イギリスの「第2の国民投票」の結果はどうなった?:ブレグジット問題:欧州議会選挙で

メイ首相が官邸前で辞任を表明する直前、ドア前に座っていたラリーは家に戻された。(写真:ロイター/アフロ)

「第2の国民投票」と言われた、今回のイギリスの欧州議会選挙。

かなり無理矢理感があったが、とどこおりなく行われた。

結果は、以下のとおりである。

出典:欧州議会
出典:欧州議会

予想通り、ブレグジット党が第一位となった。ファラージ氏の水を得たように生き生きと張り切る姿も、これで本当に見納めか(あの人は国政選挙で勝ったことは一度もない)。

残留派の自由民主党の躍進や、保守党や労働党の凋落が目につくのは、盛んに報道されているとおり。

でもイギリスに関しては、重要なのは残留派と離脱派の割合である。これは「第2の国民投票」と言われて、国民投票の代わりの役割をもつのだから。

保守党を「離脱派」に入れながら電卓片手に計算しても、離脱派も残留派もどちらも過半数の50%にいかない・・・。

今までの3回に及ぶ「EUとの離脱案」の投票結果から、党としてどこが離脱派でどこが残留派かは、わかっている。

離脱派:43.99%

ブレグジット党、UKIP(まだいたのね)、保守党(?)

残留派:38.22%

自由民主党(Lib dems)、緑の党(GP)、Change UK。その他は地域政党。スコットランド国民党(SNP)、プライド・カムリ(PL-PW:ウエールズ党)、シン・フェイン(SF:アイルランド島を統一したい党)、社会民主労働党(SDLP:北アイルランドの穏健アイルランド派)、北アイルランド同盟党(APNI:北アイルランドの中立派)

「???」:労働党抜きなら1.18%、労働党を入れると15.23%

民主統一党 (DUP:北アイルランドの強硬イギリス派)、アルスター統一党(UUP:北アイルランドの穏健イギリス派)、Traditional Unionist Voice(北アイルランドのイギリス派)、そして、労働党。

結局、やっぱり「労働党、お前はどっちなんだ!」という状況である。ここが一番わからない。

労働党(14.05%)が離脱派になれば、軽く50%を越えるのだけど、そうとも言い切れない。それなら残留派なのか。残留派に入れば、こちらも残留派が過半数となる。

左派だから、理念として人の連帯を切るようなことはできない。それは左派の理念の死となり、党の解体を意味する。でも、支持者は極右に流れてもおかしくない層の人達。

悩みはわかる。その悩みは、移民問題に悩む欧州中の左派がもっている。ここまで国家主権とのはざまに突き落とされて、気の毒だとは思う。でも、本当にこの党の罪は重い。

結果を見て、労働党の希望どおり再度の国民投票をしたとしても、明確な結論なんて出なかったに違いないように見える。前回と似ていて、50%台で離脱派が勝ったのではないか、くらいの予測しかできない。僅差で残留派が勝つ可能性は否定できないが、それでも国が混乱するのは同じだ。「3度目の投票をしろ」ということになりかねない。要するに、再度やっても同じこと。収拾がつかない。国は分裂したままーーというのが、今回の(事実上の)第2の国民投票の結論ではないかと思う。

首相なんて誰がやっても、収拾はつかないのだ。問題は労働党でしょう。だからメイ首相は、国の混乱に終止符を打ちたいと、労働党と話をつけようとしたのでしょうに・・・。その態度が間違っているとは、筆者にはまったく思えない。

フランスの極左「不服従のフランス」党も、左派として労働党と同じ悩みをもっている。そして始終「国民投票」を叫んでいる。そうすると、党として答えや方針を言わずに済み、かつ「人民の側にいる」というポーズが取れるからだ。裏を返せば、口では威勢のいい調子で言っていても、それほど困っている、自分で決められない事態ということだろう。

でも所詮、国民投票は方法に過ぎない。このイギリスの「二度目の国民投票」の結果を、「不服従のフランス」党は耳をかっぽじってよーく聞いてもらいたいものだ。

しかしなぜ、欧州議会選挙が国民投票の代わりをするとわかっていて、もう投票日が迫っている段階で、メイ首相は労働党に「再度の国民投票を行う」という形で譲歩したのだろうか。他に譲歩の仕方はなかったのだろうか。欧州議会選挙の結果は待てなかったのだろうか。

結局、なぜメイ首相があのタイミングで辞職になったのか、わからない。欧州選挙で、保守党大敗の結果を受けて辞職を表明したのならわかるのだが。

保守党内部で何が起きたのだろう。

メイ首相の官邸前で行われた辞任演説を前に、家の中に入れさせられて「テレーザは、私と一緒に大事な瞬間を分かち合いたくないみたいだ・・・」とラリーはつぶやいている。

(何が起きたか、ラリーは首相官邸内で聞いていたかもしれない・・・)。