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テリー・クルーズが家具デザインに進出。ハリウッドセレブの「実はこんなこともやってます」

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
元NFL選手でアクションスターのテリー・クルーズの新たな肩書きは家具デザイナー(写真:Shutterstock/アフロ)

サラ・ジェシカ・パーカーの靴ブランド。マーク・ウォルバーグの肉体改造サプリ。ケイト・ハドソンの女性向けワークアウト服。

ハリウッドセレブの“副業”の多くは、彼らがもともと持つイメージを活かしたもの。だが、時には、意外な人が意外なことを始めたりもする。「エクスペンダブルズ」などで知られるアクションスター、テリー・クルーズは、その代表だ。

クルーズの新しい肩書きは、なんと、家具デザイナー。先月、彼は、ニューヨークの老舗家具メーカー、バーンハード・デザインから、The Terry Crews Collectionをデビューさせたのである。ほとんど知られていないが、フットボールの奨学金で大学に行ったクルーズは、そのほかに、芸術でも奨学金をもらえることが決まっていた。

Bernhardt Design
Bernhardt Design

近年、ほかのデザイナーを支援する形でデザインの業界に関わるようになっていたところ、バーンハードのプレジデントから「君自身のコレクションを作らないか」と言われたらしい。椅子が3,800ドル、カウチが5,500ドルする高級ラインで、L.A.のデザインショップTwentiethなどで販売される予定だ。

彼以外にも、こんな人たちが、ちょっとおもしろいことをやっている。

ジョージ・クルーニーのテキーラ

フランシス・フォード・コッポラやカート・ラッセル、クルーニーの親友ブラッド・ピットまで、ワインを作るセレブは多い。だが、テキーラとなると稀だ。クルーニーと、長年の友人ランド・ガーバーがCasamigosを立ち上げることになったのは、メキシコでテキーラを飲みまくっているうちに、「自分たちのために、自分たちが心から気に入るテキーラを作ってみようよ」という話になったから。実際、最初の2年は自分たちだけで消費していたのだが、出荷量があまりに多くて、「もはや見本品では通じない」と醸造所に言われ、ライセンスを取って販売することになったのだそうだ。値段は、750mlで1本50ドル前後。ラベルにはふたりのサインが印刷されている。

ダニー・トレホのドーナツ屋

「マチェーテ」のダニー・トレホが昨年オープンしたタコス屋は(ダニー・トレホのタコス屋と、ジェシカ・ビールの子連れ歓迎おしゃれラウンジは、どんな店?)たちまち大成功し、すぐさま、より幅広いメニューを持つ2号店を開けることになった。そして先月、彼は新たにドーナツ屋Trejo’s Coffee & Donutsをオープンする。場所は、映画「タンジェリン」(2015)にも出てくる、昔ながらのドーナツ屋Donut Timeがあったところ。前の店とはまるで違う雰囲気で、デビュー以来、毎日長い行列ができている。トレホのオリジナルソースとハラペーニョを使ったスパイシーな“ナチョ”、テキーラとライムを使った“マルガリータ”など、ここにしかないグルメな味が揃うほか、ビーガン(完全菜食主義者)向けのフレーバも数種類あり、L.A.の人々の心をつかむのも納得。外観が派手なピンクなのは、 L.A.ではドーナツ屋の箱はピンクという特有の伝統を受けてのものだ。

オープン以来毎日行列
オープン以来毎日行列

グウィネス・パルトロウの雑誌

2008年に趣味で始めたブログgoop.comは、今や、服やコスメはもちろんキッチン用品まで販売する一大ショッピングサイトに成長。最近では、カリフォルニアのオーガニックスキンケアブランドJuice Beautyに投資し、同ブランドのメイクアップ部門クリエイティブ・ディレクターを務めるなど、活動の幅は広がるばかりだ。次のプロジェクトは、雑誌版「Goop」。「Vogue」のアナ・ウィンターとのコラボで、今年9月にコンデナストから創刊され、以後は年4回発行されていく予定だ。紙媒体が苦戦し、オンラインへの移行を図る中、わざわざ今から紙というのは、相乗効果が狙ってのものだろうが、いずれにせよ、もはや本業はそっちのけ。若い世代には、オスカー女優というより起業家として記憶に残りそうである。

アーミー・ハマーのベーカリー

「ローン・レンジャー」「コードネームU.N.C.L.E」は、いずれも期待されたようなヒットにならなかったが、今年もハマーは3本の北米公開が控えるなど、大忙し状態だ。そんな彼は、妻エリザベスと一緒に、テキサス州でBIRD Bakeryという名の店を経営もしている。パイ、マフィン、クッキーなどのほか、スープ、サラダ、サンドイッチなどランチメニューも。店舗はサンアントニオとダラスの2軒。エリザベスはテキサス出身で、ハマーも、生まれはL.A. だが、幼い頃をテキサスで過ごしている。エリザベスの母と祖母は、テキサスで長年ケータリング会社を経営してきており、自然な流れとも言えるだろう。

エレン・デジェネレスの食器、家具、キッチン用品

売れっ子コメディアンでトーク番組ホストのデジェネレスは、家を買っては素敵に改装し、高く売って儲けることを、趣味かつ副業にしてきた。

ロイヤルドルトンとコラボしたマグカップ
ロイヤルドルトンとコラボしたマグカップ

つまり、家のデザインは、彼女の別の才能であり、情熱である。そう思えば、 服や靴から始まった彼女のブランドED by Ellenが、最近インテリア関係にも進出したのは、そう不思議なことではない。今年は、ベッド・バス&ビヨンドからキッチン、バスルーム、寝室まわりの商品をデビューさせたほか、ロイヤルドルトンからマグカップも発売。さらに、トーマスヴィルからは、椅子、テーブル、デスクなどの家具をデビューさせている。「Forbes」によると、彼女は世界で最も稼ぐセレブの12位。お金はありすぎるほどあるけれども、創作意欲に歯止めがかからないというところか。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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