花見に行ってもいいのでしょうか?

今年も花見の季節がやってきました。

「花見に行ってもいいのでしょうか?」

というご質問をいただくことが増えました。

花を見ると書いて花見です。

花を見るだけでは新型コロナに感染することはありません。

感染のリスクは、花を「どのように見るか」で変わってきます。

リスクの高い花見のしかた

次のような花見はリスキーです。

  • 同居者以外と、屋内外を問わず、お互いに近い距離(1~2メートル以内)でマスクをせずに話をする。
  • 人が集まっている換気の悪い空間に滞在する。

花見に限らず、どのようなイベントであっても、このような状況には感染のリスクが伴います。同居者どうしは日常的に同じ空間を共有しながら濃厚接触をしているので、花見の席で特別な対策を講じることにあまり意味はないと思われます。

新型コロナの主要な感染経路は飛沫感染です。ヒトが呼吸、会話、歌唱をするとき、鼻や口から目に見えない飛沫と呼ばれる微粒子が出て行きます。飛沫の大部分は発生源から2メートルあたりまで届きますが、微粒子の大きさや重さ、ヒトの声量や体格、環境の温度・湿度・気流などの条件によって飛ぶ距離は変わります。

筆者作成
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マスクをしていない感染者の近くにいると、鼻や口から放出されたウイルスを含む飛沫が、目に入ったり、鼻や口から吸いこまれて感染することがあります。

しかも新型コロナは無症状の時期から感染性が生じるやっかいな感染症です。花見のときには元気そうでも、発症前の感染性の高い時期の無症状感染者から、ウイルスを含む飛沫を介した感染が起こり得ます。

また、複数の人が利用する換気が悪い空間では、飛沫の水分が蒸発した、より軽くて小さな微粒子が空気中を一時的に浮遊することがあります。このような空間に感染者がいた場合は、空気中を浮遊するウイルスが付着した微粒子を吸い込んで感染するリスクが生じます。

自分が滞在する空間の換気の良し悪しは、多くの場合、感覚で判断するしかありません。窓やドアが開いておらず、空気が流れていない感じがする場所や、人と人の距離が近く、ほとんどの人がマスクを外して飲食や話をしている場所などは避けるのが無難です。

筆者作成
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安全な花見のしかた

同居者以外との花見において、感染のリスクを下げるポイントは次の3つです。

  • 近くで飛沫を飛ばさない
  • 換気の悪いところには行かない
  • 体調が悪いとき(いつもと違うとき)は参加しない

これらのポイントを押さえた安全な花見には、例えば次のような方法があります。

  1. マスクを着けたまま、歩きながら、あるいは座って屋外で花を見る。
  2. 花を見ながら飲食をするなら、飲み食いしているときは話をせず、話をするときにはマスクを着ける。
  3. 換気が悪そうな屋内の空間には行かない。

なお、2の飲食を伴う花見では、参加する人数が少なく、お互いの距離が遠く、一緒にいる時間が短く、声が小さいほど感染のリスクは下がります。お酒を飲むと、このような冷静な行動が難しくなります。安全を優先するならお酒を飲まない2の方法か、1の方法がお勧めです。特に、高齢者や基礎疾患のあるハイリスクの方や、家庭や職場でハイリスクの方と接する機会が多い方は、同居者以外との花見は1の方法がベストでしょう。それでも、人でごった返す桜の名所は屋内外を問わず避けたほうが良いでしょう。

そして、新型コロナの発症初期の症状は軽いことがあります。喉の違和感や軽い痛み、関節や筋肉の痛み、下痢、微熱があるといった症状でも新型コロナに感染していることがあります。体調が悪いときや、「いつもと違うな」と思うときは、人と会うのは避けて休養することが感染を防ぐ上でとても大事です。

いつもの仲間をつくる

同居者以外と飲食をしないのが感染のリスクを最も下げますが、そうはいっても誰かとご飯を食べたい場合は、一緒にご飯を食べる仲間を固定する方法もあります。海外でバブルと呼ばれたりもしますが、日ごろ同じ空間を共有する人を決めておくやり方です。

バブルをつくる場合、異なる世帯に所属する人が集まることになりますが、バブルに入る人数、そして、バブルの中の人が所属する世帯数やそれぞれの世帯を構成する人数は少ないほうが安全ではあります。

少数から成る少数の世帯に所属する少数メンバーから成るバブル(筆者作成)
少数から成る少数の世帯に所属する少数メンバーから成るバブル(筆者作成)

バブルの中の人数、それぞれが所属する世帯数や世帯の構成員が多いと、バブルの中で感染者が発生したとき、二次感染のリスクを負う人の数が多くなります。特に世帯に高齢者や基礎疾患のあるハイリスク者がいる場合、バブル内での感染が家庭内感染に至ると、重症化の恐れが生じるので注意が必要です。

バブル構成員、世帯数やその構成人数が多いと二次感染のリスクを負う人も増える(筆者作成)
バブル構成員、世帯数やその構成人数が多いと二次感染のリスクを負う人も増える(筆者作成)

変異株とワクチン

この記事を書いている2021年3月20日現在、国内の新型コロナ新規陽性者数は下げ止まっており、首都圏では再び増加する兆しがあります。また、これまでと違うのは、感染性や病原性が従来の株よりも高いと考えられる変異株が各地で検出されていることです。そのため、ここで述べたような感染対策を、花見の席に限らず、日常的に行わなければ、4月から5月にかけて感染者が急増し、重症化する人も遅れて増加する懸念があります。

一方で、感染や発症、重症化の予防に高い効果が期待できるワクチンの接種も始まっています(新型コロナワクチンについて知りたい方はこちらを是非ご覧ください)。接種が順調に進んでいるイスラエルでは、すでに全国民の約6割が少なくとも1回目の接種を終えており、経済活動を再開しているにもかかわらず、新型コロナの入院患者数も死者数も減少しています。日本でも同じような状況がやがて実現することを期待したいところですが、実現するとしてももう少し先になりそうです。

予防接種を進めると同時に、

近くで飛沫を飛ばさない

換気の悪いところには行かない

体調が悪いとき(いつもと違うとき)は休養する

という予防行動を地道に続けることが求められています。

この記事は2021年3月20日現在の状況・知見に基づいて執筆しています。