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すでに2割が内定ホルダー?過去最大級の売り手市場に焦る企業、焦る学生。

酒井一樹就活SWOT代表
(写真:アフロ)

マイナビが4月12日、「2019年卒マイナビ企業新卒採用予定調査」の結果を発表した。調査期間は2018年2月6日~3月4日であり、2136社が同調査に回答した。

<TOPICS>

【採用予定数】すべての学生分類において「増やす」が「減らす」を上回る。さらに「短大」「高卒」など採用対象の広がりが見られる

【採用予定数の前年実績比】2018年卒実績の16.8%増を目指す。業種別では「金融」が唯一実績を下回り、「サービス・インフラ」が大幅増

【採用基準/採用環境の見通し】採用基準を「厳しくする」企業の割合は増加。過半数の企業が採用の見通しについて前年より「厳しくなる」と回答

【採用手法】「体験型インターンシップの受け入れ」が実践・注力・新規導入ともに増加

出典:https://www.mynavi.jp/news/2018/04/post_16900.html

2019年卒の採用予定数は、全体平均で見ると前年比16.8%増加している。この増加幅は、17卒採用実績→18卒採用予定数の増加幅(2.4%)に比べても非常に大きい。

金融業界ではメガバンクの大幅採用減が伝えられているが、それでも業界全体で見ると採用予定数は前年並になると言われている。

金融業界のみ採用予定数が減少したものの、それでもほぼ前年並。金融業界以外は大幅に採用予定数が増加している
金融業界のみ採用予定数が減少したものの、それでもほぼ前年並。金融業界以外は大幅に採用予定数が増加している

特に学部卒・理系というカテゴリーにおいては34.3%の企業が採用を増やすと回答した。

選考基準については「厳しくする」と回答した企業が増加する一方で「ゆるくする」と回答した企業も増加している。

採用基準を厳しくする企業だけでなく、ゆるくする企業も増加
採用基準を厳しくする企業だけでなく、ゆるくする企業も増加

【 焦る企業。しかし、焦る学生も多い 】

競争激化する採用環境を意識してか、3月中に内定を獲得する学生が前年と比べても明らかに多かった。他社よりも早く内定を出し、学生を囲いたいと企業側が焦っているのだ。

リクルートキャリアの調査によると4月1日時点での19年卒学生の就職内定率は、前年比5.4%上昇の19.9%となった。つまり、全体の約2割がすでに内定ホルダーだということだ。

(なお、同調査で3月1日時点でもすでに9.8%となっていた)

地域差はもちろんあるが、首都圏においては街中で早々に「内定辞退」の仕方に頭を悩ます学生も見かけられた。

外資系企業やベンチャー企業ばかりでなく、日系企業もインターンで接触した学生に早期に内定を出すケースが見られる。

しかし、企業が内定出しに積極的だとは言っても、内定は優秀な学生に集中する傾向にある。

「楽勝だった」と余裕を見せる学生、「まだ内定が出ていない」と焦る学生の二極化も激しい。

売り手市場だからといって全員が行きたい企業に行けるという事ではなく、むしろ「売り手市場なのに落ちてしまった」と気負う学生もいる。

実際、昨年のディスコ「キャリタス就活 2018卒学生モニター調査」によると第一志望企業に内定したと回答した先輩の割合は32.6%となっている。

3人に1人が「第一志望だと言える企業」に内定しているなら十分に売り手市場だったと言えるが、第一志望に内定できなかった残りの学生の視点では「売り手市場なんてとんでもない」と感じるのも仕方がないことだろう。

「売り手市場と言われているのだから妥協したくない」と考えた結果、有名企業ばかり受験しているうちに出遅れてしまうパターンが危険だ。

全体で見れば売り手市場にシフトしていることは間違いないものの、学生の大手思考が強まった結果、大手企業の採用倍率はむしろ高まっているという調査結果も存在する。

現時点で選考に手応えを感じられていない学生は、早めの「軌道修正」を考えていただきたい。

就活SWOT代表

慶應義塾大学在学中、世界初の就活SNSの代表に就任。国内最大の就活SNSへと成長させた後に大学を卒業し、エグゼクティブサーチを行う人材ベンチャーに入社。役員・事業責任者などの幹部人材の採用支援に携わる。2009年にエイリストを設立し「自分の頭で考え、行動する人材を増やす事」を命題として就職情報サイト「就活SWOT」を開設。

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