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『妖怪シェアハウス』に出演。悩みすぎる美少女から脱皮した井頭愛海が目指すもの【前編】

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/S.K.

ドラマから展開する『映画 妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』に出演する井頭愛海。「全日本国民的美少女コンテスト」出身で、キャリアを重ねつつ「悩みすぎて自分を追い込んでしまう」と語っていたこともあったが、主演映画をきっかけに変わったという。最近はイメージを覆す役も増えて、大ヒットコミックが原作のミュージカル『るろうに剣心 京都編』ではヒロインの神谷薫役に抜擢。脱皮の裏にあったものは? インタビューを前・後編でお届けする。

コンプレックスに共感できる部分はありました

――ドラマ『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』に、小芝風花さん演じる主人公・目黒澪の昔のバイト仲間だったミュージシャン・笹原小梅役で出演しました。シリーズ前作は観ていたんですか?

井頭 観てました。ちょっとカオスで面白くて、妖怪たちもかわいくて。私も(主演映画の『鬼ガール!!』で)鬼だったので、妖怪役をやれたらなと(笑)。でも、小梅はメンヘラチックで整形前は一重の設定で、プチ特殊メイクみたいな感じにしてもらって嬉しかったです。私だと気づかれなかったかもしれません(笑)。

――確かに登場したときの小梅は、普段の愛海さんの印象とだいぶ違いました。雰囲気も根暗な感じで。

井頭 顔にコンプレックスを持っていて、いつもうつむき気味で、オタクっぽく早口でしゃべる女の子でした。妖怪たちと出会って自信を取り戻して、変わっていくのが見どころだったと思います。

――国民的美少女コンテスト出身の愛海さんとしては、容姿にコンプレックスを持つ心情はわかりにくかったりも?

井頭 私自身もコンプレックスは抱えていますし、きれいになりたい気持ちは女の子なら誰でも持っていると思うので、共感できる部分はありました。ただ、私はあそこまで暗いわけではないので、負のオーラを出すのは難しかったかもしれません。

――愛海さんのキラキラしたオーラを消しつつ?

井頭 そんなことはないですけど、小梅はまっすぐな心が変なほうによじれてしまいっていて。「私なんかじゃダメだ」と思いながら、売れたい気持ちはある。その軸がブレないことは意識していました。

きれいになるのと反比例で怖さが増すように

――愛海さんがなりたい顔もあるんですか?

井頭 私は韓国の女優さんが好きで、ああいう顔になれたらいいなと、すごく思います。コ・ジュンヒさんという『彼女はキレイだった』に出演されていたショートカットの方の顔が特に好きで、近づきたくて一時ショートにしていたんです。本当は金髪にしたかったんですけど、NGだったので、ちょっと茶色に染めました(笑)。

――小梅は整形して性格も変わりました。

井頭 自信が付いたのはいいけど、美しさをもっと追求していこうと豹変して。きれいになったのと反比例して、怖さが増していく感じを表現できたらいいなと思って演じました。いろいろな面を持った子で性格が全然変わるのが、難しくもあり楽しかったです。

――主人公の澪に劣らず数々の不幸を経験してきたという役どころでもあって。

井頭 私は不幸のどん底という経験はないですけど、お芝居について悩みすぎたことを疑似体験のようにイメージしました。小さいことだと、私はどんくさいので、よく足をものにぶつけたり(笑)、忘れ物をしたりはしています。

――どんな忘れ物をしたんですか?

井頭 清水翔太さんのコンサートに行って、会場でグッズのタオルを買って、終わったあとで友だちとお茶したお店に忘れてきちゃったり。そのときは悲しかったです(笑)。

AIが恋人になる時代は本当に来るかも

――小梅はミュージシャンで、ドラマでは歌うシーンもありました。

井頭 最初は顔出ししてない設定で、Adoさんの『うっせえわ』みたいな感じで歌ったのと、お歯黒にしてから、みんなの前で新曲を披露するシーンがあって。ビリー・アイリッシュのイメージでクセのある歌い方で、ちょっと病んでいる中にアーティストっぽい雰囲気を出すのを意識しました。

――映画版ではAIの恋人ができています。

井頭 ドラマで一連の騒動があって、本来のまっすぐな心を取り戻した小梅ちゃんが新しい恋をしています。前の彼氏にめちゃくちゃにされて、ちょっとひねくれていたのが、映画版ではすごくハッピーになっていました。

――その相手がAIという感覚は理解できました?

井頭 私には全然わかりません(笑)。でも、「こういう時代が来てもおかしくないよね」という話は現場でしていました。今は技術もすごく発展していて、AI恋人のアプリが本当に開発されるかもしれないとは思いました。

――今でもAIまではいかなくても、乙女ゲームのキャラクターを恋するように推している人はいますよね。

井頭 そういうのはイメージしました。私自身はあまりゲームをやったことはないですけど、そういう楽しみがあるのはいいことだなと思います。

ミュージカル『るろうに剣心』や自身の成長を語る↓

インタビュー後編

撮影/S.K.

Profile

井頭愛海(いがしら・まなみ)

2001年3月15日生まれ、大阪府出身。

2012年に「第13回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞。2013年に映画『おしん』で女優デビュー。主な出演作はドラマ『べっぴんさん』、『明日の約束』、『さくらの親子丼2』、『少年寅次郎』、『サムライカアサン』、映画『鬼ガール!!』など。ドラマ『瑠璃とカラス』(Hulu)が配信中。5月17日より上演のミュージカル『るろうに剣心 京都編』、6月17日公開の『映画 妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』に出演。

『映画 妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』

6月17日公開

公式HP

(C)2022映画「妖怪シェアハウス」製作委員会
(C)2022映画「妖怪シェアハウス」製作委員会

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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