あなたも、ハリーも。あなたのことが大好き。あなたの友人より」というメッセージを、インスタグラムを通じて送った。

 一方、マイケル・ムーアは、Facebookに長いコメントを投稿。「400年前にここへ奴隷制度を持ち込んだ王国の王室内には今も人種差別があることが、昨夜(のインタビューで)見事に暴露された。彼女の子供はどれくらい(肌が)黒いのか?(中略)落ち込んだメーガンが心の病に悩んでも、王室は治療を受けさせなかった。メーガンは自殺を考え、ハリーはそこにデジャヴを見た。死んだ母が受けた扱いと同じだったからだ。だから出て行かなくてはならなかったのだ。彼の父は折り返しの電話もくれない。このインタビューは、イギリスで、コモンウェルス・デーの今日、放映される。イギリス連邦に住む人の40%から60%は有色人種だ。その人たちにとって、これ(王室の人種差別をメーガン妃が明かしたこと)はまったく驚きではない」と、ムーアは書く。そんな彼はまた、「2018年の結婚式を見た時から、あなたはこのツケを払わされることになるだろうなと思っていたよ」「お帰りなさい。ここも完璧ではないけれどね。今日、ミネアポリスでジョージ・フロイドを殺した警官の裁判が始まるんだ」と、メーガン妃に呼び掛けた。

 エヴァ・デュヴァネイは、故ダイアナ妃のインタビュー映像とともに、「強さは、混乱と恐れを引き起こす」と、勇気をもって立ち上がったメーガン妃への支持を表明。「あなたの職場にもメーガン・マークルがいます。私たちの行動を必要としている人が。今夜、#HarryandMeghanonOprahを見て心を動かされたなら、それをあなたの職場に行動で示してください」という、ほかの人のツイートをリツイートもした。ガブリエル・ユニオンは、「自分と他人のために勇気をもって立ち上がる女性たちを応援し続けないと。私たちはあなたを見ていますよ。支持しますよ。あなたを守っていますよ」とインスタグラムに投稿している。

 ハル・ベリーも、インタビュー放映に先立って「黒人女性たちを守る努力はまだ必要」というコメントをツイッターに投稿していた。メーガン妃とハリー王子をめぐる会話は、これからも続きそうだ。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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