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杉並区荻窪は北区西ヶ原よりも中古マンションが安い……データでわかった意外な事実

櫻井幸雄住宅評論家
JR中央線と東京メトロ丸ノ内線を利用できて、便利な荻窪駅。(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

 「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインド社が、10月22日、城北における中古マンション坪単価と騰落率を発表した。

 これは、「東京23区のマンション相場変遷10年」と銘打った調査シリーズの第6弾として発表されたもの。これまで、都心2カ所、城南、城東、城西、とエリアごとのデータが発表され、今回の城北が最後の発表となった。

 今回、データが発表された「城北」というのは、豊島・北・荒川・板橋・足立の5区を指し、これまでは「都心近接の穴場」とされてきた。

 東京23区内において地価が抑えられていた場所であり、その分マンション価格が安かった。この「割安さ」が注目を集めて人気が上昇。今は、中古マンション価格がだいぶ高くなってしまったエリアだ。

 これに対し、「以前はマンション価格が高かったが、今は控えめ」といえるのが、城西エリア。城北エリアと一部隣接する、杉並・中野・練馬の3区からなる場所だ。

 城西には、大正期・昭和初期から高級住宅地とよばれてきた場所がいくつもある。たとえば、杉並区にある荻窪、練馬区にある大泉学園、中野区の中野坂上などが歴史の古い高級住宅地として知られている。

 つまり、“庶民的な城北”に対し、“上品な城西”というような違いがあったのだが、近年、その区分けに変化が生じた。

 前述した通り、城北の評価が上がり、城西の注目度が下がってしまった。特に、城西の杉並区には世田谷区と同じような状況が生まれている。よい場所なのだが、マンション価格が下がる、という現象だ。

 本来、23区内において落ち着いた住宅地として人気があったのだが、「変わらないエリア」が、「変化に乏しい場所」と考えられるようになってしまった。再開発計画がないし、超高層マンションも建ちにくい。それが、世田谷や杉並のよさだと思われるのだが、一部に「時代遅れの場所」というイメージを生じさせ、それがマンション価格にも影響を及ぼしたのだろう。

 今回、奇しくも2つの地区のマンション価格データが、相次いで発表された。城西エリアの中古マンション坪単価と騰落率が10月6日に発表され、今回10月22日に城北エリアのそれが発表されたのである。

 2地区のデータから、伸び盛りの場所や、価格上昇が抑えられている今がむしろ狙い目ではないか、という場所が見えてきた。

城北で、最もマンション価格が高い場所は

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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