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バルコニーの手すりに横桟が増えて、また姿を消しつつある理由は「転落」ではなかった

櫻井幸雄住宅評論家
バルコニー手すりに採用された「横桟」。風を通して、下からの視線を遮った。筆者撮影

 マンションバルコニーの手すりに「横桟(よこさん)」が増えだしたのは、10年ほど前から。それまで、バルコニーの手すりにスチール柵を設けるときは縦桟ばかりだった。

 縦桟が当たり前となっていたのは、安全面の配慮から。横桟だと、ハシゴと同じで、小さな子供が上ってしまいがち。そのまま転落するようなことが起きたら大変だ、と横桟は採用されなかったのである。

 一方で、できれば横桟を採用したい、という思いはマンションを設計する側に根強くあった。それは、「横桟ならば、下からの視線を遮ることができる」からだ。

縦桟の場合、道行く人が見上げれば、バルコニー内が丸見えになりやすい。その点、横桟は桟の形状や間隔を工夫することで、下からの視線を遮ることができる。結果、バルコニー内のプライバシーを守りやすいというメリットが生まれるわけだ。

 そこで、10年ほど前から登場したのが「足がかりのない横桟」。横桟の間隔を狭くする、1本1本の桟に傾斜を付けるなどの工夫で、「足をかけて上ろうとしてもつま先が入らない」とか「足をかけようとしても滑り落ちてしまう」横桟にしたわけだ。

 これで、横桟が設置できるようになった、と設計者は喜び、多くのマンションで横桟が採用された。

 ところが、今、新規分譲されるマンションのバルコニーや開放廊下で、横桟の手すりをみることはほとんどなくなった。

 そこには、「なるほど、それでは仕方ない」と、あきらめざるを得ない理由があった。

思いもかけなかった、横桟の短所とは

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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