「NHKから国民を守る党」が東京23区中19区議会で議員を当選させていた

筆者が住む大田区の区議会議員選挙のボードに貼られた植田氏のポスター

NHKの受信料に物申す不思議な政党

「NHKから国民を守る党」の存在を知っているだろうか。自身もNHKに在職していた立花孝志氏が党首として率いる政党で、訴えるのはNHKの受信料拒否。NHKを公然と批判するその語り口は驚きつつも潔さも感じる。これまでも都知事選挙に出馬して政見放送で喋る姿がテレビで流れている。政見放送なのでNHKの電波を使って「NHKをぶっ壊す!」と叫んだ時はものすごい衝撃を受けた。タブーに挑戦する姿には拍手を送りたくもなる。

ただ一方で、あまり効力がある運動をやっているようには見えなかった。正直言って、変わった人たちが変わった主張を繰り広げているだけで、世間的には相手にされない活動なのではないかと見ていた。高を括っていたと言っていい。それは多くの人が同じ反応だったように思う。

統一地方選挙に多くの候補を擁立、当選者も

ところが今回の統一地方選挙で名前を見かけた。政治家としての活動は立花氏一人と思い込んでいたのだが、私が住む大田区の区議会議員選挙に「うえだともかず」という候補が「NHKから国民を守る党」として立候補していたので驚いた。区議会議員選挙に候補を送りこむような政党とは思っていなかったのだ。

月曜日になって選挙の結果を見たら、自分が投票した候補の当落とともに「うえだともかず」の結果も気になった。落選を予想していたのだが、なんと当選していた。

そのことを友人たちに面白半分で伝えると、他にも「うちの区でも当選していた」と教えてくれた。そんなにあちこちに候補者を送り込んでいたのか?

そこでまずは東京23区の区議会選挙を一つ一つ調べてみたら、驚くべき結果が見えてきた。

表:23区のサイトから筆者が作成
表:23区のサイトから筆者が作成

まとめたのがこの表だ。「NHKから国民を守る党」は23区のうち19区にひとつずつ議席を得ていたのだ。まず党首の立花氏はすでに昨年11月の葛飾区議会選挙で当選していた。続いて台東区では3月に掛川氏が当選している。足立区だけは5月の投票なので、残りの20区に同党は候補を送り込んでいた。そして千代田区と港区、江戸川区で落選した以外、すべて当選している。20人中17人という、驚くべき当選率だ。すでに得ていた2つの区と合わせて23区のうち19区で議席を確保したことになる。ポッと出の新党の成績としては類い稀ではないだろうか。

なお23区以外にも多くの候補者を主に関東関西の市議会選挙に送り込んでいるが、現時点で全体を私として把握できないので23区に絞ってここでお伝えした。

NHKに対する反感が育ちつつある?

これがどういうことなのか、これから調べてみたい。この記事では推測と私なりの解釈しかできないが、変わった政党だからと言って決してふざけ半分の投票の結果ではないと思う。ふざけ半分の人はそもそも投票しに来ないはずだからだ。受信料のことを中心にNHKに対する反感を持つ人が少なからず存在するということではないだろうか。

そして実際、これからNHKは「今後の受信料をどう徴収するか」の問題に直面する。放送と同じ内容をネットで視聴可能にする常時同時配信が実現に向かっている。だからと言って「ネットで受信料を取る」ことは現状の法律では無理だ。だからと言ってそれを可能にする法改正なんて簡単にはできない。下手をすると国民全体を敵に回しかねない。そんな中での「NHKから国民を守る党」の躍進は、さほど興味がなかった層にもこれからの受信料の問題を喚起しそうだ。

もう一つは、NHKと政権との距離にはこのところ気になる部分が多いこともある。最近もNHKの役員人事について疑問を投げかける報道があった。受信料と直接は関係ないが、政権との距離を見誤ると受信料拒否の大きな運動に火をつけかねない。「守る党」はこの意味でも影響を及ぼす団体になる可能性もある。

党首・立花氏のツイートによると今回は23区以外でも議席を確保し、所属する政治家は39名になったそうだ。

各地方議会に一人ずつでは大した勢力になりそうにないが、「参議院選挙の土台」と言うからには、次の動きも準備しているのだろう。この党の今後の動きはチェックしていきたい。