Yahoo!ニュース

永島聖羅が乃木坂46卒業から5年で連ドラ初レギュラー 「頑張っていれば誰かがどこかで見てくれるので」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/河野英喜 スタイリング/津野真吾(impiger)

乃木坂46を卒業して5年になる永島聖羅。『Going!Sports&News』のお天気キャスターなどを務めてきたが、先行配信中の『お茶にごす。』(テレビ東京)で初めて連続ドラマにレギュラー出演している。アイドル時代から女優志望を口にしてきて、10年を経て念願を叶えた。現在26歳で女子高生を演じたこの作品のことや、この5年で考えてきたことなどを聞いた。

茶道の稽古は大人の女性として役立ちました

――26歳の聖羅さんが『お茶にごす。』では高1の役を演じましたが、撮影で制服を着ても違和感はありませんでした?

永島 どうなんですかね? 主演の鈴木(伸之)さんとか年上の方がいたので、馴染めたところはあります。茶道部長役の(久間田)琳加ちゃんが当時10代で、先輩役の方たちが年下ばかりでしたけど、学園モノだったので待ち時間もワイワイ楽しくできました。気持ちはJKの頃を思い出して(笑)。

――配信された12話を一気見したそうですね。

永島 そうなんです。3月5日の日付が変わった午前0時から配信されたので、朝の6時くらいまで12話を全部見ました。想像を超える面白さで、コメディでテンポがポンポン行くから、一気見できたと思います。

――初の連ドラレギュラーでもありますしね。

永島 私は女優さんになりたくて芸能界に入って、デビューから10年でやっと、念願の連続ドラマにレギュラー出演できました。本当に夢のようです。でも、もちろんここで終わりではなくて、これをきっかけにいろいろな作品に出演できるように、頑張りたいと思っています。

――聖羅さんが演じた飯倉智花も茶道部員の役で、お茶の稽古もしたんですよね?

永島 しました。クランクインの2週間くらい前から行ったのかな? 先生からもらったDVDを家で見たりもしました。お茶は無心になって集中できるのが楽しくて、お辞儀の仕方が3種類あるのも教わって。所作ひとつで雰囲気が変わるじゃないですか。品のある感じになったり。私は年齢的に落ち着いた大人の女性にもなっていきたいので、とても勉強になりました。

――難しいこともありませんでした?

永島 角度ひとつで見え方が変わって、部員みんなで映るシーンでは1人がズレていると、全然違う意味になってしまうので、そこも指導していただきました。ただ、私は新入生役だったので、「最初から上手くなりすぎなくていいよ」と言われてはいましたね。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

長回しのシーンで最後に台詞を噛んでしまって

――『お茶にごす。』の原作の漫画も読み込んだんですか?

永島 はい。『今日から俺は!!』の西森(博之)先生の名作のひとつとも言われていて、読むと本当に面白くて、自分の最初の連ドラレギュラーがこの作品で良かったと思いました。主人公のまークン(船橋雅矢)がみんなに怖がられているけど、意味のないケンカはしなくて、実は芯のある人。茶道部に入って我慢を覚えたり、部長や部員のために成長していくのも素敵で、メインから脇役までキャラクターが全員愛おしいんです。

――智花役が自分にハマる感じはしました?

永島 智花は平和主義で、自分の気持ちをなかなか言えないおとなしい部分もあって。小動物みたいで、すごくかわいいです。それがハマったんですかね?

――聖羅さん自身も小動物みたいにかわいい、ということですか(笑)?

永島 違います(笑)! そういう設定なんですよ。でも、何かしら通じる部分があって、選んでいただけたんだとは思います。

――逆に、原作の智花に寄せた部分もありますか?

永島 原作モノなので、キャラを崩さないようにはしました。でも、智花は自分から何かを仕掛けて目立つキャラではないので。たぶん視聴者目線に近いと思うんです。そこを重視しました。ちゃんと周りを見て、落ち着きがある感じで、親友の夏帆には親目線というのは意識しました。

――撮影は去年の夏だそうですが、今もよく覚えていることは?

永島 3話に長回しのシーンがあったんです。まークンたちが橋を歩いて来て、カメラを振ったら、北沼たちが遠くの公園にいて、また橋のほうにカメラが戻ったら智花と夏帆が歩いて来るという。夏の暑い中で撮っていて、最後の最後に私が台詞を噛んじゃって、最初から撮り直しになってしまったんです。

――長回しの最後の台詞はプレッシャーですよね。

永島 そうなんですよ。1回噛むと焦って、負のスパイラルに入ってしまって。次は他のところで「あっ!」となってしまったり。皆さんに「暑い中で何度もやらせてしまってすいません」と謝りましたけど、あれは申し訳なかったですね。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

意志を持っていれば少しずつ叶うんだなと

――乃木坂46を卒業してからだと、5年を経て連ドラのレギュラーに辿り着いたわけですね。

永島 そうですね。ホリプロに入って1~2年目は舞台の出演が中心で、3年目に『Going!Sports&News』のお天気キャスターを担当させていただいて、去年『お茶にごす。』を撮りました。自分の芯に「これをやりたい」という意志をしっかり持っていれば、ちょっとずつ叶うことを実感しています。もちろん、いただいた仕事は何でも頑張るのは当たり前ですけど、「私は女優になりたくて、この世界に入ったんです」と公言しておくことも、大事だなと感じています。言霊というのもあると思うので。

――ドラマや映画の仕事がなかなか増えなくて、焦ったりはしませんでした?

永島 私は乃木坂46時代から、「頑張っていれば絶対どこかで誰かが見てくれている」と実感できることが多くて。だから焦るより、どんな仕事でも一歩一歩、地に足を付けて頑張ろうという意識がずっとありました。今もその初心は忘れていません。ただ、昔は事務所に入りたてだったこともあって、いただいた仕事を全部受け身でやっていたんです。そこは変わりました。

――ホリプロに入ったのは、イジリー岡田さんが『NOGIBINGO!』での聖羅さんのトーク対応を買って紹介されたそうで、バラエティ要員として期待されていたのでは?

永島 最初はそうでしたね。それも『NOGIBINGO!』で頑張っていたのをイジリーさんが見てくれていたからだと思います。当時からイジリーさんにも「私は女優になりたいんです!」と言ってました(笑)。でも、乃木坂46の頃から私を知ってる方は、バラエティのイメージが強いかもしれませんね。

――バラエティも好きではあるんですか?

永島 好きなんですけど、得意だとは思っていません。正直、苦手意識があります。面白いことは言えないですし、「期待に応えられないよ……」と思ってしまいますね。もちろんバラエティのお話があれば、全然頑張ります。

――周りには、そっちのセンスやキャラクターも買われているようですしね。“元乃木坂46”の肩書きには、メリットやデメリットはありますか?

永島 私が卒業してからも乃木坂46はどんどん大きくなって知名度も上がって、私のことを元メンバーとして認識してくれている方も多いと思います。私自身、素晴らしいアイドルグループにいられたことを本当に感謝しています。

撮影/河野英喜 衣装協力/OSEWAYA, NaNo Art, BRAND SELECT
撮影/河野英喜 衣装協力/OSEWAYA, NaNo Art, BRAND SELECT

生放送でお天気キャスターをして鍛えられました

――これまでのキャリアでは、『Going!』でのお天気キャスターはやっぱり大きかったですか?

永島 生放送にレギュラーで毎週出させていただく機会はなかったし、決まったときには友だちからもすごい連絡が来て、家族も喜んでくれました。仕事で地元の愛知に行くことは少なかったんですけど、『Going!』は全国放送なので愛知でも流れて、おじいちゃん、おばあちゃんにも見てもらえました。生放送で鍛えられた部分もたくさんあります。乃木坂46時代、ラジオでお天気を読むと、全然ダメだったんですよ(笑)。それがテレビでお天気キャスターをやらせていただくことになって、すごくうれしかった分、頑張りました。

――知名度アップにも繋がりました?

永島 街を歩いていて「永島聖羅さんですか?」と声を掛けられて、「乃木坂46の」と言われるのかと思ったら、「『Going!』を観てます」と言われたことがありました。アイドルファンとは違う、スポーツファンの層の方に知っていただく機会は増えたと思います。

――今は女優として活躍するために、努力していることはありますか?

永島 ワークショップに行ったり、基本的なことですけどドラマや映画を観るようにしています。でも、やっぱり現場で学ぶことは大きいと感じますね。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

芸能界を目指したきっかけは上戸彩さんでした

――そもそも聖羅さんが女優を目指したルーツは、どの辺にあるんですか?

永島 私が芸能界に入りたいと思ったきっかけは、上戸彩さんです。テレビで見て「素敵な方だな。私もこんなふうになりたいな」と思いました。それが小学校5、6年とかですかね。

――どんな作品を見て?

永島 『エースをねらえ!』とか『アタックNo.1』がきっかけだったと思います。両親も「いつかああいうふうになれるといいね」みたいなことを言ってくれて、私もだんだんその気になりました(笑)。上戸さんと一度は共演してみたいです。憧れの人なので。

――最近だと、どんなドラマや映画を見ているんですか?

永島 ドラマは特に好きで、前のクールも全部見てました。脚本家さんでいうと、金子茂樹さんのドラマが好きです。『プロポーズ大作戦』、『世界一難しい恋』、『俺の話は長い』とか。今度始まる『コントが始まる』もそうですね。ちょっとコメディが混ざった感じがいいなと思います。

――脚本家さんからドラマに入ったりもするわけですか?

永島 「これ好きだな」と思った作品が、結果的に同じ脚本家さんだったことが多い感じです。最近だと『知ってるワイフ』の橋部敦子さんも好きです。昔の『僕の生きる道』とか。

――「こういうのに出たい」と思う作品もありますか?

永島 いっぱいありますけど、今はピンポイントで「こういう役をやりたい」というより、オーディションを受けた役もオファーをいただいた役も何でもやりたいです。少しでも多くの作品に出会って、たくさんの現場を経験したいので。

――ラブストーリーでもホラーでも。

永島 そうですね。でも、個人的にはドロドロした恋愛系も好きなんです(笑)。鈴木おさむさんの『奪い愛、冬』とか。

――松本まりかさんが出てくる作品とかも?

永島 そうです! 『ホリデイラブ』とか、すごかったですね。でも、今は本当に幅広くやれたらいいなと思います。何に出たいとか考えるのは、それからですね。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

久しぶりに歌って踊って楽しかったです

――上戸彩さん以降で、影響を受けたり刺激になった女優さんはいますか?

永島 たくさんいますけど、誰かというより、皆さんそれぞれに「こういうところがすごいから、ドラマに出続けているんだな」と思います。『お茶にごす。』で親友役だった萩原みのりちゃんも、映画界で評価されて、最近はドラマにも数多く出演しているじゃないですか。同じ愛知県出身で年齢も近いので、共演してすごく刺激を受けました。

――萩原みのりさんは『お茶にごす。』では“狂犬ノラ”と呼ばれる浅川夏帆役ですが、間近で演技を見て感じたことが?

永島 本当に演技が上手でした。私より2つ年下なのに、現場をたくさん踏んできているから、「わかっているんだな。すごいな」というところも多くて。「私ももっともっと頑張らなきゃ」と思いました。オフの日に(ロケ地の)足利で一緒にお出掛けして、相談や演技の話をさせてもらったんですよ。

――何か参考になることはありました?

永島 「親友役は向いてる感じがするし、これから絶対増えると思うよ」と言ってもらえたのは、うれしかったです。自分がすごいと思っている萩原みのりちゃんの言葉だったので。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

――聖羅さんは最近では、ベネッセとアサヒ飲料がコラボした『「カルピス」つくろう!だいさくせん』のWEB動画に出演して、久々のダンスも披露していますね。

永島 本当に久しぶりでした(笑)。歌も私が歌っているんですよ。グループを卒業してから、歌とダンスを披露する機会はなかなかなかったので、本当にレアだと思います。

――乃木坂46時代のダンスに比べたら、難しくもなかったでしょうけど、練習もしっかりして行ったんですか?

永島 振付師さんの動画を送ってもらって、家で覚えました。当日は子どもたちやしまじろう、コラショと合わせて踊って、私はそんなにダンスは上手じゃないですけど、やっぱり楽しいなと思いました。乃木坂46でMVを撮ったときのことを思い出しましたね。

一歩一歩でも続けていくことが一番大事だなと

――今、自分磨きでしていることはありますか?

永島 パーソナルジムに行ったり、ピラティスをやったりしてます。最近は特に体型を気にするようになりました。以前は正直太らなかったんですけど、今はちょっとずつ、付くところに付いてきちゃったので(笑)、定期的に体を動かすことは大事かなと。自分に対する投資というか、そういうことが増えました。

――20代半ばは曲がり角と言いますが、早めに取り組むのはいいかもしれませんね。

永島 今までは年齢を重ねるごとに良い化粧品を使う方を、「なんでそこまでするんだろう?」と思ってましたけど、やっと意味がわかりました(笑)。やっぱり代謝も悪くなるので。美顔器を買ってケアしたり、時間があったら、ひと駅くらいは歩くようにもしてます。あと、サウナにもハマりました。汗をかいて老廃物を流すのが好きになって。この仕事はタイミングとご縁もあるので、いつでも出られるように自分を磨いて、スタンバイしておきたいです。

――「今はいろいろな役をやりたい」とのことでしたが、将来的に目指す女優像はないですか?

永島 それは周りに決めていただくことかなと思っています。そのためには「永島聖羅ってこんな感じだよね」と、皆さんに知っていただけるようにならないといけないので、まずはそこからかなと。私自身、まだ夢が叶う第一歩くらいなので、しっかり地に足を付けつつ、5年後に自分がどんな感じになっているのか楽しみにしたいです。30代になると、またいろいろなことが変わったりするじゃないですか。

――さっき出た松本まりかさんみたいに、30代で脚光を浴びる女優さんもいます。

永島 そういう方を見ていて思うのは、続けていくことが一番大事なんだなと。だから、一歩一歩ちゃんと進んで、階段を上がっていければいいなと思います。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

Profile

永島聖羅(ながしま・せいら)

1994年5月19日生まれ、愛知県出身。

2011年に乃木坂46の第1期生オーディションに合格。2013年3月発売のシングル『君の名は希望』で選抜メンバー入り。2016年3月に卒業。2019年4月より『Going!Sports&News』でお天気キャスターを1年間務める。ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』、『記憶捜査~新宿東署事件ファイル~』、『赤ひげ2』などに出演。ドラマ『お茶にごす。』(テレビ東京)にレギュラー出演。

ドラマ『お茶にごす。』

Amazon Prime Videoで配信中。テレビ東京で2021年に放送予定。

公式HP

視聴ページ

(C)西森博之/小学館 (C)「お茶にごす。」製作委員会
(C)西森博之/小学館 (C)「お茶にごす。」製作委員会

元乃木坂46の中田花奈が麻雀と投資で脚光

元乃木坂46の伊藤かりん。将棋界で果たしたいこと

元乃木坂46の深川麻衣。聖母から令和の癒し系女優へ

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

斉藤貴志の最近の記事