日活の社員の太田慶監督が、50周年を迎えた日活ロマンポルノのオマージュとして自主制作した映画『桃源郷的娘』が公開される。男性機能を失った老人が恋をする娘を演じたのは、セクシー女優の川越ゆい。20歳でAVデビューしてから8年、とてつもない本数をリリースし、ストリップにも取り組み続けている。「エロにどん欲」という彼女が、寝てばかりのお気楽娘の役で見せたものは?

B級ホラーやゾンビ映画が好きなんです

――川越さんは趣味が映画・アニメとのことですが、どんな作品が好きなんですか?

川越 邦画より洋画を観ていて、B級ホラーが好きです。最近、『アナベル 死霊博物館』を観ましたけど、シリーズのリニューアルで、いい感じで怖くなっていました。あと、B級ゾンビ映画もめっちゃ観ます。ゾンビがサッカーをする『ゴール・オブ・ザ・デッド』とか。

――そんな映画があるんですか(笑)。

川越 そうなんです。「ああ、B級だな」と思いながら観るのが好きで(笑)。ゾンビものでは『ウォーキング・デッド』とかも観ましたけど、クオリティの差が見えるのが面白いですね。

――アニメだと?

川越 今観ているのは『Dr.STONE』です。科学で1から世界を作り上げるというお話が面白くて。あとは『ワンパンマン』とか、ジャンプ系が好きです。流行りの転生ものや異世界ものは、どちらかというと得意でなくて。

――映画を観ていて、自分も演技をやりたい気持ちになったんですか?

川越 小さい頃からお芝居はすごく好きで、習いごとでやっていて、地方の公民館で定期的に発表会をしていました。大きな舞台をやりたい、声優もやってみたいと思っていたときにこの業界に入って、ピンク映画にも出させていただきました。私は1~2シーンの出演でしたけど、ギリギリフィルムで撮っていたんです。

――昔ながらの。

川越 デジタルと違って撮り直しができないから、間違えて「いくらかかると思っているの?」と怒られてる人がいて「怖~っ!」という。でも、その雰囲気も楽しかったし、それから、お芝居のお仕事をちょいちょいいただけて。「この役はこういう表情をするかな。こういうしゃべり方かな」とか考えることはすごく好きです。

AVは好奇心で始めたら「天職かも」と

――AVもそういう流れで始めたんですか?

川越 AVに入ったきっかけは知らない世界への好奇心ですね。観たこともなかったけど、自分から行きました。それで、やってみたら天職かもしれないと。最初から、めっちゃ楽しかったんです。やさしくしてもらえて「何この扱い? すごい!」みたいのもあったり。AVにはエロだけでなく、お芝居もあることすら、業界に入るまで知らなかったんですけど、いろいろなことをやらせてもらいました。

――それにしても、ウィキペディアによると2015年だけで56本とか、毎年40本以上の作品を出されていて。1本1本、覚えていますか?

川越 DVDを見せられたら、何となく「ああ、これは」と思い出しますけど、タイトルだけ聞いても「ん?」となりますね(笑)。でも、イヤだと思ったことはありません。たぶん常にモチベがプラスだから、続けられています。

――より良い作品にするための努力もしつつ?

川越 「こうしたほうがいいんじゃない?」と思ったら、監督さんにも言いますし、わからないことがあったら、すぐ聞きます。なあなあで始まって、「どうしたらいいんだ?」となるのが一番イヤなので。

――絡み以外のシーンに関しても?

川越 はい。お芝居のときも、どうしても言いにくい台詞があれば、「言い回しを変えてもいいですか?」と聞きます。

ストリップではお金をかけても自分の世界を

――川越さんはストリップも長年やっています。

川越 ストリップは自分で曲を作ったり編集したり、衣装を借りたりフルでオーダーで作ってもらったり、全部自己プロデュースなんです。自腹なので、お金がかかりますけど、そのほうが自分が作りたい世界観を作れて、楽しいので。

――こだわりのために、お金は惜しまないと。

川越 お客さんに「今回の新作いいね」と言われると、「でしょう? 金かけてるのよ」みたいな(笑)。音の編集も何も考えないですることもできますけど、私はわりとこだわって、時間をかけています。

――年末には「お父さんに捧げるストリップ生配信」という企画をやりました。

川越 そういう設定で、私のパパに捧げたわけではないですけど(笑)、うちは家族全員、私がストリップに出ているのも知ってます。パパは「東洋ショー劇場は昔行ったな」と言うので、「観に来れば?」と言ったら、「さすがに娘はやめとく」と(笑)。でも、AVも反対されなくて、「やりたいことをやるのはいいんじゃない?」ということでした。

一周回って見せ方より気持ち良い方向で

――ツイッターで「年とってエロにどん欲になってる」と書いていましたが、それは表現としてですか? 生理的に?

川越 今までは見せるエロを重視していました。絡みのときに「カメラのほうを見なきゃ」とか、顔が不細工に映らないように角度に気をつけるとか、そんなことばかり考えていたんですね。それをやめました。男優さんの顔を見てセックスしたほうが濡れて、ローションが要らなくなったり、セックスしたいからするスタンスに変えたら、めちゃくちゃ気持ち良くなって。そういうチャレンジが、いい方向に行っています。

――普通は、だんだん見せ方を気にするようになるものでは?

川越 一周回って、逆になりました(笑)。

――ちなみに、川越さんはAV女優を“セクシー女優”と呼ぶ風潮については、どう思いますか?

川越 テレビとかで「セクシー女優さんです」と紹介されるのはいいんですけど、自分で「セクシー女優の川越ゆいです」と名乗るのは気持ち悪くて(笑)。どうしても「AV女優です」となっちゃいますね。

三大欲求で生きて、すぐ眠くなっちゃって(笑)

川端康成の『眠れる美女』がモチーフの『桃源郷的娘』。浮浪者の老人・江崎宗介(小宮孝泰)が、公園のベンチで居眠りしている春川桃子(川越ゆい)に恋をした。彼はすでに男性機能を失っていて、桃子を抱くことができないが、生涯の恋を叶えるために、突拍子もないアイデアを思いついて……。

――『桃源郷的娘』の桃子役に川越さんを起用したことについて、太田慶監督からは「天然な眠れる美女をかわいく演じてくれる」とのコメントがありました。自分でもハマる感じはしましたか?

川越 確かに、私もすぐ眠くなっちゃうので(笑)。撮影中もガチ寝した記憶があります。映画を観返したら、寝ているときの顔は不細工だなと思って(笑)。もうちょっとかわいく寝ていてほしかったですけど、あっという間の撮影でした。

――寝ているシーンは難しいものですか?

川越 誰もしゃべってなくて、ただ寝ているだけなら簡単なんです。でも、私が寝ている横で小宮さんたちが掛け合いをしていると、目をつぶっていても面白くて、ニンマリしちゃって。「川越ちゃん、笑ってる」とカットになって、「すいません」という。それが難しかったですね。

――川越さんは「三大欲求で生きてる」とツイートしたこともありますが、普段からよく寝るんですか?

川越 寝るときはめちゃくちゃ寝ますし、寝ないときは全然寝ない感じですけど、休みで何もしたくない日は本当に寝てばっかです。

――最高で1日何時間くらい寝ました?

川越 寝て起きて、ごはん食べてオナニーして、また寝て……という三大欲求だけの日もありました(笑)。お風呂にも入らない。外にも行かない。24時間のうち、1時間ごはん、1時間オナニーが2回ずつあって、それ以外は全部寝てました(笑)。

育乳をしていて胸はきれいと言われます

――桃子は街の階段でも腰かけて寝てましたが、川越さんも変わった場所で寝たことはありますか?

川越 さすがに階段で寝たことはないですけど、電車では立って寝られるタイプです。そのまま駅を2コくらい過ぎていたこともあります。

――席に座って寝過ごすことはありがちですけど。

川越 ドアに寄りかかって寝ていると、立っていても意外といけます(笑)。でも、そのあと降りたら、脚がガクガクでした(笑)。

――桃子みたいに、一度寝たら何があっても起きなかったりはしますか?

川越 地震は気づかないことが多いですね。朝になって「きのう震度4だったの?」みたいな(笑)。

――太田監督は「寝てもペチャンコにならない胸も決め手」ともコメントされていました。

川越 何も入れてはいませんけど(笑)、いまだにおっぱいの形はきれいと言われます。育乳みたいな感じで、背中のぜい肉をできる限り乳のほうに持っていって、10秒上げてキープ、みたいなことはやっています。

――やっぱり、そういう努力は欠かさないんですね。

川越 お風呂のあとでボディクリームを塗るときに、何となくマッサージしています。

エロしかスイッチが入らないことはなくて

――今回のような映画は、川越さんにとってAVの延長ですか? 別ものでしたか?

川越 両方あるかもしれません。「川越、意外と芝居もできるぞ」とアピールすると共に、一般の女優さんができないヌードにも対応して、「どっちもやれまっせ」という。エロでないとスイッチが入らないことはないです。やっぱり、お芝居はすごく楽しいので。

――演技に関して悩むことはありませんでした?

川越 自分が「この台詞だったら、こういう表情かな」と思っていたのと、監督さんが思っていたことが違っていて、さらに小宮さんのイメージとも違って、3人の意見がバラバラ。「私は結局どうすれば?」ということはありました。

――どのシーンでそうなったんですか?

川越 畳の部屋で私が目覚めて、めっちゃ怒るシーンは、何回かやり直した記憶があります。「そんなに怒らなくていいかも」とか「私はこういうノリです」とか話し合って、最後は監督がまとめつつ、「こうしましょうか」という感じでした。

『桃源郷的娘』より (c)太田慶
『桃源郷的娘』より (c)太田慶

棒状のものを食べると職業病が出ます(笑)

――桃子のお気楽な感じのしゃべり方は、川越さんの素が出ていますか?

川越 「ブリッコしたほうがいいですか?」とか「もっとサバサバ系にしますか?」とか、監督さんにいろいろ聞いたんですけど、「普段のままでいいよ」と言われました。私は結構早口で、「桃子は眠たい子だから、しゃべる速度はもう少しゆっくりにしてほしい」というくらいで、話すトーンとかは基本的に自分のままだったと思います。

――夜の住宅街で裸のまま、小宮さんにおんぶされていくシーンもありました。

川越 撮ったのは早朝で、まだ日が昇らないうちに起こされて、全裸でワーッとやりました。クソ寒かったです(笑)。

――どういう心境で撮っていました?

川越 私はNGとか本当にないので。「やってほしい」と頼まれたら「やります」という感じです。

――アイスクリームをなめるシーンの舌使いは、AVで培った技を活かしました?

川越 クセかもしれません。プライベートでも、アイスとかソーセージとか棒状のものを食べると、「エロくない?」と言われます。意識はしてませんけど、職業病なのか(笑)、勝手にそういう食べ方をしちゃいます。

『桃源郷的娘』より (c)太田慶
『桃源郷的娘』より (c)太田慶

大人になってから彼氏が全然できません

――小宮さんが演じる老人の妄想の中で、海辺でジャレ合うシーンがありました。ああいうのは実際、やったことはありますか?

川越 まったくないです。そもそも彼氏と海やプールに行った経験が、今までないので。砂浜でキャハハみたいなことは、この映画で初めてやりました。

――砂浜で追いかけっことか、憧れもなかったですか?

川越 ああいうのはドラマとかで観るから、いいものなんだろうなと。今回の撮影でも「うわっ、あれをやってる」みたいな感じで、恥ずかしかったので(笑)。スイカのビーチボールは、ふざけてイエーイとか投げていたら、本当に海に行っちゃって、そのまま戻らないで消えてしまったんですよね。

――じゃあ、川越さんはどんなデートをしていたんですか?

川越 高校生のときの彼氏とは、ディズニーランドが多かったですね。学校をサボって行ったこともありました。あとは映画を観たり、お互い古着が好きだったので、お店巡りをしたり。でも、大人になってからは、彼氏みたいな存在が全然いないので、最近の若者のデートとかあまり知りません。

――モテてはいるんでしょうけど。

川越 そんなことないんですよ、意外と。今はお酒を飲んでいる時間が一番好きです(笑)。

『桃源郷的娘』より (c)太田慶
『桃源郷的娘』より (c)太田慶

裸にリンゴで腹がもぎれるほど笑って

――他にも『桃源郷的娘』の撮影で、印象に残っていることはありますか?

川越 撮影したのが4年前で、あまり覚えてないんですよね(笑)。

――その2018年も、AVを45本も出していた中ですからね。

川越 やっぱり浜辺のシーンが印象的だったのと、和室で裸で寝ているシーンでリンゴを股に乗せてましたよね。あそこで何か面白いことがあって、腹がもぎれるくらい笑った記憶があるんですけど、何があったかは覚えていません(笑)。でも、終始楽しい撮影でした。

――今後も映画やドラマの出演も狙っていくんですか?

川越 出たいです。全部の仕事をこのまま続けていきたいです。

――チャンスに備えて何かしていたりは?

川越 特にお芝居のレッスンに通ったりはしていませんけど、モノマネをするのは好きです。

――どんな人のモノマネを?

川越 恥ずかしくて人前でできるレベルではないですけど、自分で一番得意なのはクレヨンしんちゃんです。アニメのキャラクターの声は「マネできないかな」って、やってみます。

――天職のAVやストリップも続けていくんですよね?

川越 はい。今のところ、引退とかは考えていません。やり甲斐がありますから。

エロスをムンムンと醸し出したいです

――桃子に「私って色気がないんですよね。醸し出すものがない」という台詞がありました。川越さんもそういう色気を醸し出したいと思いますか?

川越 思います。ムンムンとしたエロスを醸し出したい。私はロリでデビューしましたけど、年々変わってくるので。今後はエロス感や若妻感を出していきたいと思っていて、メイクや髪色でイメージは随時変えています。

――長いスパンで将来像も見据えているんですか?

川越 特に「こうなりたい」というのはないですけど、AV業界の賞はやめるまでに一度は獲りたいです。『スカパー!アダルト放送大賞』とかで、一番上の賞でなくても何か選ばれて、受賞のステージに立ってみたいです。

――4年越しに公開される『桃源郷的娘』は、ひとつのきっかけになるかもしれませんね。

川越 今と顔や雰囲気が違うので、「この頃のほうが良かった」と言われたら、どうしよう(笑)。当時は顔がだいぶ丸かったですね。二の腕も「太っ!」という(笑)。

――今のほうがさらにいいと。

川越 これはこれで、知名度がちょっとでもアップしたらいいなと思います。

Profile

川越ゆい(かわごえ・ゆい)

1993年8月8日生まれ、埼玉県出身。

着エログラビアなどでの活動を経て、2013年にAVデビュー。2014年に東洋ショー劇場でストリップデビュー。Vシネマ『くノ一忍戦帖』、『メス猫 キャットピープルの誘惑』、『性春リバーサイド ふたりでイこう』などにも出演。1月21日公開の映画『桃源郷的娘』に出演。

『桃源郷的娘』

監督・脚本・編集/太田慶

1月21日よりアップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開

公式HP

(c)太田慶
(c)太田慶