レオナルド・ディカプリオ、司法省にお宝を奪われる。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の運命は

ディカプリオはレッド・グラニットのトップから数々の恩恵を受けてきた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

ピカソの絵。ダイアン・アーバスの写真。バスキアのコラージュ。マーロン・ブランドのオスカー像。

ご自慢のお宝を、レオナルド・ディカプリオが無料で手放した。受取人は、米司法省。これらが、1MDBと呼ばれるマレーシアの公金で購入されたと見られているためである。

公金を不正使用した疑惑を持たれているのは、ディカプリオ主演作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」に100%出資したプロダクション会社レッド・グラニット・ピクチャーズの創設者と関係者。同社の創設者リザ・アジスはマレーシアの首相ナジブ・ラザクの義理の息子。アジスの友人で「ウルフ・オブ~」に「Special thanks」のクレジットをもらったジョー・ロウは、1MDBの管理と運用を任されてきた人物だ。近年、1MDBから用途不明で多額のお金がなくなっていることが発覚し、マレーシア国内で腐敗だと批判されてきた。

アジスとロウは、アメリカ国内で、不動産、ヨット、飛行機、美術品などを多数購入しており、アメリカ政府も、昨年、金の流れについて本格的な捜査に乗り出した。「ウルフ・オブ~」の製作費1億ドルもここから出た可能性があるだけでなく、ディカプリオは、このふたりから、数年にわたってさまざまな恩恵を受けてきている。ディカプリオは環境問題を訴えてきた人物であるのに、賄賂と引き換えに林業関係者にどんどん木を切らせているマレーシア政府から金をもらってきたのかと、マレーシアの熱帯雨林保護活動を行う慈善団体は、彼を強く批判している(「汚れた金は返せ。」レオナルド・ディカプリオに慈善団体が抗議)。

ディカプリオが司法省に提出したピカソの絵(購入価格328万ドル)、アーバスの写真(75万ドル)、バスキアのコラージュ(919万ドル)は、司法省が返還を要求する物のリストに入っていたが、マーロン・ブランドのオスカー像(60万ドル)は、ディカプリオが自主的に返還したとのことである。ディカプリオのパブリシストは、ディカプリオが、司法省から要請を受けるより先にこれらを返還したとも強調している。

パブリシストが出した声明は、ディカプリオが「ウルフ・オブ~」で得た2,500万ドルを返すかどうかについて触れていない。これ以外にも、ディカプリオは、ロウの招待で2010年に南アフリカまでサッカーW杯を見に行ったり、ディカプリオ財団に寄付されるとの名目のもと、高額な値がつけられたシャンパンを何本もロウに買ってもらったりしている。ディカプリオのプロダクション会社アピアン・ウェイとレッド・グラニットのオフィスは、同じビルの、1階違い。2011年、カンヌでレッド・グラニットの創設パーティが派手に開かれた時にも、ディカプリオは出席していた。彼らの関係が密接なことは疑いの余地がない。

レッド・グラニットが製作した映画2本の権利が差し押さえに

司法省は、レッド・グラニットからも数々の差し押さえを決めたが、その中には、同社が製作した「帰ってきたMr. ダマー バカMAX!」と「Daddy’s Home(日本未公開)」の権利も入っている。「ウルフ・オブ~」は入っていなかったものの、この映画については、昨年7月、別に捜査が始まっている。

金儲けのためなら手段をいとわず、派手な生活を楽しんだ末に逮捕されたジョーダン・ベルフォートの半生を描く「ウルフ・オブ~」は、全世界で4億ドル弱を売り上げるヒットとなり、オスカーにも5部門でノミネートされた。しかし、この事件で被害を受けた関係者のひとりは、彼が出所して何年も経つ今も苦しめられているとして、今作の北米公開時、ディカプリオとマーティン・スコセッシ監督を批判する公開状を発表している。そして今、その映画の製作の裏側に、同じような汚い事実があった疑いが浮上したというわけだ。

「ウルフ・オブ~」にはユーモアもあり、ジャンルとしては犯罪コメディと呼ばれ、「いったいこの事件の何を笑いたいのか」と、それもまた事件の影響を受けた人々の怒りを買っている。当時、製作関係者にとっては、 舞台裏もおもしろいことだらけだったのかもしれない。しかし、今になって、続きが語られようとしているのだ。映画の主人公と同じように、この映画自体もまた、最後は評判がずたずたになるのだろうか。それは、ディカプリオにもわからない。どちらにしても、今の状況は、きっとコメディとはほど遠いはずである。