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キャリー・フィッシャーの著書、米アマゾンで次々に売り切れ。ひとり芝居の続編も決まっていた<更新あり>

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
先月発売された著書を宣伝するキャリー・フィッシャー(写真:Splash/アフロ)

<アップデート>この記事がアップされた直後、デビー・レイノルズが亡くなったと報道された。

米西海岸時間28日の訃報を受けて、キャリー・フィッシャー(没年60歳)の著書が、飛ぶように売れている。「スター・ウォーズ」のレイア姫役で最も知られるフィッシャーがライターとしても優れた才能を持っていたことが、今、あらためて注目されている形だ。

最初に売り切れたのは、先月発売になったばかりのメモワール「The Princess Diarist」。発売に合わせ、フィッシャーはプロモーションツアーを行い、テレビやラジオ番組でインタビューに応じていた。「スター・ウォーズ」での共演中に、ハリソン・フォードと不倫をしていたことを明かしたのもこの本で、その話題はかなりメディアをにぎわせることになっている。

続いて、フィッシャーが2008年にL.A.のゲッフィン・プレイハウスで演じたひとり芝居をメモワール本にした「Wishful Drinking」、彼女にとっての2冊目のメモワール「Shockaholic」、また自分の体験の多くを使って小説にした「崖っぷちからのはがき」、「The Best Aweful: A Novel」が在庫切れに。西海岸時間29日午後3時現在、アマゾンで在庫ありとなっているのは、2015年の小説「Delusions of Grandma」だけだ。彼女が書いた小説には、ほかに「Surrender the Pink」と「Hollywood Moms」がある。

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このうち、「崖っぷちからのはがき」は、「ハリウッドにくちづけ」(1990)のタイトルで映画化され、メリル・ストリープ、シャーリー・マクレーンが出演、マイク・ニコルズが監督をしている。脚色はフィッシャーが自ら行い、英国アカデミー賞の脚色部門にノミネートされた。これがきっかけで、フィッシャーは、以後、コメディ番組「Fraiser」や「Roseanne」の脚本を手がけるほか、脚本のリライトを行う“スクリプト・ドクター”としても活躍することになる。彼女がスクリプト・ドクターとして関わった映画には、「天使にラブソングを… 」(1992)「ラスト・アクション・ヒーロー」(1993)「ウェディング・シンガー」(1998)などがある。

ゲッフィン・プレイハウスは、先週、フィッシャーに、「Wishful Drinking」の続編にあたる劇の制作を、正式に発注したところだったそうだ。タイトルは、「帝国の逆襲」(The Empire Strikes Back)に引っ掛けて、「Wishful Drinking Strikes Back: From Star Wars to, uh, Star Wars!」。

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1作目同様、脚本はフィッシャーと演出家ジョシュ・レイベッチのコラボレーションになる予定で、ふたりは、フィッシャーが亡くなることになる28日(水)にミーティングをもつことになっていた。

このお芝居を見ることはもはやかなわぬ夢となってしまったが、フィッシャーは、来年公開の「スター・ウォーズ/エピソード8」を、すでに撮り終えている。今回、レイア姫の出番は「フォースの覚醒」より多くなっているとのことだ。また、過去にも声の出演をしてきたセス・マクファーレンの大人気アニメ番組「Family Guy」で、来年放映予定の2話の収録を終えており、アメリカではアマゾンが配信する「Catastrophe」の来年ストリーミング分にも出演する。今年のカンヌ映画祭でお披露目された母デビー・レイノルズと共に出演するドキュメンタリー映画「Bright Lights」を、来年、HBOが放映することも決まっている。

フィッシャーは、今月23日(金)、ロンドンからL.A.に向かう飛行機の中で心臓発作を起こし、UCLA大学病院に運び込まれた。フィッシャーが亡くなった翌日である本日午後には、母レイノルズが救急車で病院に運ばれている。発作を起こしたことだが、詳しい容態はわかっていない。

全世界に名前を知られるフィッシャーは、ハリウッドのウォーク・オブ・フェームに星と手形を残すことなく、亡くなった。突然の訃報を受けて、ファンたちは仮の星を作り、「フォースと共にあらんことを」とのメッセージを書き込んでいる。ハリウッド商工会議所は、亡くなった人にもウォーク・オブ・フェームの星を与えることがある。死後5年以上経過していることが条件で、1年につき、認められるのはひとりだけ。選ばれた場合は、3万ドルが必要となる。

5年後、あるいはそれよりもっと後に、その日が来る可能性は、十分にあるだろう。もちろん、たとえ実現しなかったにしても、彼女の姿とその言葉が、人々の心に永遠に生き続けることは間違いない。

ご冥福を心からお祈りする。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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