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大詰めの東京五輪、競技経験者アイドル・女優たちの発信

斉藤貴志芸能ライター/編集者
バスケ歴13年の女優・桜井日奈子もSNSで日本代表を応援(撮影/松下茜)

東京五輪2020もいよいよ大詰め。芸能人がSNSなどで言及することも多かったが、競技経験があって若いアイドルや女優たちが、興味深い発信をしている。初心者の関心を引き立たせたり、無観客開催のテレビ観戦で共に応援している気分にさせたり、ファンとの距離が近いだけに果たせる役割があるようだ。

菅井友香(櫻坂46)が馬術への入口を担う

 櫻坂46のキャプテン・菅井友香は日本馬術連盟の「馬術スペシャルアンバサダー」(広報大使)を2017年より務めている。小5から乗馬、中1から馬場馬術を始め、2011年に全日本ジュニア馬場馬術大会チルドレンライダー選手権で2位、2013年に東京都馬術大会M1課目で1位と実績を残した。

 グループ改名前の欅坂46の結成メンバーとしてデビュー後も、2016年に障害馬術を始め、同年のジャパンオープンの障害飛越競技で7位、2017年の東関東馬術大会の標準障害100では優勝を果たした。

 東京五輪の開幕前には、『めざまし8』(フジテレビ系)の企画コーナー『オリパラ全員エール メッセンジャー8』に出演。馬術界のエース・林伸伍と馬のスコラリ4へエールを贈った。

 菅井は小学生のとき、東京乗馬倶楽部の少年団で林の指導を受けたという。『めざまし8』では林の常に冷静なメンタルを讃え、自身のブログでも「林選手が跨ると馬が別の馬のようにシャキッとするんです」などと記した。また、「馬の1年は人間の3~4年に相当すると言われているので、この1年の調整もきっと相当大変だったかと思います」と慮ってもいた。

“人馬一体”の美しさをPR

 開幕後もブログで、予選の日程と出場選手、放送や配信スケジュールを告知。アンバサダーらしく、一般には注目度が高いほうでないこの競技の普及に努めていた。馬場馬術の予選終了後には、通過ならなかった林ら3選手とそれぞれの馬を「大舞台で堂々とした演技、両手を握りしめながら拝見していました。素敵な演技をどうもありがとうございました」とねぎらっていた。

 一方、「普段は日本で観ることのできない世界のトップライダー、馬達にも感動!」と馬術自体の魅力にも言及。かねてから“人馬一体”の美しさをアピールしてきたが、総合馬術について「ホーストライアスロンとも呼ばれていて、同じ人馬のコンビで、3日間かけて馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術の3種目を行います」と紹介。クロスカントリー競技で馬が跳び越える、寿司と箸を象ったユニークな障害物などの写真も上げていた。

 無観客にならなければチケットも当たっていたそうで、「いつかドイツに行って試合を生で観たいという夢が再燃しました」などと自身の馬術愛を溢れさせながら、初心者のファンが興味を持つ絶妙な入口にもなったようだ。

影山優佳(日向坂46)のガチすぎるサッカー通ぶり

 日向坂46の影山優佳は“アイドル界No.1のサッカー通”として知られている。自己紹介のキャッチフレーズが「あなたのハートにゲーゲンプレス」と、ドイツサッカー発祥のカウンター戦術から取っていたりと、その知識はガチでマニアックなレベルだ。

 小学生の頃は地元のチームで男子に混じってプレー。父親が持っていたセリエAのビデオで好きになったACミラン時代のカカのユニフォームを着て練習していたという。中2にして、サッカー4級審判員の資格も取得している。

 デビュー後、ブログでJリーグのJ1からJ3まで全57クラブを紹介する連載を開始。また、昨年サッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系)に史上最年少ゲストとして出演した際は、好きな海外の選手にウルヴァーハンプトンのコナー・コーディを挙げ、MCの勝村政信と解説の元日本代表・北澤豪に「誰?」と首を捻らせた。

 この番組では、戦術や選手の特性にJリーグ振興策まで、縦横無尽かつ的確にトーク。北澤はツイッターで「今までのサッカー好きアイドルとひと味違う。あらゆる角度からの視点知識がある」と絶賛していた。

 DAZNで配信している内田篤人の冠番組『FOOTBALL TIME』にもたびたび出演。東京五輪の男子サッカーの組分けに「同じグループAに強敵もいらっしゃいますけど、グループBを見ると(強豪国がいないので)メダルを狙うには1位通過、2位通過とかあまり考えずに戦える」と分析していた。

男子の上田、女子の杉田のプレーを称賛

 開幕後はこの番組で、準々決勝のニュージーランド戦でゲストの佐藤寿人がピックアップしたFWの林大地について、「得点シーン以外でも前線からのプレッシングがすごい」などと語った。

 ブログでも、グループリーグ突破の際には、「速いくさびパスと上田(綺世)選手のワンテンポ早いタイミングでのシュートが、フランス代表のリズムを崩しゴールエリア内のスペースを生み出していました」などと解説。

 女子に関しても、チリ戦について「(相手が)ほぼ6バックになるような堅い守りをしいてきていた中で、果敢に攻め続けたところが素晴らしかったですよね!」と称賛。「サイドに張って攻守のバランスを取っていたことで、攻撃機会に積極的に関わらなかった杉田(妃和)選手が、ここぞ!というところで中央でくさびを入れ得点につながったところはしびれましたっ」と、アイドルらしい柔らかいトーンながら一貫してポイントを鋭く突いていた。

バスケ歴13年の桜井日奈子は開幕前から町田に注目

 “岡山の奇跡”と呼ばれる女優の桜井日奈子は、5歳から高校卒業までの13年間、バスケットボールに打ち込んだ。ポジションはポイントガードで、中学時代はキャプテンを務めている。昨年2月には、Bリーグの横浜×渋谷戦にゲストとして招かれ、ハーフタイムに3ポイントシュートのチャレンジ企画に臨んで、1分間に5本を決めた。

 昨年10月にセガサミーの「スポーツ応援キャプテン」に就任。自身のYouTubeチャンネルで、元Wリーグ、現3×3のプロバスケ選手・岡田麻央と3本勝負を行い、フリースロー対決ではまさかの勝利を収めている。

 東京五輪が開幕すると、日刊スポーツのインタビューで男女の日本代表について語り、女子の注目選手に挙げたのがポイントガードの町田瑠唯。「小柄(162cm)ですけど、中まで切り込んで、外の選手やポストにうまくパスが出せる」と話していた。その町田は準決勝のフランス戦で五輪での1試合最多記録を更新する18アシストなど、大活躍している。

 予選が始まってからは、3×3も含め積極的にツイート。男子のグループ初戦でスペインに敗れた後には「たくさんの素晴らしいプレーが見れましたが、特に金丸(晃輔)選手の連続スリーポイントに歓喜でした」と善戦を讃えた。また、「スロベニアのドンチッチって22歳なのか、、、」と、初戦で48得点、日本戦でも25得点をマークした2歳年下のスーパースターには驚愕の様子だった。

 女子が準決勝進出を決めたベルギー戦では「勝ったあああああ!!!! ベスト4!!!!!!」とツイッターで“絶叫”。36.5 万人の自身のフォロワーと喜びを分かち合っていたが、「あまりルール知らない。でも日奈子さんを思い浮かべ応援してました」とのリプも見られた。

グラドル・RaMuが野球観戦の生配信で大興奮

 身長148cmと小柄ながらB90のHカップで人気のグラビアアイドル・RaMuは、小5から小6と女子野球でプレーし、キャプテンも務めてピッチャー以外の全ポジションをこなした。中学時代はソフトボール部に所属し、埼玉県大会で3位に入ったとのこと。

 東京五輪では侍ジャパンの準々決勝・アメリカ戦で実況ツイート。「タイブレークでよくランナーやらされてたなぁ」と思い出も挟みつつ、サヨナラ勝ちに「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!勝ったああああああああぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」と最大級の絶叫。

 準決勝の韓国戦では、YouTubeで観戦しながら飲むという生配信を実施。山田哲人の勝ち越し二塁打には、目を見開いて背中からソファーにダイブ。「ひっ、ひっ、ひっ、うーっ、マジナイス! 鳥肌立った!」と尋常でない大興奮ぶりを見せていた。

空手初段の萩田帆風(SUPER☆GiRLS)が見た清水の形

 日本一かわいい女子高生を決める『女子高生ミスコン2017-2018』で準グランプリとなり、この6月からSUPER☆GiRLSに新メンバーとして加入した萩田帆風は、保育園の頃から空手道場に通い、全空連の初段。

 東京五輪に関しては、卓球、スケートボード、サッカーなど幅広くツイートしているが、やはり空手に関しては「私はどっちかっていうと形が好きだから清水希容選手の演武早く見たい!」などと、より熱が入っていた。

 清水が予選を1位で通過すると「カッコ良すぎる 突く時の腰のキレ半端ないし帯の揺れが物語ってるよなぁ」と経験者らしい見方で感想。決勝での銀メダルには「技術点は一緒だったから難しいんだなぁ」と残念がりつつ、「でも凄すぎる! おめでとうございます!」と祝福を述べていた。

 あと2日の東京五輪。本日は空手の組手や野球の決勝、明日は男子マラソン、バスケ女子決勝などが控えているが、競技経験者アイドルたちの発信にも注目しつつ楽しみたい。

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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