目黒区内の超高層マンションで強盗事件。オートロックの機能から犯罪防止策を考えてみた

分譲マンションでは、今や当たり前のオートロックだが……(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 10月26日、都内目黒区の超高層マンションの1室に宅配業者を装った男性2人が押し入り、大金を強奪した事件が起こった。翌日には、少年3人が逮捕されたというニュースが報じられたのだが、「そんな事件が起きるのか」という驚きと、「もし、我が家に起きたら」という恐怖を感じた人は多いはずだ。

超高層マンションの防犯性は飛び抜けて高い?

 犯行が起きたのは、「セキュリティがしっかりしている」超高層マンション……とされがちだが、タワマンと呼ばれることが多くなった超高層マンションは、非超高層と比べてセキュリティが特に厳重ということはない。

 ここ10年ほどの間に建設された分譲マンションであれば、超高層も高層も中層も低層も同レベルのセキュリティ態勢を備えている。

 オートロックを備え、戸数規模に応じてオートロックを2重、3重にする。随所に防犯カメラを配置し、録画もしている。警備会社と契約し、センサーや防犯カメラによる監視を行っている。

 そのような態勢に変わりはなく、超高層だから、といって特に防犯性が高いわけではない。

 今回のマンションには、コンシェルジュもいたと報道されている。が、コンシェルジュはクリーニングの受け渡しやレンタカーの手配など、生活利便サービスを受け持つのが役目。多くの場合は女性で、複数の強盗犯の抑止力になることを期待するのは酷な話である。

コロナ禍で、マスク必須の弊害も

 分譲マンション全般のセキュリティを高めているのは、「オートロック」のシステムだ。

 マンションの入り口を1つか2つに限定し、その入り口を通過できる人は、マンション住戸の玄関キーを持っている人、もしくはマンション居住者から許可された人だけに絞り込む仕組みである。

 が、オートロックによる「入室制限」は、銀行や企業の開発室のように厳重なものではない。その気になれば、無許可で入り込む手段はいくつかある。

 もっと厳重にすればよいのに、とも考えられがちだが、厳重にしすぎると、今度は住人の出入りが面倒になってしまう。住人は簡単に出入りしたい。一方で、部外者の出入りは制限したい。そのバランスをとって、配置されるのがオートロックの実情というものだ。

 実際には「このマンションは無断で入りにくい」という印象を与えるのがオートロックの役目といえる。

 その役割を果たす上で効果的なのが、オートロックの録画機能。近年のオートロックはカメラ付きで、住戸の部屋番号を押したときから録画が始まる。その録画を、犯罪者は嫌がる。

 だから、犯罪者はカメラを備えたオートロック付きマンションを避けていたのだが、コロナ禍で状況が変わった。マスクをかけていても不自然ではなくなり、目深に帽子をかぶれば、録画も怖くなくなってしまったのだ。

 今回の事件で、犯人がマスクをしていたかどうかは明らかにされていない。

 しかし、マスクのおかげでよからぬことを企てる犯罪者が増えることは、容易に想像される。

 マスクがオートロックの犯罪抑止力を低下させる可能性が高いわけだ。

 それを防ぐため、「オートロックの操作盤ではマスクを外す」ことを義務化すると、今度は操作盤の飛沫感染が心配になる。不特定多数の人がマスクを外し、操作盤に顔を近づけて話をするわけだから、操作盤には近づきたくないという人も出てきそうだ。

防止するためには、「はい、マスクを取ります」

 オートロックの録画機能は、大きな犯罪抑止力になっている。その抑止力がマスクによって低下しているとしたら、オートロックの運用に見直しが求められそうだ。

 まず、考えられるのは、「一瞬の録画時間」を設けること。インターホンで「お届け物です」と名乗ったあと、「一瞬だけマスクを取ります」として、マスクや帽子なしの顔を見せる。ほんの1秒か2秒、呼吸を止めて、顔を録画される時間をとるわけだ。

 この方法ならば、操作盤への飛沫感染を心配することなく、録画が行われる。「録画されても、平気な人間です」と証明してから中に入ることにもなり、それなら、迎え入れる側も安心と思われるのである。

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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