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コロナ禍を経た「エンタメ復興」へ水樹奈々が2年半ぶりにアルバム 「待ちに待った想いを解き放ちました」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
キングレコード提供

声優アーティスト界を牽引し続ける水樹奈々が、2年半ぶりとなるアルバム『DELIGHTED REVIVER』をリリース。コロナ禍で活動の停滞を余儀なくされてきた中で溜めに溜めていたものを解き放ち、「エンタテインメントを喜びと共に復活させていく」との想いが込められた。3年ぶりのツアーも控える中、この時代に改めて向き合ったことも含めて聞く。

外食は一切せずに生活してきました

――『DELIGHTED REVIVER』のレコーディングが全部終わって、2年半ぶりに焼肉を食べに行ったそうですね。

水樹 自分へのご褒美で、ものすごく染みました(笑)。炭火で焼いたお肉はやっぱりおいしいなと。自宅でフライパンで焼くのとは全然違いました(笑)。

――2年半、焼肉断ちをしていたわけではなくて?

水樹 外食を一切しなかったんです。もしものことがあってはいけないので。友だちや仲間とごはんを食べにも行っていませんし、お昼もテイクアウト。現場の合間に、車の中で1人でモソモソ食べていました。徹底的に感染に気をつける生活をしていて。

――そうした2年半を経て、エンタテインメントを復活させていく想いを込めたアルバムが完成しました。このテーマは早くから決めていたんですか?

水樹 去年の夏の終わりに制作に入ったときには、すでにタイトルが決定していました。これまでは収録曲が半分見えたところで決めていたのを、今回は最初からこの旗印のもとに楽曲のコンペを行いました。

――エンタテインメントの意味を改めて考えた結果でもありますか?

水樹 日常が大きく変わってしまって、今まで何て幸せなことをさせていただいていたのか、痛感した2年半でした。いつもライブやアフレコは聖地に向かう気持ちで、当たり前とはもちろん思っていませんでしたが、改めて懸ける想いを、この1枚に込めました。

音楽を届けたいのに届けられないのは苦しくて

――緊急事態宣言の頃は“不要不急”という言葉が飛び交いましたが、そんなときこそ、エンタテインメントが必要とも感じませんでした?

水樹 皆さんを勇気づけたり、笑顔にするのがエンタテインメント。先行きが見えない状況で、モチベーションをどう保てばいいか迷うときにこそ、音楽を届けたい。でも、届けられない。そのもどかしさは、これまで感じたことがないほど苦しいものでした。自粛期間中は歌唱動画や弾き語りをアップしたり、オンラインライブを行ったり、できる限りのことを全力でやりました。でも、コロナ禍がここまで長引くとは思っていなくて。

――確かに。

水樹 どう活動していけばいいか、チームで何度も話し合いました。いまだに落ち着かない日々が続いていますが、少しずつ歩みを進めていかなければと。この2年半で状況への向き合い方も変わって、今こそエンタテインメントが必要だと思ったんです。

――1曲目の『MY ENTERTAINMENT』は復活宣言のようになっています。

水樹 このアルバムを象徴する1曲を作ってほしいと、ヨシダタクミさんに直接お願いしました。すごく時間をかけて練り上げて、サビのメロディを何度も書き直していただいて……。本当にスイマセン(泣)。

――奈々さんの楽曲制作では、よくあることと聞きます(笑)。

水樹 Aメロ、Bメロは一発で「これしかない!」というものをいただいたんです。冒頭も混沌から立ち上がるように、1人が「Wow……」と歌い始めたら、みんなが共鳴して合唱になっていくイメージが素晴らしくて。だけど、自分の想いの丈を表現するには、サビはもっと激しくスパークさせたい。待って待って我慢に我慢を重ねて、モヤモヤした気持ちをようやく解き放つ1曲目ですから。最後はパソコンの前にいるヨシダさんと、分単位でメロディをやり取りしていました(笑)。

――その甲斐があったわけですね。

水樹 ものすごく勢いがあってドラマチックで、間髪入れずたたみ掛ける展開がたまりません! 間奏もあまりなく、ひと息で歌うフレーズがたくさんあって。レンジも2オクターブ以上使っていて、気づくと歌うのが大変な曲になりました(笑)。

分断されてしまった繋がりに焦点を当てて

――sajiのヨシダタクミさんに発注したのは、これまでも多くの楽曲提供を受けつつ、同じアーティストとして共有できる想いがあるから?

水樹 今回、ジャケット写真を秋葉原とさいたまスーパーアリーナで撮らせていただいたんです。ビジュアルは異世界からヒーローが舞い降りて、元気がなくなった場所にエナジーを吹き込むイメージ。そのジャケットを手にして、最初に流れてくる曲の世界観もリンクさせたかったんです。ヒーロー的な熱さを表現できるのはヨシダさんだと、直感的に思いました。

――今回は他にも2曲、ヨシダさんが作詞を手掛けていて。

水樹 私、ヨシダさんの紡ぐ歌詞の世界が大好きなんです。以前対談させていただいたとき、「いつも思春期の頃を忘れずに曲を作っている」とおっしゃっていました。大人になって丸くなるのでなく、毒気もきらめきもすべてミックスして、歌詞とメロディに乗せてくれて。再起するときの心境はきれいごとだけでなく、悔しさや怒りや迷いもすべてエネルギーに変えるので、1曲目はそこを包み隠さず表現してほしかったんです。

――<総ての想いを歌に変えよう その声が誰かにとって明日-あした-を生きる理由になるなら>というのは、歌を聴く側の願いがアーティストに伝わっているようにも感じました。

水樹 歌が皆さんの生きる原動力になってくれたら、これ以上嬉しいことはないですし、自分にとっても歌うことが生きる理由なので。ヨシダさんには“声”をキーワードに書いてほしいと、お願いしました。私にとって声は命。声優としても歌うときも必要なもの。それを封じられてしまったのがコロナ禍の時代で、みんなもライブで声を出すことを禁じられている。そんな状況の中での想いを込めたかったんです。

――最後の<誰もひとりぼっちにならないように>も、エンタテインメントの本質を表していますね。

水樹 そこは特にお気に入りのフレーズです。分断されてしまった人との繋がりに、改めて焦点を当てていただきました。

幸せで泣けるといえばライブのアンコールだなと

――奈々さん自身が作詞・作曲を手掛けた『HOME』は、3年ぶりのツアー「LIVE HOME」とも掛けたんですか?

水樹 「自分のアルバムだから好きに書いていい」という甘いことは、チーム水樹ではなくて(笑)。プロデューサーから毎回お題が出るんですね。今回は「ミディアムテンポで夏を感じる」「明るいけど切なくて泣ける」というもので、既存曲では『夏恋模様』や『恋想花火』のような……と挙げられていたんです。最初はこの2曲のイメージに引っ張られて、1ヵ月くらい悩みました。『DELIGHTED REVIVER』のコンセプトで夏の恋愛を書くのは、違う気がして。

――エンタテインメントの復興とはマッチしないと。

水樹 そんなときにふと思い浮かんだのが、ライブのアンコールでした。幸せに満ちているけど、もう帰らなくてはいけない寂しさもあって。そして、夏といえばツアー。「これだ!」と焦点が定まってからは、すごくスムーズでした。ツアータイトルの「LIVE HOME」もすでに決まっていて、1月に2年4ヵ月ぶりの有観客ライブで感じた想いを、そのまま歌にしました。「ここが私の帰る場所。ホームグラウンドなんだ」と。詞は1週間くらいで書き上げました。

――メロディから作ったんですか?

水樹 そうです。ピアノの前で鼻歌と共にいろいろなフレーズを弾きながら。

ソフトロックも自分が歌うと歌謡曲テイストに

――『HOME』はメロディ自体はスウェディッシュ・ポップのテイストがありつつ、奈々さんの温かみのあるボーカルで歌謡曲ふうにも聞こえます。

水樹 そうかもしれません(笑)。ブラスの素敵なアレンジも入れていただいて、私の大好きなソフトロックの要素もありつつ、自分が歌うことで歌謡曲テイストも融合されて、新しいものが出来上がったと思います。

――歌詞には率直な言葉が綴られています。<筋肉痛確定の身体>とか(笑)。

水樹 あはは(笑)。最初はきれいな言葉で書こうとしたんですけど、サラリと流れてしまうなと。もっとラフで飾らない言葉にしたいと思いました。サビのスケール感が大きくなっているので、A・Bメロはあえて日常会話のようなフレーズにしています。

――サビの<地球(そら)より熱く青い海>は、ペンライトに覆われた会場のイメージですよね?

水樹 はい。私にとっては地球の青さに引けを取らないくらい美しいもので、宇宙空間に見えていて(笑)。これは世界中に誇れる光景だという想いを、言葉にしました。

――<頭の中テレパシーみたいに投影できたら>も実感ですか?

水樹 そうなんです。「ありがとう」以上の感謝をどう伝えたらいいのか、いつもステージ上で考えていて。言葉を飾るほど足りない気がして、「こんなに感謝してます」と頭の中をみんなに見せられたらいいのにと、思うことがあるんですよね(笑)。

本能のまま歌ったら少し大人になっていました

――今回のアルバムは全体的に、高度な試みもありながら、すごく聴きやすい印象でした。もちろん今まで聴きにくかったわけではないですけど、最初からスッと入ってくるというか。

水樹 テーマ性が統一されているのと、ライブのセットリストを組むように曲を並べたことも影響しているかもしれません。

――あと、シングルの『Get up! Shout!』のとき、「柳のようにしなやかな歌い方」というお話をうかがいましたが、そういうボーカルが他の曲でも多いかと。

水樹 ちょっと大人になったのかも(笑)? 無意識ですけど少し余裕を持って、より自由に歌えるようになった感じがします。歌っているときは右脳が活性化して、アプローチのアイデアがどんどん浮かんでくるんです。それを本能のまま歌っている感覚があって。もちろん「ここはアクセントを強く」とか計算はしつつ、アスリートの方が言うゾーンに入った状態になります。マスタリングで客観的に聴いたとき、今回はひとつ抜けて大人になった印象がありました。曲がそうさせたのか、自分自身がこの2年半でいろいろ経験を積んで、ひと皮むけたのか……。

――たぶん複合的な要因があるんでしょうね。スマホゲーム『鋼の錬金術師 MOBILE』の主題歌『スパイラル』も、もっとゴリゴリ行くアプローチもあったかと思いますが。

水樹 生と死という重いテーマを扱う『鋼の錬金術師』は暗い描写も多いんです。なので、どうしても力が入りがちですけど、あえて俯瞰で包み込むような女性らしい強さを表現したほうが、この曲にはフィットするように感じました。必死に歌いすぎると、聴く方も構えてしまうかもしれない。しなやかに歌うことで、皆さんに想像していただける余白が増えると思ったんです。

浮かんだ映像にトリップして演じるように歌います

――奈々さんくらいキャリアと実力があると、もう歌の根本的なところで悩むことはないですよね?

水樹 とんでもないです! 毎回勉強の日々です。というのも、チーム水樹はラストのサビに向けてドラマチックにしたがる性分がありまして(笑)。いきなりすごいハイトーンを使ったり、難しい音の動きをする曲が多いんです。いつも「ヒ~! いじめだ!」と思いつつ、自分が求めたことだから仕方ないなと(笑)。『Reboot!』も平和な時間が続いていたと思ったら、最後のサビ辺りで、いきなりすごく高くなって! そこをファルセットでなく地声で歌ったり、いろいろな挑戦をすることで自分の幅が広がって、引き出しも増えます。

――『Reboot!』を作詞した藤林聖子さんは、『musicるTV』で奈々さんのことを「表現力の化けもの」と評していました。「どんなシーンを書いても、こっちが思っていた以上に表現してくる」と。

水樹 嬉しいです! 自分なりの曲の解釈や詞から受けた想いを音にしっかり乗せて、水樹だから出せる表現というものを追求しています。ただ、ライブとCDでは表現の振り幅が違っていて。ライブならではのラフさや情熱的な表現をCDにすると、行きすぎているように感じることがあるので、レコーディングではそのギリギリを突くようにしています。

――作詞家さんが思っていた以上の表現という点では、視覚的なイメージもあるんですか?

水樹 イントロが流れてくるとパッと映像が浮かんで、その中にトリップするイメージです。たとえば『DNA-Dance ’n’ Amuse-』では、夏の夜のビーチ沿いのバーで、タイトでセクシーな服を着ている主人公がいて。肌がちょっと焼けていて身体が火照る中で、気になる人とやり取りをしているのかなと。そこに漂う温度や匂いまで想像しながら、その空間に自分も入り込んで、演じるように歌っています。声優のお芝居と同じで、歌の主人公になり切っているので、水樹奈々でもあり別人でもあるような、不思議な感覚です。

ラテンの曲の妖艶さは今の年齢だから出せました

――今回のアルバムでチャレンジ曲というと、『DNA』ですか?

水樹 『DNA』と『Reboot!』ですね。『Reboot!』は歌謡ダンスポップのイメージで、レトロな雰囲気があって。今までありそうでなかった曲だと思います。

――同じメロディラインがリピートされています。

水樹 盛って盛って盛りがちなチームなので(笑)、こういうシンプルな構成で、自分の核にある歌謡曲メロディが入ってくるのは新鮮でした。でも、チャレンジとなると、やっぱり『DNA』かもしれません。これまでのダンス曲は速いテンポのものが多かったのが、これはミディアムでラテン調。妖艶さは今の年齢だからこそ出せる部分があって。

――なかなか官能的な歌ですね。

水樹 相手を誘うような表現は余裕があってこそ。後半に向けて大変なメロディを歌いながらだと、すごく難しかったです。ラテンのメロディは歌謡曲に通じるところがあると思っていたので、以前からチャレンジしたいと考えていて。アレンジを南米の音楽に精通している藤間(仁)さんにお願いして、今のダンスミュージックと融合してもらいました。歌詞はデモでは、すべて英語とスペイン語だったんです。それで英語に堪能なしほりちゃんに作詞をお願いして、日本語なのに英語っぽく聞こえるフレーズや、同じメロディが続く部分で韻を踏む言葉遊びを入れてもらいました。

「忙しいから今度」ではいけないと反省しました

――自ら作詞を手掛けた『全力DREAMER』は、最初からNHK松山の『ひめDON!』のテーマソング用だったんですか?

水樹 そうです。私の地元の愛媛の情報番組で、ディレクターさんから直々にオファーをいただきました。『POP MASTER』や『SUPER GENERATION』のような前向きになれる応援ソングというリクエストだったので、自分が地元にいた頃、夢に満ち溢れていた気持ちを回想しながら書きました。

――リアルな実感が込められたようですね。

水樹 実感したことだけでなく、情報番組に繋がる<好奇心>や<知りたいと願う>といったワードを散りばめました。さらにメロディのノスタルジックな空気も落とし込んで書いていくうち、「夢を追い掛ける想いと、恋しているときの気持ちは似ているかも」と思ったんです。願いを叶えるために努力するように、相手に振り向いてもらうために試行錯誤したり、その人のことをもっと知りたくなったり。そして、情報を知るためにも自ら動かないといけないし、知ったことは確かめに行く。「夢と恋と情報番組は通じている!」と(笑)、三つをシンクロさせて歌詞にしました。

――夢は叶えたけど忙しい日常が窮屈になって……といったところも、実際にそう感じていた時期があったわけですか?

水樹 手帳がスケジュールで真っ黒になって嬉しいけど、自分を磨くための時間が取れなくなって、もどかしい時期はありました。「忙しいから、また今度」となることが多いなと、反省したり。もちろん忙しいことは幸せですけど、ただただ仕事をするだけなら、なりたい自分になれたと言えるのか? もっとスキルアップしないと、忙しさに潰されて終わってしまう。きっと同じような状況の社会人の方は多いと思うんです。

――同感です。

水樹 夢を叶えた先は現状維持でいいのか? それは絶対に違う。そこを問う詞にしました。<窮屈に満たされた日々が日常になって>というのは、この2年半で生活が様変わりしたことにも掛けています。自粛が続くうちに、自分で実際にものを手に取ったり、体験することを忘れてしまうところがあるなと感じていたので。

――奈々さん自身は、今は初恋のような気持ちを取り戻したんですか?

水樹 常にそうありたいと思っています(笑)。デビューした頃からずっと、アフレコでもライブでもラジオでも、緊張して「よし!」と肩に力が入るのは変わらないので。いつまで経っても慣れないんです(笑)。

――奈々さんくらいの存在になって、今もそういう初々しさを保っているのは、逆にすごいというか。

水樹 いいことだと思いますけど、疲れます(笑)。もちろん経験も積んで、目指すものも高くなったので、新人の頃とは緊張の種類が違いますけど、気持ちはいつまでも一緒です。

夢についてストレートに歌いたくて

――リード曲の『Go Live!』も夢がテーマ。ヨシダタクミさんは自身の詞について「偏屈な人が出てくる」と話されていましたが、この曲の1番でも自分を<ただのエキストラでした>と卑屈になっていて(笑)。

水樹 思春期全開ですね(笑)。トゲトゲしい言葉が続いていますけど、夢を追い掛けるのはひと筋縄では行きませんし、ずっと笑顔ではいられない。投げ出したくなったり、誰かを羨ましく思って卑屈になるときもある。全部包み隠さず言葉にしてもらいたいと、ヨシダさんにお願いしました。目標に向かって頑張っている皆さんには、共感してもらえるフレーズが多々あるかと思います。

――夢を叶えた人に対して<そんなのひと握りだって>というところも、多くの人が共感すると思いますが、奈々さんはひと握りの叶えた側ではあります。

水樹 でも、私もデビューが決まらない頃やオーディションに落ち続けていた頃は、こういう気持ちになっていましたから。そうだよね……と噛み締めながら歌っています。諦めずに走り続ければ笑える日が来ると、あの頃の自分に届けたい想いもあります。

――夢について歌い続けることに、衒いがあった時期もなかったですか?

水樹 ないです! そこは一貫しています。いろいろあったとしても、まっすぐ夢について語りたいし歌いたい。ストレート一本勝負です(笑)。

――この曲のMVは“悪カワ”のイメージだとか。

水樹 一面ピンクの中でガールズバンドふうに撮影しました。メイクもちょっと奇抜でミニスカ&へそ出しの服を着て、「やりたいようにやればいい」というメッセージを込めました。床に寝転がって歌ったり、マイクを持っていたのがリモコンになったり(笑)、いい意味で枠にハマらずハッチャケています。

やっと夏が帰ってきたワクワクが止まりません

――ツアーも始まりますが、アルバム制作をしてきたあとで、体力的には万全ですか?

水樹 トレーニングは定期的にやっていましたけど、自分的にはまだ足りてない部分があって。(取材日時点で)あと1ヵ月もないですけど、ここから追い込めるだけ追い込みたいです。

――見た目的にさらに引き締めたり?

水樹 見た目もですし、3年ぶりのツアーなので、今の自分がステージに立ったらどういう状態なのか、見えない部分もあって。余力を残せるくらい、準備をしておきたいんです。

――特に強化したいところは?

水樹 皆さんに「ツアーが帰ってきた!」と感じてもらえるように、セットリストは激しめになっています。「HOME」という温かいタイトルに反して(笑)。思いっきりスパークして、より身軽になった水樹を観ていただけるように、頑張りたいと思います。

――また自らにハードなトレーニングを課すわけですね。

水樹 暑い時期のライブですし、コロナ禍の日常で運動不足もありますから、準備はたくさんしておくに越したことはなくて。皆さんにとっても「ここがHOMEだ」と安心して観ていただけるステージにするためにも、ハァハァなんて言ってられません(笑)! 走ったり跳んだりしても、まったく息切れしないようにしておきます。

――久しぶりに“夏が来る”感じがしますね。

水樹 やっと夏が帰ってきました。この2年の夏は本当に我慢の時間が続いて、明るい思い出が少なかったような印象があって。またみんなと一緒に楽しい時間を取り戻せるんだと思うと、ワクワクが止まりません!

Profile

水樹奈々(みずき・なな)

1980年1月21日生まれ、愛媛県出身。

1997年に恋愛シミュレーションゲーム『NOëL ~La neige~』で声優デビュー。2000年にシングル『想い』で歌手デビュー。2009年にアルバム『ULTIMATE DIAMOND』、2010年にシングル『PHANTOM MINDS』で声優初のオリコン週間チャート1位に。2009年に『NHK紅白歌合戦』に初出場(以降6年連続)。2011年に声優初の東京ドーム公演。主なアニメ出演作は『魔法少女リリカルなのは』シリーズ(フェイト・テスタロッサ役)、『ハートキャッチプリキュア!』(花咲つぼみ役)、『NARUTO-ナルト-』シリーズ(日向ヒナタ役)など。

公式HP

『DELIGHTED REVIVER』

発売中 

初回限定盤(CD+BD) 4400円(税込)
初回限定盤(CD+BD) 4400円(税込)

通常盤(CD) 3080円(税込)
通常盤(CD) 3080円(税込)

「NANA MIZUKI LIVE HOME 2022」

7月16日・17日/神戸ワールド記念ホール

7月30日・31日/日立市池の川さくらアリーナ

8月6日・7日/さいたまスーパーアリーナ

8月13日・14日/仙台サンプラザホール

8月20日・21日/日本ガイシホール

*写真はキングレコード提供

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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