コロナ禍の特殊な状況で開催された東京五輪。蓋を開ければ、史上最高の金メダル獲得数などもあり、盛り上がりは十分。そして、競技とともに、大きな関心を集めたのが、選手村の住み心地だ。

 温水洗浄便座の使用感などを、多くの選手がSNSに投稿。ほほえましいエピソードとして世界中の関心を集めた。同様に、多くの投稿があったのは、選手村からの眺望だ。

 海越しの都心ビル群やその後ろの夕景や日の出の光景は、多くの選手に絶賛され、画像はSNSで世界中に広められた。

 そうなると、気になるのが、“選手村マンション”と呼ばれる「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」への影響である。

選手村は、リノベマンションとして分譲される

 ご存じない方のために、説明すると、東京五輪の選手村は、大会終了後にリノベーションされる。外観やエレベーターなどはそのままだが、各住戸は区割りも内装も設備仕様もまったく新しいものになり、リノベマンション「HARUMI FLAG」に生まれ変わる。

 その販売は、2019年8月から始まり、第1期は順調に販売された。

「五輪選手村マンション販売で不思議な状況 申し込みゼロと倍率71倍が同時発生」参照

 しかし、2020年に広まったコロナ禍で、東京五輪の開催は1年延期。それに伴って「HARUMI FLAG」の引き渡しも1年延期されることとなり、販売は一時停止された。

 「HARUMI FLAG」の販売は、この秋から再開され、8月末からは、パビリオンにおけるモデルルーム公開も再開されることになっている。

販売再開に先立ち、実際の眺望がSNSで発信された

 つまり、まもなく販売が再開される「HARUMI FLAG」の眺望がいかに素晴らしいか、五輪期間中に世界各国の選手達がSNSで発信したのである。

 もともと、「HARUMI FLAG」は開放的な眺望を大きな特徴とし、販売センターでも「このような眺望が広がるはず」と示されていた。

パビリオンで公開されていた住戸からの眺望。2019年夏に筆者撮影
パビリオンで公開されていた住戸からの眺望。2019年夏に筆者撮影

 上の写真は、2年程前に「HARUMI FLAG」のモデルルームで撮影した眺望の様子。一部住戸の窓からは、このような眺望を楽しむことができるはず、という合成写真だ。

 これに対し、選手村に滞在した選手達は、リアルな眺望写真を投稿した。

 その写真が素晴らしかったので、多くの人が関心を示した。

 では、SNSで眺望の素晴らしさが拡散したことで、「HARUMI FLAG」の販売に影響は出ているのだろうか。

 関係者に独自取材を試みた。

 正式な数字が公表される前なので具体的な数字は出してもらえなかったが、「インターネットサイトでのエントリーが想定以上になっている」という答えを得た。あくまでも控えめな表現だが、反響が大きくなっているのは間違いないようだ。

 ちなみに、「エントリー」とは、自分の住所氏名等を登録し、モデルルーム公開が始まったら、順番に案内されるための仕組み。エントリーしていないと、モデルルーム見学ができない。そのエントリー数が、東京五輪が始まってから、急増していたのである。

売りとなる「眺望のよさ」がSNSで発信されるとは

 「HARUMI FLAG」は、湾岸エリアでも、眺望が秀でているマンションとなる。

 湾岸のマンションならば、どこでも眺望が開けているのでは、と思う人もいるだろう。が、実際には、目の前に海が広がるマンションも、都心のビル群の眺望が大きく開けるマンションも数は少ない。それらを満喫できる「HARUMI FLAG」は希少な存在となる。

 そのことを実地に体験した選手達がスマホで撮影して発信。その画像に触発された人たちが購入を検討する……そのような動きは、これまでの日本のマンションにはなかった。

 それは、SNSが広まっている「今」ならではの出来事であるし、建物を1度選手村として利用する「HARUMI FLAG」だからこそ生じた現象なのである。