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「就任式のバーニー・サンダース」があちこちに。「スター・ウォーズ」「ジョーカー」にも

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
このミトンにも注目が集まっている(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 民主党代表選出を最後までジョー・バイデンと競ったバーニー・サンダース上院議員が、バイデンの就任式以来、再び大注目を集めている。就任式で、マスクと厚手のミトンを身につけ、ソーシャルディスタンスを取ってひとりぽつんとパイプ椅子に座っているサンダースの報道写真に惹きつけられた人々が、その写真をフォトショップして、ソーシャルメディアに投稿し始めたのだ。

 それらの中には、サンダースが「スター・ウォーズ」、「ジョーカー」、「フォレスト・ガンプ/一期一会」、「キューティ・ブロンド」、「デッドプール」、「ROMA/ローマ」など映画や、「SEX AND THE CITY」、「ワンダヴィジョン」などテレビドラマの世界に座っているものも多数。どこにも自然に収まっているところが、また笑えるのだ。それらはセレブにも大受けし、ポール・ベタニー、リース・ウィザスプーン、マーク・ハミル、ケリー・ワシントンなどが、ツイートあるいはリツイートしている。

 業者はこのトレンドに早くも飛びつき、すでにボブルヘッドやベースボールカードの発売が発表された。ベースボールカードは今月28日までに限って注文を受け付ける限定版。値段は10ドル。ボブルヘッドは25ドルで5月にリリースされるとのことだ。サンダース自身もこの反響にまんざらではないようで、サンダースの公式ウェブサイトにも、この写真を使ったスウェットシャツが上がっている。こちらは45ドルで、収益の100%はバーモント州のチャリティ団体に寄付されるというが、注文が殺到しているため、「お届けには3週間から6週間かかります」とある。

(berniesanders.com)
(berniesanders.com)

 影響は、サンダースが身につけていたミトンにも及んでいる。このミトンを作ったのは、サンダースの支持者であるバーモント州の小学校の先生。ジェン・エリスという名前のこの女性がサンダースにこのミトンをプレゼントしたのは、サンダースがヒラリー・クリントンに負けた2016年だが、昨年、サンダースがキャンペーン中にこれを身につけた時に、初めてツイッターで話題になった。そこで言われていることが、「バーニーのおばあちゃんが編んでくれたらしい」「クリスマスプレゼントだった」など嘘ばかりだったので(そもそもサンダースはユダヤ系なのでクリスマスを祝わない)、エリスは黙っていられず、「これは私が作ったものです。編んだのではなく、古いセーターをリサイクルして縫って作っています」と表に出てきた。その時は、「欲しい」とメールをくれた人に販売したのだが、この就任式の写真が出回ると、およそ6,000人から注文が入ったという。だが、副業としてやっていた1年前と違い、今はもう時々誰かにあげるためにしか作っていないため、売るものがないと断っている。

 現地時間21日、深夜のトーク番組「Late Night with Seth Meyers」にリモート出演したサンダースは、この大反響について、「私は寒くないようにして座り、そこで起こっていることに注意を払おうとしていただけなのに」と言って笑った。エリスについては、「とても優しい、すばらしい女性だ」と語っている。それを聞いたマイヤーズは、「私は仕事もあるし、子供もいるから、ミトンを作る時間はない、という彼女の反応がまた、余計なことに振り回されないあなたを支持する人という感じですよね」とコメントし、さらにサンダースを微笑ませた。一方、朝の番組「CBS This Morning」では、「(この出来事で)バーモント州は良いミトンを作るところなのだと人が知ってくれたのは嬉しい」と、サンダースは述べている。コロナが収束し、自由に旅行ができるようになったら、バーモント州には観光客に向けたミトンの店がいくつかオープンしたりするのだろうか。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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