部屋に明かりがつかない……湾岸・晴海の不思議な超高層マンションの正体

マンション内のモデルルームには、眺望の開けた子ども部屋もあった。写真は筆者撮影

 湾岸の中央区晴海に、ちょっと変わったマンションがある。2年ほど前に建物が完成したのに、夜になっても住戸に明かりがつかない。1階のエントランス部分には照明がついているのに、それ以上の階は、夜の早い時間帯も真っ暗。人が住んでいる気配がない。

 そこからいろいろな憶測が生まれた。「中国人が買い占めて、値上がりするのを待っている」「賃貸マンションなのだが、家賃が高くて借り手がつかない」……いずれも釈然としない。

 その建物に、「建物内モデルルームオープン」の看板が出て、正式に販売が始まったのは今年初夏から。売り主は住友不動産。道路を挟んだ向かい側で、「ドゥ・トゥール」という大規模マンションを販売しているのと同じ不動産会社だ。

完成後2年を経て、「モデルルームオープン」の垂れ幕がかかった。写真は筆者撮影
完成後2年を経て、「モデルルームオープン」の垂れ幕がかかった。写真は筆者撮影

 取材すると、いろいろな事実がわかった。

 まず、建物が完成した後、販売できるようになったのは2年前2016年だった。しかし、当時はまだ隣接する「ドゥ・トゥール」(全1450戸)の販売に力を入れている頃で、タイミングではないと判断された。それで、「ドゥ・トゥール」の販売が終盤に入ってから、販売が開始されたという。

2LDKが5000万円台、3LDKが6000万円台

 マンション名は、「ベイサイドタワー晴海」。地上33階建て全352戸の大規模免震超高層マンションだ。内廊下方式を採用してエントランスは豪華。コンシェルジュサービスを採用し、地下に全戸分のトランクルームを備えるという特徴もある。

 住戸は2LDK~3LDKのファミリータイプで構成。窓付きの部屋が多く、キッチンのディスポーザーや天然石カウンター、浴室のミストサウナ、手洗いカウンター付きトイレなど、住戸の質は高い。

 なにより注目されるのは、その価格設定だ。6000万円台後半の3LDKと、5000万円台後半の2LDKが主体となっている。分譲マンションでよくある「3LDKが6000万円台後半から」ではない。6000万円台後半の価格設定を期待して行くと、実際に購入できるのは7000万円以上の住戸ばかり……というパターンではなく、実際に6000万円台後半で購入できる住戸が多い。2LDKは5000万円台後半で購入できる住戸が多いのだ。

 都心部の新築マンション価格が大きく上昇している今、「2年前、3年前に買っておけばよかった」と悔しい思いをしている人は多いのだが、その“2年前価格”で分譲されているように思える。

 「ベイサイドタワー晴海」は、いわばプレミアストック・マンションということになる。

すべての住戸を実物見学できる珍しい超高層

 建物がすでに完成しているため、実物を見て購入を検討できる。眺望が大きく開けた住戸が多いのだが、その様子を実地に見学できる。

 眺望が重要要素となる超高層マンションでは「実際の眺望を確かめて購入できる」メリットは大きい。しかも、「売れ残っている一部の住戸で眺望を確認できる」のではない。これから、全戸の販売を開始するので、全戸の眺望を確認できる。これは、大きな利点といえる。

 地下に設けられている駐車場も「空きなし」ではなく、これから受付開始される。「プレミアストック」のよさを享受できるマンションというわけだ。

「HARUMI FLAG」エリアに近いという長所も

 「ベイサイドタワー晴海」には将来の楽しみもある。

 それは、10月末に記者発表された「HARUMI FLAG」エリアに近いことだ。「HARUMI FLAG」とは、2020年東京五輪選手村が五輪後に分譲されるときのマンション・プロジェクト名。その計画図をみると、「HARUMI FLAG」の商業施設群に近く、同エリア内に新設される公立の小中学校の通学区に「ベイサイトタワー晴海」が位置している。

建物内モデルルームから、「HARUMI FLAG」建設地を見下ろす。筆者撮影
建物内モデルルームから、「HARUMI FLAG」建設地を見下ろす。筆者撮影

 「HARUMI FLAG」では、今後4125戸が分譲されることになっており、それを機に晴海(HARUMI)エリアへの注目が高まって行くだろう。

 以前、解説したように(https://news.yahoo.co.jp/byline/sakuraiyukio/20181017-00099290/)売り主が東京都であるために「HARUMI FLAG」は高倍率の抽選になる可能性があり、簡単に購入できるとは限らない。そこで、とりあえず「ベイサイドタワー晴海」を購入しておいて、「HARUMI FLAG」の抽選に申し込むという発想もありそうだ。

 あの建物はなんだろう、と長く「?」マークがついていた「ベイサイドタワー晴海」は、じつは「!」マークがいくつもつくマンションだった。