名ばかりインターンは減らず?インターン「エントリーの予約」で2021卒就活はすでにスタート

(写真:アフロ)

6月1日に大手ナビサイトのインターン版がグランドオープンし、夏のインターンに向けた「事実上の就活」が始まる。…というのが表向きの話なのだが、実はすでに学生の間では「インターンへのエントリー合戦」が始まっている。

インターンにエントリーできるのは6月からなのだが、それに先駆けて「エントリーの予約」を大手ナビサイトが受け付けているのだ。

今回はそうした仕組みの実情と、学生の動きについてお話したい。

【エントリーの予約はエントリーではないのか?】

一般的に就活の本選考では、簡易的な個人情報を送信するだけのプレエントリーと、エントリーシートなどを提出する本エントリーを分けるという事がある。

しかし、「インターンエントリーの予約」はそれとは全く異なるものであり、「予め設定された個人情報が、6月1日になったら当該企業に送信される」という仕組みになっている。

本エントリー時になにか追加の作業が必要になるというわけではなく、まさに「予約送信」のための機能である。

ナビサイト上には、下記のような文言が踊っている。

「今すぐインターンシップを探して、6月1日の応募受付開始を待たず、エントリー予約ができる!(リクナビ2021)」

「エントリー予約すると6月1日に自動でインターンシップにエントリーできます!企業からインターンシップの案内が届くのは6月1日以降になります。6月1日までは企業に個人情報は送られません。(マイナビ2021)」

なぜこのようなやり方をするのかと言うと、「6月1日になるまでは企業に個人情報を渡していない」というエクスキューズのためだ。

他社サイトよりも多く学生の応募を獲得するためには「インターンへの応募」が早期からできる方が有利だ。しかしインターンへの応募そのものを早期化させれば大学などからの批判も予想される。

そうした事を配慮した結果が「エントリーの予約」という回りくどいシステムを生んでしまったのだ。

2021卒の学生は、すでにそういった情報を見てエントリーの予約に励んでいるようだ。中には「40社予約した」という学生もいる。

しかし、これは事実上エントリーを開始しているのと同義ではないのだろうか。エントリーした企業からのレスポンスが6月になるというだけで、学生側はすでに情報収集し、アクションする事を求められている。

【すでに「出遅れた」と焦る新三年生】

「就活の開始に出遅れて焦っている」という発言を最近チラホラと聞くようになった。

2020卒の大学4年生の話ではない。2021卒の3年生の発言だ。

「ベンチャーや外資にはもう応募できると聞いたが、どの企業がインターンをやっているかわからない」

「周りはもうグループディスカッションの対策をしている人もいるみたいだが自分は何もやっていない」

というような焦りだ。

大手ナビサイトでは「6月まで企業に個人情報を渡さない」と自主規制しているものの、既にマイページの登録が可能な企業、ESの締め切りが5月末に設定されている企業もあるのだ。

「6月からインターン情報解禁だと聞いていたが、実際にはもう始まっていて困惑している」

そんな気持ちを持っている就活生も少なくないのだ。

【変わらず多いワンデーインターン】

本日5月28日時点でマイナビでは2328社(3644件)、リクナビでは3834社に「エントリー予約」が可能になっている。

そしてその半数近くが「1日開催」となっている。

政府が「名ばかりインターン」を問題視し、「就業体験を伴わないワンデーインターン」を禁止要請したと報じられているが、現実としてそのようなインターンは減っていないようだ。

今年2月に政府が「禁止要請」を表明した時は波紋を呼んだが、結果として実効性のない要請で学生を混乱させただけになってしまっており、「禁止要請」がいかに無力な物なのかを改めて実感させられた。

状況をまとめると

・実質的に会社説明会の代替となるワンデーインターンは2021卒でも変わらず多数開催予定になっている。

・ワンデーインターンを含むインターンへの「応募の予約」はすでに始まっており、事実上の就活開始となっている。

という事になる。

結局のところ、合理性のない禁止要請だけでは企業は変わらない。

たしかに「ワンデーインターン」と言いながら実質的に会社説明会レベルの内容になっている事は問題だが、結局のところ学生と企業の双方が早期接触したいと思っているところに「要請」しても両者は止まらない。

早期接触させたくないのであれば、禁止要請するのではなく「早期接触しない方が合理的」となるような状況・制度作りをしていく方が賢明だろう。