住宅ローン減税の「50平米規制」緩和で、今販売中の1LDKが狙い目になる理由

2021年税制改正で、都心の1LDKが売れるようになるか?筆者撮影

 2021年の税制改正で、住宅ローン減税の「50平米規制」が緩和される見通しとなった。

 不動産業界と1人暮らし、2人暮らしの人たちにとっては、悲願の改正が実現することになる。

 というのも、現状、「10年間で400万円」というような大型の住宅ローン減税を利用できるのは、「登記簿面積50平米以上の住宅」という規制があり、その面積に満たない分譲マンションは対象外となっていたからだ。

 「登記簿面積50平米以上」は、分譲マンションの3LDKであれば、楽々クリアできる。2LDKでも、大半は50平米以上だ。

 しかし、1LDKではむずかしい。広さがクリアできず、住宅ローン減税の対象外になるのが普通だ。そうなると、3人家族、4人家族の世帯は住宅ローン減税が使えて当然なのに、1人世帯、2人世帯は、1LDKや一部2LDKの購入で住宅ローン減税が利用できないことになる。それは、おかしな話だった。

 4人家族、3人家族では使えて当然の住宅ローン減税が、1人暮らし、2人暮らしで利用できないのは差別ではないか、という声さえあった。

 だから、不動産業界は、数年前から「50平米制限の緩和」を訴え続けていた。それが、今回の税制改正で実現する見通しとなった。

 50平米を40平米に緩和する改正は、1LDKを購入しようとする1人暮らし、2人暮らしの人にとって朗報となる。

 同時に、不動産会社にとっても、マンション購入層が広がる、という意味でうれしいニュースとなった。

 しかし、手放しで喜んでばかりもいられない。広さの規制が緩和されたことで、新たな動きが予想され、一部に「早い者勝ち」の状況が生じかねないからだ。

これまでは販売に苦労した、狭い2LDKや1LDK

 これまで、登記簿面積が50平米を切る1LDKや2LDKは販売で苦労した。「この住戸は、住宅ローン減税を利用できません」と説明して販売しなければならなかったからだ。「だったら、住宅ローン減税が利用できる広さの3LDKを買う」と言ってくれればよいのだが、「それじゃあ、買わない」という人もいた。

 住宅ローン減税を利用できない住戸は、売りにくかったのである。

 そこで、2つの動きがあった。

 まず、なるべく50平米未満の住戸をつくらないようにした。2LDKで48平米というような住戸をつくっても売りにくいので、2LDKの登記簿面積は50平米を切らないようにしたわけだ。

 もう1つの動きは、登記簿面積が50平米を切る住戸は、価格を下げた。「住宅ローン減税が利用できない分、割安にしてあります」と説明し、購入検討者に納得してもらったのである。

 今回の改正で、以上2つの動きに変化が生じることが予想される。

税制改正で、2LDKが狭くなり、1LDKは値上がりする?

 まず、新たにつくられる2LDKは、登記簿面積で50平米を切るケースが増える可能性がある。

 これまでより10平米程度狭くしても、住宅ローン減税を使うことができる。だから、狭くしやすい。10平米といえば、6畳程度の広さ。リビングダイニングを2畳ほど狭くして、2つの居室をそれぞれ1畳ずつ削減。収納スペースを全体で2畳狭くする……そんな圧縮型2LDKが増える事態が起きかねない。

 圧縮型の2LDKをつくると、分譲価格は下がる。これまで、都心部では2LDKでも6000万円以上するところが多かったが、それを5000万円台にできる。すると、購入できる人が増え、売れ行きがよくなる。それを狙って、面積を圧縮した2LDKが増える可能性があるわけだ。

 もう1つ、1LDKに関しては、面積を変えずに価格が上がる可能性がある。

 「住宅ローン減税が使えないので、割安にする」時代が終わり、「少々高めの価格ですが、住宅ローン減税があるからいいでしょ」と説得できるようになるからだ。

今、売っている40平米台の1LDKは早い者勝ちか

 登記簿面積の規制を50平米から40平米に下げることで、困った問題が生じる可能性もあるわけだ。

 そこで、狙い目となるのが、今、分譲中のマンション。入居が来年になる新築マンションで、登記簿面積が50平米を切り、40平米以上の1LDKなどは要チェックとなる。

 入居が来年ならば、40平米台の1LDKでも住宅ローン減税が利用できる。一方で、その1LDKは「住宅ローン減税利用不可」という前提で企画されているため、価格が割安になっているケースが多い。つまり、安く買えて、得が大きいマンションとなるわけだ。

 この週末から、お得な1LDKを探す人がマンション販売センターに増えるかもしれない。

 

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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