6月以降、予想以上の来場者を記録している新築分譲マンションが続出している。

 4月と5月は緊急事態宣言に応じ、ほぼすべての販売センターが閉鎖されたので比較ができないとして……コロナ禍が起きる前の今年1月や2月と比べて、来場者数はほぼ同水準という販売センターが郊外部に多く出現。なかには、1月、2月よりも来場者が増えている、というマンションもある。

 さらには、3LDKが3000万円台で購入できる郊外マンションだけでなく、2LDKが9000万円台という都心高額マンションでも来場者が増加。そのまま成約する割合も高く、不動産業界にとっては予想外の展開になっている。

7月の週末は予約を取りにくいケースも

 もともとは、手探りの営業再開だった。

 5月末に緊急事態宣言が解除されたのを受け、不動産会社が閉鎖していたマンション販売センターを開け始めたのは6月に入ってから。一斉再開ではなく、様子を見ながら順次再開というかっこうだった。

 商談スペースには飛沫防止のスクリーンやパネルを設置し、販売センターへの来場者も人数を制限。「密」にならないように工夫を凝らし、恐る恐るの再開だった。

 「この時期、わざわざ来てくれる人はいるだろうか。特に、子連れのファミリー層は万一を考え、販売センターに近寄らないのではないか」

 来場者がまったく現れない、という最悪の事態も想定された。

 マンション販売は、営業を再開すればすぐに来場者が集まるものではない。インターネットサイトで告知し、新聞にチラシを投入、電話によるセールス活動を行うなどして、集客を行う。そのため、営業再開から来場者が集まりだすまで2週間程度はかかると考えられた。

 ところが、実際は2週間かからず、1週間後から来場者が集まりだした。1日の来場者数を制限していることもあり、週末は予約がとりにくくなり、7月以降は2週先、3週先の予約になるところも出ている。

 そして、販売センターに来て、翌週には成約というケースも目立つ。

 緊急事態宣言が解除されて、すぐに販売センターを訪れる人たちだから、もともと買う気満々ということもあるのだろう。

 長いステイホーム期間やテレワークを経験し、「改めて、我が家の狭さを実感した」という人たちは、広い分譲マンションをネットで探し、狙いを定めて見学に来ている。

 事前にネットで調べる時間が長かったので、「住戸は広く、価格も手頃だが、駅から遠い」といった長所も短所もわかっている。だから、決断も早いわけだ。

完成済みマンションへの関心も高まる

 じつは、不動産業界では、コロナ禍の影響で来場者が来なかったときのため、リモート商談の導入を検討するところが多かった。

 しかし、蓋を開けると、販売センターに足を運ぶ来場者が目立つ結果に。やはり、「一生に一度か二度の大きな買い物だから、実地に確認したい」という気持ちの人が多かったのだろう。

 この「確実性」を大事にする人が多いためか、今、完成済みマンションの人気も高まっている。

 完成済みマンションとは、すでに建物ができあがり、実際の建物と住戸内を見学できる物件を指す。

 たとえば、都内品川区でJR京浜東北線大井町駅から徒歩4分の超高層マンションは昨年7月に建物が完成。建物内のエントランスホールや内廊下など共用部だけでなく、建物内のモデルルームが公開されている。

 実際の建物内で、眺望や日当たり、音のあるなしを確認できるわけで、そのことに安心する見学者が多い。ちなみに、同マンションでは、3LDKが9000万円台からの設定でワンルームタイプであれば3000万円台からの設定。6月以降、20代の検討者も増えているという。

 さいたま市緑区で、埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩7分、総戸数が約700戸となる大規模マンションは、2016年と18年に建物が完成。首都圏のマンションが価格上昇する前の企画であるため、75平米以上の3LDKが多く、4LDKタイプも豊富だ。

 そして、価格は4LDKが3778万円から、という設定。キッチンにディスポーザー(生ゴミ粉砕処理機)が付き、ガスで電気をつくるエネファームが全戸に付く。さらに、敷地内に全戸分の駐車スペースが用意され、その使用料は月額4500円から……首都圏でマンション価格の上昇が本格化する前に企画されたマンションだからこそ実現した、盛りだくさんの内容だ。

 そのように、今では望みにくい広さや仕様を備えていることも、完成済みマンションの注目が高まる理由といえそうだ。