Yahoo!ニュース

実力もルックスもハイレベルの“完全なるアイドル”わーすた。初のバラードシングルで勝負を懸ける

斉藤貴志芸能ライター/編集者
初の桜ソング『春花火』をリリースしたわーすた(エイベックス提供)

結成6周年を迎えるアイドルグループ・わーすた。猫耳をトレードマークに弾けたユニークな曲を売りにしてきたが、一方で歌唱力が高くタイプが違うツインボーカルを擁し、パフォーマンス力の高い本格派でもある。3月3日発売の『春花火』はシングルでは初のバラードで感動的な桜ソング。メンバー全員が20代になるタイミングに、スタンダードなナンバーで勝負を懸けていく。

ここまで壮大な曲になるとは思わなくて

――皆さん自身が好きな桜ソングや春の歌はありました?

三品瑠香 supercellさんの『さよならメモリーズ』をめちゃくちゃ聴いていた時期がありました。2年くらい前に『君の知らない物語』からsupercellさんに入ったんですけど、季節の曲が多くて。暖かくなると『さよならメモリーズ』を聴きたくなります。

廣川奈々聖 自分が上京した春に、三月のパンタシアさんの『はじまりの速度』をよく聴いてました。アーティスト名にも“三月”が入っていて、自分の中で春というと連想する曲ですね。

松田美里 私は♪さくら、さくら~です。

――森山直太朗さんの『さくら』ですね。

松田 歌番組で乃木坂46さんがカバーしたのを聴いて、「良い曲はいつ聴いても、誰が歌ってもいいな」と思いました。わーすたになる前の頃だったか、当時オルゴールにハマっていて、毎晩『さくら』のオルゴールバージョンを聴きながら寝ていました。

小玉梨々華 私も最初に思い浮かぶのは『さくら』です。オリジナルで聴いてました。

坂元葉月 WHITE JAMさんの『咲かないで』という卒業ソングを高校生の頃に聴いて、「青春っていいな」と思いました。私は中学も高校も卒業式に出てなくて、「なんで青春をもっと楽しまなかったんだろう?」というのも「お仕事ができて良かった」というのもあって。春になるとこの曲を聴いて、頭の片隅のキラキラした思い出を振り返ります。

――わーすたの新曲『春花火』ですが、曲ができる前から「次は桜ソング」と聞いていたんですか?

廣川 聞いてました。前作のミニアルバムもいろいろなクリエイターの方に関わっていただいて、楽曲派の方も楽しめる作品になったので、今回もそういう方向性を予想してました。でも、ここまで壮大なバラードになるとは思ってなくて。

三品 私はギターがジャキジャキ鳴ってる曲を想像していたんですけど、ストリングスが入るような空気もあったので、やさしい感じかなとか、いろいろ考えてました。

廣川奈々聖(ひろかわ・ななせ)1999年5月12日生まれ、福岡県出身(エイベックス提供)
廣川奈々聖(ひろかわ・ななせ)1999年5月12日生まれ、福岡県出身(エイベックス提供)

わーすたが歌うのがイメージできませんでした

――実際に出来上がった『春花火』は、LiSAさんの『紅蓮華』などを手掛けた草野華余子さんによるメロディに、詞やアレンジもすべて良質なバラードでした。

小玉 歌詞がスッと入ってきて、初めて聴いたときから、自分の春の思い出や学生時代のことがワッと思い浮かんで、音楽はすごいなと思いました。

松田 大人っぽくて誰でも自分を当てはめられる歌詞で、すごく良い曲ですけど、わーすたが歌うのが想像できませんでした。いつもみたいに“にゃー”とか入ったりする、わーすたっぽいかわいさはなくて、良い声をお持ちのアーティストさんが歌ってもいい曲だと思ったので。逆に、これを歌えるくらいわーすたも大人になったのかなと、うれしかったです。

坂元 私も仮歌をもらった時点で、わーすたが歌うイメージが全然なくて。合っているのか、良いと言ってもらえるのか、不安がありました。でも、レコーディングで歌いながら「絶対良い曲になる」と確信したんです。私たちの想いを届けられる楽曲で、たくさん聴いてほしいと思いました。

――良い曲だけに、どうモノにするか、プレッシャーもあったわけですか?

廣川 仮歌が来たとき、「これで本当に確定ですか?」と聞いたのを覚えてます(笑)。良い曲すぎて、わーすたが歌うとどうなるのか想像できなかったし、歌いこなせる自信もありませんでした。でも、5人が歌を録って出来上がったのを最初に聴いたとき、わーすたもこんな世界観を作れるんだと実感しました。

三品 こういう曲で、わーすた感も出すには、どういうふうに歌えばいいか考えました。何がわーすた感かはわからなかったんですけど、私たちが歌えば、ちゃんとわーすたらしくなると感じています。今の私たちが歌うことで、説得力がある曲になったと思います。

レンジが広い曲を歌えて自信になりました

わーすたの楽曲は、廣川奈々聖と三品瑠香のツインボーカルがメイン。共にアイドル界屈指の歌唱力を持つが、陽性で安定感のある廣川にクールでパンチの効いた三品と、タイプが異なる。その2人の歌声が交錯するのが、わーすたの大きな武器になっている。

――今までもアルバムなどでは感動系のバラードもありましたが、今回はシングル表題曲。勝負に出る意識もありますか?

三品 シングルでこれを出すのは怖かったです(笑)。どんな反応があるのか? 私も普段はアップテンポで元気になる曲を聴くことが多くて、バラードを表題曲にするのはなかなか勇気がいるなと。でも、背中を押してほしいときに聴く曲もたくさんありますから、『春花火』もそういうふうになればいいなと思います。

――むしろ、わーすただからこそ歌える曲に思えるし、スタッフさんも皆さんの成長を見て、ここでこの名曲を持ってきたのではないかと。

廣川 昔と比べたら、自信は全然つきました。

三品 そろそろ自信を持たなきゃ、という自覚はあります(笑)。

廣川 作曲してくださった草野さんがツイッターで「わーすたなら歌えると思って」みたいなことを書いてくださって、すごく自信になりました。アイドルがここまで壮大なバラードを歌わせてもらえることはなかなかないので、貴重な作品をいただけてうれしいです。

――草野さんもツイートしていた通り、レンジが広いですね。

三品 大変でした。仮歌で「これはどうやって歌っているんだろう?」と思って、声に出して歌うと、めちゃめちゃ難しくて。ドキドキしながらレコーディングに行きました。こんなに不安を抱えて歌ったのは久しぶりでした。

三品瑠香(みしな・るか)2001年3月17日生まれ、愛知県出身(エイベックス提供)
三品瑠香(みしな・るか)2001年3月17日生まれ、愛知県出身(エイベックス提供)

メッセージ性が伝わるように意識してます

――特にサビに高音が続きますが、奈々聖さんはファルセットを重点的に磨いていたんですよね?

廣川 去年の秋・冬くらいから、ファルセットやミックスボイスを強化しようと思っていたので、タイミング的には良い試練になりました。レンジが広すぎて、いろいろな声の出し方をしていたら、途中で「あれ? 声ってどうやって出すんだっけ?」とわからなくなってしまって(笑)。

――いつもは何も考えなくても出ていた声が、考えすぎて出し方がわからなくなったと?

廣川 そうなんです。スタジオに何時間も籠って、ずっとマイクに向き合っていたら、ちょっとおかしくなったみたいで、声が出なくなったんです。そんなこと初めてで、声を出す体の構造から考え直しました(笑)。それでいったん落ち着こうと、時間をもらって歌いました。

――瑠香さんはハイトーンは得意ですよね?

三品 うーん……。なかなか厳しい戦いではありました。

廣川 戦っていたんだ(笑)。

三品 音域というより、その音程をずっと保って歌い続けるのが難しくて。ライブだと1曲まるまる歌いますけど、レコーディングは同じフレーズを繰り返し歌うので、ハードでした。サビ終わりの私のソロがあって、そこがまあ、キツくて(笑)。こだわって何回も録って、回数を重ねるごとに、どう歌えば感情が籠るとか冷静に考えて、イメージ通りに歌えたと思います。

――キーが高いと感情が乗りやすい面もあるのでは?

三品 音によります(笑)。でも、頑張って声を張るほうが感情が入る気はします。ファルセットが多いので、言葉を置いていくイメージで歌いました。いつもは勢いで歌うことが多いんですけど、今回はスローバラードでメッセージ性がすごくある曲なので、歌詞が伝わる歌い方も意識しました。

廣川 本当は立って歌うだけで終りたいんですけど(笑)、バラードながら舞い踊る感じの振付があって。振りにもメッセージ性があるので、どちらも疎かにできません。

振りにも感情を出して雰囲気を作ろうと

――振りはアイドルダンスというより、舞踊みたいな感じですね。

三品 ちゃんとしたジャズダンスですね。

小玉 レッスンではやってますけど、自分たちの曲でここまで“THEジャズ”な感じはなかなかなくて。ライブでやるのが不思議な感じで、いつもと違う頑張り方をしてます。手で伝えるところもあれば、体全体で手足を長く見せて表現するところもあって。

松田 きれいに見せるのが本当に難しいです。感情や見せたい雰囲気も考えながら踊ってますけど、MVでは上から撮ったりして、エモーショナルで切ない感じがすごくいいと思います。

――<その言葉が今でもお守りだよ>で、美里さんがお祈りのようにするのもエモいです。

松田 感情を出すダンスは好きで、こういう曲で踊れる幸せを噛みしめました。表情も大事なので、いつもはわりとふざけたりポップな顔をしちゃうのを必死に抑えて(笑)、雰囲気を作れたらいいなと。

坂元 1コ1コ「ここはこれを気をつけて」とか考えることが多くて、すごく苦戦しました。今までこういう振りがなかったので、なかなかしっくりこなくて、ライブでも緊張します。でも、他のメンバーを見て「これカッコイイから、やってみたい」とか考えるのは楽しいです。

――誰のどんな振りを取り入れたんですか?

坂元 奈々聖はターンするときがめっちゃきれいで、MVのダンスシーンで奈々聖だけを観て、「この顔の角度いいな」とか思います。

廣川 角度が(笑)?

坂元 美里や瑠香は手足が長くて指先まできれいだから、「ここは中指を立てたらいいのか」とか、めちゃめちゃ楽しんでます(笑)。

松田美里(まつだ・みり)1999年8月2日生まれ、広島県出身(エイベックス提供)
松田美里(まつだ・みり)1999年8月2日生まれ、広島県出身(エイベックス提供)

上京したときの寂しさを思い出しました

――この『春花火』を歌ったり聴いたりして、卒業のこととか思い出したりもしますか?

小玉 最初に聴いたときは小学校の卒業式を思い出しました。事前に練習を何回かするじゃないですか。そのときにみんな泣きすぎて、本番はクラスで誰も泣きませんでした(笑)。

廣川 私は春に上京したのも印象的です。中学を卒業して、人生で初めてのひとり暮らしをして、すごく寂しかったんです。私はあまり寂しがり屋でないと思っていたから発見でしたし、自分が大人になったんだなとも感じました。

三品 私も高校で上京することが決まっていたので、中学を卒業するのはすごくイヤでした。卒業式は泣いた気がします。泣いたことにしておいてください(笑)。

松田 上京して、家の周りの桜を見て「帰りたいな」とめちゃくちゃ思いました。お仕事で東京に通いながら引っ越しの準備をしていて忙しかったんですけど、中学のイツメンたちがギリギリまで会える日を探して、「いつでも帰ってきてね」と言ってくれて。帰れる場所はすごく大事だなと思いました。

――でも、「売れるまで帰れない」みたいなことも思ったり?

松田 思いました。親戚も「頑張ってね」と送り出してくれて、母が一緒に上京してくれたので、中途半端で帰ることはできません。頑張ろうと思いました。

――詞にあるように、<優しい母からの手紙>を握りしめたりはしました?

松田 友だちに「美里好き。応援してるよ」みたいな手紙をもらいました。学生がよくやる折りたたんで入れ込んだ手紙で、ずっとお財布に入れて、お守りみたいにしてました。

小玉梨々華(こだま・りりか)2000年10月1日生まれ、北海道出身(エイベックス提供)
小玉梨々華(こだま・りりか)2000年10月1日生まれ、北海道出身(エイベックス提供)

どうしたらもっと知ってもらえるか考えてます

――わーすたは歌唱力もパフォーマンス力もヴィジュアルも兼ね備えていて、もっと売れないのがおかしいアイドルだと思いますが、今年は行けそうですか?

廣川 去年3月の5周年ライブで、渋谷公会堂が早くにソールドアウトになって、どんどん突き進んで全国ツアーもやりたいと思っていたところで、こういう状況になってしまって……。5周年ライブも無観客になって、タイミングが悪いというか、より頑張ろうとしていたときだったので、悔しさはありました。

――あれは確かに残念でした。

廣川 思うように動けないのは、どのアイドルさんやアーティストさんも同じでしょうけど、辛かったです。でも、YouTubeのコメントでも「わーすたをもっと知ってもらいたい」と書いてくださる方がすごく多くて、「いいね」を押しそうになります(笑)。ファンの方たちが「テレビでわーすたの曲が使われていたよ」とか、いろいろ報告してくれるのもうれしくて、自分たちでもどうしたらもっと知ってもらえるか、いつもすごく考えています。

――わーすたにはあと何が必要だと思いますか?

廣川 メンバーがみんなわりと引っ込み思案なんですよね。それはずっと変わらなくて、もうちょっとグイグイ行けるグループになりたいです。自分がイメージしていたアイドルの6年目は、イベントとかでも上に立って司会で回したりする感じでしたけど、全然そういう雰囲気がなくて(笑)。

坂元 対バンイベントの舞台裏でも、わーすたはメンバー5人だけで内向きで固まっていることが多いんです。積極的にコミュニケーションを取っていけたらいいですね。

小玉 自分たちのファンしかいないライブでもペコペコしていたりするのが、6年目でも変わりません(笑)。無理やりオラオラにするのも難しいし、わーすたの良さは変えないようにしつつ、もうちょっとグイグイ行けるように頑張ります。

坂元葉月(さかもと・はづき)1998年9月9日生まれ、兵庫県出身(エイベックス提供)
坂元葉月(さかもと・はづき)1998年9月9日生まれ、兵庫県出身(エイベックス提供)

音楽コンテンツとして楽しんでもらえたら

――人気ブランドのTRAVAS TOKYOのモデルを務めたり、瑠香さんがラジオの『キミまち!』(文化放送)の中で箱番組『推しがいればそれでいい。』を始めたのは、大きなプラスになってますか?

松田 TRAVAS TOKYOさんでの写真は、客観的に見てかわいいですね(笑)。わーすたは猫耳を付けたり、パステルカラーの衣装が続いてますけど、TRAVASさんの病みかわいさや地雷系が意外とマッチしていて。メンバーにこういう顔もあるんだと、ファンみたいな気持ちになりました(笑)。

三品 私はラジオの好きな人のアカウントからフォローされることが増えました。ただのアニメ好きという認識しかされてないと思うので、わーすたの宣伝になっているかはわかりませんけど(笑)。

――瑠香さんは昔からアニメ好きでしたっけ?

三品 ちゃんと観ているのはここ3年くらいで、まだまだ未熟者です。

廣川 でも、ハマってからは速かった。

三品 熱しやすいタイプなんです。関心を持っていることはそんなにないですけど、ハマったら一気で、アニメのサブスクは網羅しました。ラジオは最初、1人で喋るのは怖くて。

――今や「永遠に喋れる」と話してましたね。

三品 アニメ以外の話題だとわかりませんけど、15分の箱番組で、収録ではひとつの作品について2クール分、話していて(笑)。自分でも「こんなに喋れるんだ」と思いました。

松田 私もYouTubeチャンネルを観てくれてる人には、ただのゲーム好きと思われているかも(笑)。ゲームは小さい頃から好きで、たまにゲーム関連のお仕事をいただいたり、『RAGE』というeスポーツのイベントでお知らせコーナーとかに出させていただいたので、そういう活動を増やしたいです。

――個々の活動がわーすたの躍進にも繋がるといいですね。

三品 今はファンの方となかなか直接会えない分、動画を観る機会はすごく増えているみたいで、YouTubeにも「家でいろいろ観てたら辿り着きました」みたいなコメントが多くて。私たち自身への興味も持ってもらいたいですけど、この状況の中で頑張って歌った『春花火』がちゃんと伝わって、音楽コンテンツとして楽しんでもらえたらと思います。

わーすた

avexのアイドル専門レーベル「iDOL Street」から、2015年3月にメンバー5人で結成。英語表記は「The World Standard」で世界に照準を合わせて活動中。デジタルネイティブ世代アイドルとして、SNSとリアルの活動を通じて、海外にKAWAIIジャパンアイドルカルチャーを発信する。2016年5月に1stアルバム『The World Standard』でメジャーデビュー。同年9月に1stシングル『完全なるアイドル』を発売。6周年記念ライブを3月27日にTOKYO DOME CITY HALLで開催。

       『春花火』 CD+Blu-ray 2500円(税込)
       『春花火』 CD+Blu-ray 2500円(税込)

        『春花火』 CD 1200円(税込)
        『春花火』 CD 1200円(税込)

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

斉藤貴志の最近の記事