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コロナ禍でも挫折しにくい貯金 4つのルールとは?FPが解説

坂本綾子ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士
(写真:アフロ)

コロナ禍でも貯めたいならルールを見直そう

2022年、コロナ禍も3年目に突入した。いまだに不安はぬぐえないが、マスクを付けての生活やリモートワークにも慣れて、コロナ禍でもなるべく妥協せずに、生活や仕事において自分の希望を貫きたいと考える人は多いのではないだろうか。そして、今年こそ貯める!と2022年をスタートした人もいるだろう。1か月がたち、経過はどうだろうか? 

お金を貯めると言えば、無駄な支出を洗い出しての節約が定番。しかし、コロナで精神的にもしんどい中、自分に厳しくし過ぎると、返ってリバウンドがくる。そこで提案したいのが次の4つのルールだ。

1、のらりくらりでかまわない

2、目標は低くてよい

3、こだわり過ぎない

4、客観的になる

では、それぞれの方法と理由を解説したい。

1、のらりくらりでかまわない

あの人はのらりくらりしていると言ったら、ホメ言葉ではないだろう。得体が知れない? 優柔不断? もっとハッキリしてよとドつきたくなる感じだろうか。しかし、これからの貯蓄は、のらりくらりでかまわないのだ。

この2年間、外に出てバリバリ活動したくても、自宅にいるしかない、状況を受け入れて待つしかない、そんな時間を過ごし、どうにもならないときはどうにもならないことを学んだはずだ。一直線にテキパキと貯まっていかなくても、1月がダメだったなら2月は少し気合をいれてみようか、なんて感じでかまわない。状況を見ながら臨機応変に対応できるのは、実は素晴らしい能力だし、強さでもある。なかなか収まらず人類を翻弄するコロナウィルスと共存していくには、こちらにもしたたかさが必要だ。ポキッと心が折れて、あきらめてしまうより100倍マシだと思おう。

2、目標は低くていい

昔お金が貯まらなかったとき(私自身のことです)、高い目標を掲げていた。毎月積立をしていたが、やりくりがうまくいかず、取り崩すこともたびたび。いわゆる貯蓄のリバウンドだ。自分の現実が見えないまま、目標だけを高く掲げ、何か月かは頑張って少し貯まっても、結局それを取り崩して使ってしまい、残高は増えないまま。ファイナンシャルプランナーになってみると、そういうことをしているのは私だけではないことが分かった。理想が高すぎて無理をするのは、お金がなかなか貯まらないパターンの1つなのだ。

毎月の収入から一定額を確実に貯蓄に回すには、自動積立の定期預金などがおすすめだが、毎月の積立額は無理のない金額、確実に貯められる金額にするのがコツ。毎月〇〇円積立てて1年で○○円貯める。その目標は高すぎないこと。現実的に考えるということ。確実に貯められる金額を設定してちゃんと成功する。これが大事! 低めに設定しているから、使うお金もある程度確保できるし、余裕があった月は、追加で貯蓄に回せばよい。逆に支出がかさんでギリギリの月も、なんとか乗り切ったと達成感を味わえる。そして、コロナの影響で収入が減ったとか、子どもの教育費がかかる時期などは、一時的に積立額をさらに減らしたり、いったん中止して立ち止まったりしてもいい。新しい積立はできなくても、収入の範囲でやりくりできて、貯蓄を取り崩さずにすんだなら、大変な状況をなんとかしのいだということだ。嵐が収まったら、また始めればいい。そうこうしているうちに、少しずつ確実に残高が増えていけば、さらにモチベーションが上がるはずだ。

3、こだわり過ぎない

銀行の預金金利は超低金利。そんな中、ネット銀行などでは高めの金利の定期預金がある。しかし、高いと言ってもバブル経済でホントの高金利だった頃に比べればドングリの背比べだ。わずかな金利差でも、利息に差が出てくるには、元本が相当大きい必要がある。毎月数万円の積立なら、普通の銀行の低い金利でも大した差にはならないから気にしない。まずは、ある程度の元本を貯めて、お金の塊を作ることが大事。同時に、ただ貯めるだけではなく、増やすことも考えると、積立の一部を投資信託にしたい。例えば毎月3万円を積立てるなら、1万円を投資信託にする。という話をすると、じゃあどの投資信託にするか、どの金融機関がいいのか、こだわりたくなるが、こだわり過ぎない方がいい。

現在、消費者が一般的に利用する多くの銀行では、定期預金の自動積立はもちろん、投資信託の積立も可能で、その際には、利益にかかる税金が非課税になる「つみたてNISA」や「iDeCo」も使える。運営管理の手数料がかからず、いつでも解約できる利便性から、とりあえずは「つみたてNISA」を選び、日経平均やトピックスに連動するインデックス投信を選んでおこう。

給与振り込みに使っている銀行で、定期預金の積立と、投資信託の積立を併せて行うのが、最も手間がかからず、シンプルでわかりやすい。いちいち、積立用のお金を別の金融機関に移す面倒もない。こだわりたい人、自分らしさを求める人には、あまりにつまらない選択に見えるかもしれないが、この仕組みを作れば、後は貯めたお金を取り崩さないように、残りのお金でやりくりすることのみ心掛ければ、確実に貯まって、投資信託の部分は時間の経過により増える可能性もある。投資信託の積立に慣れて来たら、改めて投資信託の種類によるリターンの違いなどを勉強して、別の投資信託に乗り換える方法もある。最初からこだわり過ぎずに、まずは仕組みを作る。第一歩を踏み出すことだ。

そして最後のルールは、

4、客観的になること

自分の行動、貯蓄残高を含め、定期的に冷静に確認する。毎月の積立額や、投資信託の選択など、変更したらメリットがある、より貯められると判断したら、臨機応変に変える。まずは、今できることから始めて、確実に目標を達成し、状況に合わせて変更しながら継続していく。

大事なのは、途中で止めないこと、あきらめずに続けること。コロナ禍で学んだことを、貯蓄にも活かしたい。

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士

雑誌記者として22年間、金融機関等を取材して消費者向けの記事を執筆。その経験を活かしてファイナンシャルプランナー資格を取得。2010年より、金融機関に所属しない独立した立場で、執筆に加えて家計相談やセミナー講師も行う。情報の取捨選択が重要な時代に、それぞれの人が納得して適切な判断ができるよう、要点や背景を押さえた実用的な解説とアドバイスを目指している。

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