【就職活動】企業の財務情報で確認すべき「求職者」としての着眼点

就活SWOT代表の酒井です。

就職活動を行う際、「企業の財務諸表を読んでおいた方が良い」と言われても、会計知識の無い方にはハードルが高いと感じられることもあるでしょう。

しかし、就職しようと考えている企業が上場しているならせっかく公開されている情報を精査しないのは大変もったいないことです。

最低限の内容だけでもチェックするために、見るべきポイントを把握しておきましょう。

今回は「投資家視点」ではなく「求職者視点」での重要ポイントをまとめてみました。

画像

【売上・利益の推移や従業員数の推移】

「成長企業で働きたい方」「安定企業でじっくりと働きたい方」の2パターンに分けて記載いたします。

◎成長企業で働きたい方

言うまでもありませんが、まず売上、営業利益の成長率が重要です。売上が伸びていることも重要ですが『営業利益』がそれに伴って伸びているかどうかも重要です。その上で、従業員数の推移をチェックしましょう。

(有価証券報告書にはその年の従業員数が書かれているため、1期分ずつ見ていけば推移がわかります)

求人サイトで「増収増益」を謳っている企業は多いのですが、増収増益であっても「従業員1名あたりの売上・利益」は伸びていない事があります。

特にベンチャー企業にはありがちですが、利益の増加ペースが、従業員の増加ペースに追い付いていない場合には注意が必要です。

先行投資が売上拡大につながっていない可能性があるためです。

◎安定企業でじっくりと働きたい方

成長企業で働きたい人や、投資家目線では「伸びている方が良い」のが売上数値ですが、従業員視点で見ると「伸び率は高ければ高いほど、良い」とは言えません。

伸び率が高く急拡大している会社は、概して業務も忙しいものです。

効率化が進んだ結果として成長している企業もあるのですが、成長スピードを加速するため、中にいる社員が激務を強いられているケースも考えられます。

そのようなリスクを回避したい方にとっては、むしろ従業員数が極端に増減していない企業が好ましい場合もあります。

ただし、当然そういった企業は採用枠も少なく独自のカルチャーが形成されているケースも見受けられます。

そういった企業の場合、中途入社で転職しても入社後、カルチャーにマッチしないというリスクも考えられるため注意が必要です。

(新卒者であれば変な先入観がないため、抵抗なく馴染んでしまうことも考えられますが「他の会社」を知っている中途の場合、どうしても比較してしまいがちです。)

可能であれば、その企業へ中途入社した社員さんの話を事前に聞いておくと良いでしょう。

【売上のうち、粗利益(売上総利益)となるのはどの程度か】

売上も大事ですが、それ以上に重要なのが「売上から原価を差し引いた金額」(=粗利益)です。

売上が同じ程度の会社でも、原価があまりかからない事業を行う会社と半分以上が原価となる会社では、粗利益は大きく異なります。

もちろん粗利率は高い方が良いものですが、それ以上に重要なのは「粗利率をコントロールする力がその会社にあるか」ということです。

例えば価格が1000円、原価率が9割のサービスがあったとすると、原価は900円、1件あたりの粗利は100円となります。

もし市況の変化でこのサービスが1000円では売れなくなってしまった場合…例えば、500円でしか売れなくなったとします。この時、原価も半分に抑えられるようなビジネスモデルになっていれば利益の絶対額は下がるものの、利益が出る状態は変わりません。

しかし、原価を変えることができないのであれば「売るたびに赤字」という状況に陥ってしまいます。

売上が変動した時に原価を変えることができるかどうかによって経営を継続させるための難易度が大きく変わってきます。現時点での粗利率だけでなく「コントロールする力があるかどうか」が重要です。

【営業利益率と販管費率】

売上から原価を引いた売上総利益(粗利)から「販売管理費」を差し引いたものが、営業利益です。

販売管理費とは、人件費、家賃、広告費などが含まれます。平たく言えば「原価以外の出費」です。

ここで最終的な営業利益の大小も重要ですが、注意しておきたいのが営業利益率です。「営業利益率」と「売上に対する販管費の割合」をセットでチェックしておきましょう。

営業利益率が高く、販管費率が低い会社というのはある程度の売上増減にも耐えることができます。

一方で、営業利益率の低い会社、販管費率の高い会社というのは売上の減少でアッという間に赤字転落になりやすいのです。

【負債の内容】

最後に、「負債(有利子負債)」の内容をチェックしておきましょう。

この時にポイントとなるのは「未払金」、「未払法人税」は除外して考えることです。

会計を知らないと「未払いのお金なんてあって大丈夫なのか」と思ってしまいそうなのですが、これは決算日の時点では支払う金額が確定していなかったものなので、未払いで当然なのです。

よく「無借金経営」だとアピールしている会社がありますが、無借金経営の会社でも未払い金は必ず発生します。

(「無借金経営」という言葉がありますが、未払金がゼロになることはないので、無借金経営=負債がゼロ というわけではないのです。)

つまり注目するべきなのは、それ以外の負債の内容です。その金額が純資産の金額と比較して過大な場合には、注意が必要です。

【まとめ】

財務的な分析を始めると細かい計算も必要になるのですが、単に転職先を探す上では、上記のような点に気をつけておけば十分でしょう。

財務情報からもその企業の性格がわかる部分は多く、例えば利益率の高い会社では、「高い利益率が当たり前になっているから、新規事業を提案しても利益率低いと承認されない」など、そういった話も散見されます。

「財務的に良好ならそれでいい」とは言い切れないのが転職先を探す上で難しいところです。是非ご自身の志向性と照らしあわせて、企業分析をしてみてください。

出典企業研究に関する就活記事まとめ