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「ゴーストバスターズ」のレスリー・ジョーンズ、差別攻撃を受けた体験を語る

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
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「ゴーストバスターズ」のレスリー・ジョーンズが、米時間21日(木)、深夜トーク番組「Late Night with Seth Meyers」に出演し、ツイッターで嫌がらせを受けた体験について語った。ジョーンズは、「ゴーストバスターズ」が北米公開された先週末から今週月曜にかけて、人種差別、女性差別、あるいは容姿をバカにする悪意あるツイートを多数受け、月曜夜、「今晩、涙とともにツイッターを離れることにしました」というメッセージを投稿していた(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160720-00060158/)。そこに至るまでには、ツイッターに対しても、「言論の自由はわかるけど、ある程度のルールはないの?こういうのを拡散して平気なの?」と抗議をしている。

実際、ツイッターは、責任を感じたようだ。その後すぐに、ツイッターのCEOジャック・ドーシーは、ジョーンズに連絡をしてきて、問題のアカウントをいくつか閉鎖した。その結果、木曜日、ジョーンズは「離れていられると思ったけれど、ツイッターで私みたいに暴れまわれる人はいないわよね」というメッセージで、ツイッターに復帰している。

このトーク番組のホスト、セス・メイヤーズとジョーンズは、かつて「サタデー・ナイト・ライブ」で共演した仲。自分もまめにツイートするメイヤーズは、「大変だったよね。でも、自分のために立ち上がった君のことを、すごく誇りに思うよ」というねぎらいの言葉でインタビューを始めた。

最初に、ジョーンズは、自分がツイッターのアカウントを閉鎖したわけではないという事実をはっきり述べている。「私は、あの夜、サインオフしただけ。関わりたくなかったから。それで寝て、朝起きて、『ええっ、私はツイッターをやめたことになっているの?』と驚いたのよ。『私はやめてないわよ!』って」と言って、会場を笑わせた。

「侮辱されたことに傷つけられたんじゃないの。不幸なことに、侮辱されるのには慣れているから」というジョーンズは、自分が黙っていれば、これらの人たちは、こういったひどいツイートをこの後も投稿し続けるだろうと思って、ツイッターに呼びかけたのだと語っている。Facebookも使うが、ツイッターをもっと好むジョーンズは、「(私にとっては)お気に入りのレストランにいたら、目の前で3人が射殺されたみたいなものだったのよ。みんな警備をしっかりしていないとだめなの」と、この体験を例え、続いてツイッターのCEOドーシーに会った時のことを語っている。ドーシーは、自分のことを、ジャックとファーストネームで呼んでくれと言い、ジョーンズにとても優しく接してくれたようだ。「私たちは、一緒に、いくつものアカウントを閉鎖したわ。寄ってたかって誰かをいじめるのは、正しいことじゃないから」と言うジョーンズは、「ヘイトスピーチと言論の自由は、まるで別物よ」と断言し、会場から大拍手を受けている。

一方、メイヤーズは、ツイッターに寄せられたのがネガティブなコメントだけではなかったことを示すため、いくつかのビデオ映像を紹介した。ファンがツイッターに投稿したそれらのビデオでは、白人男性や黒人女性、子供、若いカップルなどが、「ゴーストバスターズ」のTシャツを着たり、グッズを背景にしたりして、それぞれにジョーンズへの愛と応援の言葉を贈っている。「あなたのことが大好きでたまらない人が、たくさんいるのよ!」という白人女性ファンの言葉でしめくくられるそれらのビデオを見て、ジョーンズは、「こんな多くの人たちとつながれているなんて、すごくクール。私はどこにも行かないわ」と、本当にうれしそうに笑ってみせた。

今回追放した人々の名前をツイッター側は公表していないが、保守派のニュースサイト「Breitbart」のテクノロジー編集者ミロ・ヤンノポーロスは、火曜日に永久追放を受けている。彼は、ジョーンズを侮辱するツイートをいくつも投稿していた。ツイッターは、ヤンノポーロスのアカウントを閉鎖したことは認めながらも、直接の理由は明らかにしていない。ヤンノポーロスは、「The Hollywood Reporter」他のメディアを通じて、「僕のアカウントを閉鎖するという臆病な行動を通して、ツイッターは、ムスリムのテロリストやブラック・ライブス・マターの過激派にとっては安全なところだが、保守派は入っていけない場所であることを認めた」「カルチャー戦争に勝つのは僕らだ。ツイッターがやったのは、自殺行為。言論の自由は貴重だと思う人たちを、ツイッターは歓迎しないのだ」などと語っている。

ヤンノポーロスは、過去にも何度かツイッターからアカウントを一時的に閉鎖されたことがある。彼が永久追放された直後、ヤンノポーロスの3万人のフォロワーたちは、「#FreeMilo 」のハッシュタグをつけたメッセージで、ツイッターに抗議をしている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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