Yahoo!ニュース

「おっさんずラブ」最終回で「逃げ恥」ツイート数を超える可能性が!

境治コピーライター/メディアコンサルタント

ツイッターで異様に盛り上がる「おっさんずラブ」

このクールも面白いドラマが目白押しだが、中でも最大のダークホースとも言えるテレビ朝日土曜深夜の「おっさんずラブ」は期待以上の話題作となっている。さえないサラリーマンの青年が、部長と後輩、二人の男性に告白されて悩むというピュアなストーリー。ツイッターでも話題沸騰で、「ザテレビジョン」でツイッターのデータから計測する「視聴熱」でもドラマ部門ダントツ1位だ。

→視聴熱ランキングサイト

筆者もデータセクション社のソーシャルテレビ計測ツール「TV insight」で時々チェックしているが、深夜帯の視聴率3〜4%の番組としては驚くべき数値を叩き出している。普通、ドラマのツイート数は1000人〜2000人がツイートしてツイート数が5000を超えれば十分盛り上がったことになる。例えばドラマ好きの間では傑作と話題の月9「コンフィデンスマンJP」の直近の回ではこういうデータとなった。

画像はデータセクション社「TVinsight」より
画像はデータセクション社「TVinsight」より

1分あたり130ツイート、Twitterでハッシュタグをかけて見ていると、秒速でツイートが流れていく。十分盛り上がっている数値だ。

ところが、「おっさんずラブ」の最新回、5月26日夜の第6話のデータはこうなっていた。

画像はデータセクション社「TVinsight」より
画像はデータセクション社「TVinsight」より

これはなんだ?!1万3千人がツイートし、数は6万を超えている。1分あたり1200を超えるツイートが流れているのだから、もう速すぎてツイートが読めない状態だろう。これは異常と言っていい状況だ。

ゴールデンやプライムタイムならともかく、土曜の夜11時台、視聴率も正直数%の番組でこの数値はいったいどういうことか。普通、深夜のドラマは録画したり配信で見たりする人が多いのに、リアルタイムで見てキャッキャと騒いでいる。一人当たりツイート数が5近いのは、多くの人が何回も何回もツイートしていることになる。

祭りだ!「おっさんずラブ」の放送では毎回、大きな祭りが起こっているのだ!

あの「逃げ恥」の偉業を超える可能性が!

この異常値を見ていて思い出したのが2016年秋のTBS「逃げるは恥だが役に立つ」通称「逃げ恥」だ。あのドラマでも確かツイート数は最後のほうで5万6万に達したはず。

そこで「TV insight」であらためて「逃げ恥」のデータを取り出し、「おっさんずラブ」と比べてみた。

画像はデータセクション社「TVinsight」より
画像はデータセクション社「TVinsight」より

「おっさんずラブ」は話数が少ないので比べにくいが、ラス前「逃げ恥」第10話と「おっさん」第6話の数値が拮抗している!人数は1万8千と1万3千で少し差が大きいが、ツイート数では6万3千と「逃げ恥」ラス前を凌駕しているではないか。これは一人当たりのツイート数が多い証で、まさしく「視聴熱」の高さの表れと言えそうだ。

長らくドラマのツイートを見つめてきた筆者からすると、これはひょっとすると最終話で革命的な現象に立ち合えるかもしれない。プライムタイムの歴史的ヒット作「逃げ恥」を、マニアックな深夜枠の「おっさんずラブ」がツイート数で抜き去る可能性が出てきたのだ!

グラフ作成は筆者
グラフ作成は筆者

もちろんこれはドラマのある側面での数値に過ぎない。だがこのところ、視聴率とは何か、視聴率とは別の評価基準もあるのではないかということが、テレビ視聴の議論でも、ビジネスの現場でも起きつつある。その意味では、「おっさんずラブ」はドラマの新しい価値を示してくれるのかもしれない。

という理屈っぽい話は置いといて、最終回はリアルタイムで見て大いに盛り上げたい。「おっさんずラブ」の最後の放送がいよいよ楽しみだ!

コピーライター/メディアコンサルタント

1962年福岡市生まれ。東京大学卒業後、広告会社I&Sに入社しコピーライターになり、93年からフリーランスとして活動。その後、映像制作会社ロボット、ビデオプロモーションに勤務したのち、2013年から再びフリーランスとなり、メディアコンサルタントとして活動中。有料マガジン「テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder」発行。著書「拡張するテレビ-広告と動画とコンテンツビジネスの未来」宣伝会議社刊 「爆発的ヒットは”想い”から生まれる」大和書房刊 新著「嫌われモノの広告は再生するか」イーストプレス刊 TVメタデータを作成する株式会社エム・データ顧問研究員

境治の最近の記事