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維新勝利、大阪万博、「うめきた2期」で大阪・梅田の不動産価格が激変する可能性

櫻井幸雄住宅評論家
大きく様変わりしている大阪駅周辺。2025年に向けてさらに進化する可能性が。(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

 大阪では、7日に投票が行われた統一地方選挙・前半戦で、維新の吉村洋文氏が知事に、松井一郎氏が市長に当選。「都構想」を掲げ、2025年大阪万博を牽引する維新が支持されていることを示した。

東京の地価上昇は、2020年の6年前から始まった

 2025年大阪万博に関しては、期待の声と不安の声がある。が、それは2020年東京五輪が決まった後の東京にもあった。そんなことに大金を投じる場合か、失敗するに決まっている。不安の声は、まったく同じだ。

 不安の声はあっても、維新の勝利が大阪万博を力強く後押しすることとなる。そして、万博は大阪の不動産市況に少なからぬ影響を与えるはずだ。

 東京の地価に影響を与えた「2020年東京五輪」、その招致が決まったのは2013年の9月だった。その後、首都圏では新築マンション価格が大きく上昇した。が、13年9月に五輪招致が決まった時点から一気に価格上昇が始まったわけではなかった。

 じつは、東京のマンション価格上昇が始まったのは翌14年から。「東京五輪まで、あと6年」で、今年の大阪が「万博まであと6年」になるのと同じタイミングだった。

「うめきた」の2期は2024年にまち開きを予定

 不動産経済研究所が公表している分譲マンション価格の推移によると、13年、東京23区内新築マンションの平均価格は5853万円。それが14年には5994万円になった。前年と比べ、141万円上がっただけだ。それが、14年から15年にかけて23区内の平均価格は6732万円にまで大きく上がった。前年比738万円の上昇だ。東京五輪招致が決まった翌年から東京のマンション価格の上昇が始まったわけだ。

 不動産の世界では、「大阪は、東京の動きを追いかける」とされている。東京同様に、大阪のマンション価格は万博に向けて、今年、大きく上昇するのだろうか。

 大阪には、万博以外にも気になる動きがある。それは、「うめきた」の2期計画だ。

 JR大阪駅の北側、以前、「北ヤード」と呼ばれていた場所が「うめきた」として再開発され、先行地区のまち開きが行われたのは2014年。それから5年経った今、「うめきた」を含む梅田のイメージは大きく変わった。大阪工業大学梅田キャンパスや関西大学梅田キャンパス、宝塚大学大阪梅田キャンパスが開校し、本町や淀屋橋からオフィスを移す企業も多い。

 本町・淀屋橋から、ビジネスの中心地が梅田に移っている感があるほど、梅田では賑わいや活気が増している。

 その「うめきた」における2期区域(約16ヘクタール)について、 大阪市は2024年夏のまち開きを目指す工程を発表している。

 25年に大阪万博が開かれ、その前年24年に「うめきた」の新しい街区がまち開きする……JRの大阪駅を中心にした梅田エリアはこれから先、さらに大きく変貌してゆくのは間違いない。

純粋な梅田立地のマンションは、すでに激減

 現在、梅田エリアでは、新築分譲マンションを見つけにくくなっている。分譲マンションになるかと思ったら、賃貸マンションになったり、ホテルになるケースが目立つからだ。

 そのため、「梅田のマンション」といっても、梅田の中心エリアからだいぶ離れた物件が目立つ。純粋に「梅田」と呼べるのは、阪急「梅田」駅から徒歩5分、大阪メトロ御堂筋線「梅田」駅から徒歩8分に建設されている分譲マンションがひとつあるだけだ。

 14年にまち開きした「うめきた」エリアの先行地区では、超高層マンションが1棟つくられた。その住戸は70平米で7000万円以上となり、「とんでもなく値段が高い」とされた。が、短期間に完売。今、中古で売りに出れば大きく値上がりするのは間違いないとされる。しかし、実際の売り物は出てこない。「これから先、まだ値上がりするので、今、売るのは惜しい」と考えられているのだろう。

 これから工事が始まる「うめきた」2期区域でも、分譲マンション建設の計画がある。それは、一体どれくらいの価格になるのか。大阪万博を見据えて、大阪の人がびっくりするような価格設定になるだろう。が、もしかしたら分譲されず、高級賃貸マンションになってしまう可能性も否定できない。梅田を中心にした大阪の不動産市況は、しばらく目が離せない。

住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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