Yahoo!ニュース

【独自調査】今年1月〜3月で全国1位の人気マンションは都心でも超高層でもなかった

櫻井幸雄住宅評論家
「マンション人気指数2022年1月〜3月」で全国1位になったのは……。筆者撮影

 2022年1月から3月まで販売中だったマンションで、全国1位の人気となったのは都心立地でも超高層でもなく、東京都世田谷区内の低層3階建てだった。

 これは、「マンション人気指数2022年1月〜3月」で明らかになったものだ。

 「マンション人気指数」は、全国の新築分譲マンションを対象に、2011年7月から調査を開始。毎年3〜4回公表し続けている私の独自調査データだ。

 1月から3月までの販売中マンションと販売直前のマンションを対象に、資料請求数と販売センターへの来場者数を調べ、販売される総戸数から「人気指数」を算出。指数が一定水準になったマンションを「人気マンション」として認定している。

 マンション人気指数は、これまで経済誌や経済系サイトで発表してきた。調査開始から10年が経過した昨年、そのリストを定期的に私のオフィシャルサイトで発表することとし、「最新版全国人気マンション・リスト」の公開を5月13日から開始した。

 今回調査で、全国で最も高い人気指数を記録したのが、「サンウッド瀬田一丁目」(タイトルの写真)。続いて、新宿区内の「ザ・パークハウス御苑内藤町」、神奈川県川崎市内の「パークホームズ登戸ステーションアヴェニュー」が高人気ベスト3となった。

 人気マンションというと、千代田・港・中央の超都心部に立地し、地上20階を超える超高層物件を思い浮かべがち。しかし、実際は、23区内でも地味めな場所や郊外で、低層、中層のマンションが多くなっていたわけだ。

最新版「マンション人気指数」で分かったこと

 今回調査で、新築分譲マンションの最新傾向がいくつか分かった。そのひとつが、これまで人気を集めてきた都心超高層マンションの数が減り、代わって準都心・近郊外の中・低層マンションが目立つようになったこと。そして、4000万円台、5000万円台の新築物件が人気を集めていることなども明らかになった。

 では、どんなマンションが高人気となっているのか。

 ここでは、極めて人気指数が高かったマンションの一部を紹介。併せて、総戸数が200戸を超える大規模マンションでの人気物件や、これから販売が始まる最新マンションの人気度についても解説したい。

 なお、人気指数の計算方法はオフィシャルサイトの記事中で説明させていただいたので、参照いただきたい。

超人気の16マンションで、山手線内側立地は4物件のみ

 私が算出する人気指数では、指数「1」以上が人気マンションとなる。その数字が大きくなれば、短期間に完売する可能性が高い超人気マンションだ。

 人気マンションのなかでも特に人気が高いと認定できる、人気指数「5」以上となった全国のマンション16物件を以下にまとめた。

 なお、ここで発表するデータは、物件名と人気指数、間取り、価格、売り主のみを抽出した抜粋版であることをお断りしておく。

調査期間:2022年1月1日から3月31日。各物件の間取り、価格等は4月25日時点でのもの。その後、住戸の販売が終了している可能性がある。
調査期間:2022年1月1日から3月31日。各物件の間取り、価格等は4月25日時点でのもの。その後、住戸の販売が終了している可能性がある。

 人気指数「5」以上……つまり、超人気物件と認められる16物件は、当然ながら首都圏のものが多い。首都圏以外では、北海道北広島市の「レ・ジェイド北海道ボールパーク」と沖縄県宜野湾市の「ライオンズ宜野湾ベイサイドシティ」の2物件がランクインしている。

 残り14物件は首都圏立地。ただし、都心物件は少ない。JR山手線の内側に立地しているのは、新宿区の「ザ・パークハウス御苑内藤町」、千代田区の「サンウッドフラッツ神田神保町」、文京区の「ブランズ文京本郷一丁目」、そして品川区の「サンウッドウエリス御殿山」の4物件だけ。残りの首都圏10物件は、準都心と近郊外に立地するマンションとなる。

 価格も2LDK、3LDKが4000万円台、5000万円台で購入できる新築マンションが目立つ。環境重視で、あまり高すぎない新築マンションが現実的に人気を集めているわけだ。

注目したい、大規模で高指数の物件

 人気指数は、資料請求数と販売センター来場者数を販売総戸数で割って算出される。そのため、総戸数が多い物件の指数は上がりにくい。

 そのなか、販売中マンションで総戸数200戸以上の大規模なのに人気指数が「1」を大きく超えた物件は注目すべきだろう。

 そこで、超人気物件と呼べる「人気指数5以上」には届かなかったが、総戸数の多さからいって極めて人気度が高いと評価される大規模マンションを紹介したい。

 総戸数が200戸以上で人気指数が高いマンションベスト3を挙げると、人気指数「4」の「グレーシア湘南藤沢テラス」と同「3.9」の「Brillia Tower 池袋 West」、そして、同「2.7」の「エクセレント ザ タワー」となる。

 「グレーシア湘南藤沢テラス」は湘南の海に近い神奈川県藤沢市で「3LDKが4988万円から」で、「Brillia Tower 池袋 West」は豊島区池袋で「1LDKが5500万円台から(予定)」という価格設定。千葉県で、千葉駅徒歩圏の「エクセレント ザ タワー」は「1LDKが2800万円台から(予定)」だ。

 首都圏マンションが高額化している、とされるなか、スケールメリットのある規模で納得できる価格水準である点が人気の理由と考えられる。

販売開始前で、注目度が高いマンションは……

 次のリストは、販売開始前のマンションで人気指数(つまりは注目度)が高い物件のリストだ。サイトで公開している「最新版全国人気マンション・リスト」では、販売開始前物件の人気度を「事前人気指数」で評価。事前人気指数「2」以上を高人気マンションとしているが、ここでは、その中の上位物件、事前人気指数「10」以上の物件をまとめた。

 事前人気指数「10」以上の超人気物件は全国で8物件。ここでも、山手線内側立地のマンションは数が少ない。「パークホームズ本郷三丁目」と「グランリビオ市ヶ谷砂土原」だけだ。残りは東京23区内で山手線外側立地のマンション、そして地方物件として京都の「プレミスト京都 四条堀川」と兵庫県の「プレディア住吉甲南町」がランクインした。

 いずれも、立地の評価が高い場所。「プレディア住吉甲南町」は、芦屋エリアと六甲エリアの中間地点で、近くに灘高校がある場所だ。芦屋・六甲には坂が多いのだが、住吉エリアは平坦。大型商業施設も身近で生活しやすい。

 ここでも、環境のよいマンションが注目を集める傾向が感じられる。

 もちろん、その背景には都心の物件価格が高くなりすぎた影響もあるだろう。マンション選びの方向性は、大きく変化してきたのかもしれない。

住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

資産価値はもう古い!不動産のプロが知るべき「真・物件力」

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

今、マンション・一戸建ての評価は、高く売れるか、貸せるかの“投資”目線が中心になっていますが、自ら住む目的で購入する“実需”目線での住み心地評価も大切。さらに「建築作品」としての価値も重視される時代になっていきます。「高い」「安い」「広い」「狭い」「高級」「普通」だけでは知ることができない不動産物件の真価を、現場取材と関係者への聞き取りで採掘。不動産を扱うプロのためのレビューをお届けします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

櫻井幸雄の最近の記事