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元乃木坂46の中田花奈が麻雀と投資で脚光。「ブランディングではなく経営学を1から勉強してます」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
プロ雀士と雀荘カフェ経営を目指す中田花奈(撮影/松下茜)

乃木坂46の1期生で昨年10月に卒業した中田花奈。投資への造詣から『サンデー・ジャポン』に出演したり、プロ雀士と雀荘カフェのオープンを目指してYouTubeでの密着企画がスタートしたりと、アンダーが長かった乃木坂46時代以上に活動が目につく。グループでの葛藤とこれから目指していくものについて聞いた。

今すごくポジティブで良い精神状態です

――乃木坂46を卒業してから、生活は大きく変わったでしょうね。

中田 今までは1人の仕事が特別なものだったのが、今は1人の仕事しかなくて、気持ちが変わりました。それと、プライベートで仕事に関係するものを見たくなかったんですけど、今は乃木坂46が出る歌番組とか「今日だったな」って率先して見るようになりました。

――『サンデー・ジャポン』や『中居正広のニュースな会』に出演したり、麻雀のYouTube企画を始めたり、充実しているようですね。

中田 充実してます。本当に毎日が楽しい。卒業したらグループでの仕事がなくなるから、「やることがなくなってヘコむだろうな」と思っていたんですけど(笑)、一度もそうならなくて。今はすごくポジティブで良い精神状態です。

――昨年出版された『「バフェットの投資術」を学んだら、生き方まで変わった話。』でも、選抜落ちしたときに「仕事がないのは本当に辛かった」とありました。

中田 今もタレントとして活動する日がそんなにあるわけではないです。でも、毎日雀荘カフェを作る準備で忙しくて、時間が足りないくらいで本当に楽しいです。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

麻雀は「ヘタクソ」と言われてのめり込みました

中田花奈は2015年に出演した舞台をきっかけに麻雀を始め、現在は対局番組『元乃木坂46中田花奈の麻雀ガチバトル! かなりんのトップ目とれるカナ?』(TBSチャンネル1)に出演中。他のアイドルたちとの対局から勝ち獲った冠番組だ。乃木坂46を卒業後、今年に入って、テレ朝公式YouTube『動画、はじめてみました』内で『中田花奈プロ雀士への道』もスタートした。

――麻雀はもともと、舞台『じょしらく』で台詞にあった“数え役満”を調べたことから興味を持ったそうですが、それまではどれくらいの知識があったんですか?

中田 ゼロでした。幼い頃、ひいおばあちゃんがよくプレステをテレビに繋いで、麻雀ゲームをやっていたのを見ていたくらいですね。

――数え役満のことを調べて、ピンとくるものが?

中田 ウィキペディアを見ても、ルールを理解してないと説明がわからなくて。舞台のために、とりあえずルールを覚えました。アプリで麻雀を始めて、「何でこれで和了(あが)れなかったんだろう? フリテンってことなの? フリテンってどういう意味?」とかやっていくうちに覚えたので、そこまで苦労はしませんでした。

――すぐ麻雀にのめり込んだのですか?

中田 いえ、アプリでやるくらいで、最初は全然のめり込んでなかったです。ただ、麻雀のルールがわかるとSNSで発信したら、さえぴぃさん(村瀬紗英/NMB48)がやっていた『トップ目とったんで!』のプロデューサーさんが拾ってくださったんです。それで出演させてもらって、対局したらボロボロ。父に「ヘタクソだな」とかいろいろ言われて、反骨心からのめり込みました。

――そこからは一気に?

中田 そうですね。アプリでなくて、実際に牌に触って打ったら楽しすぎて、ハマっちゃった感じです。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

確率論と心理学を組み合わせるのが合ってました

――麻雀に花奈さんに合う要素があったと思いますか?

中田 乃木坂46に入る前に大学受験をするつもりだったときは理系で、確率論は好きだったので、計算で編み出せる部分が良かったんでしょうね。もし文系にするなら心理学を考えていたので、麻雀は自分の興味あるものが二つ組み合わさっていて、ハマるのは必然だったのかなと思います。

――アイドルとして、麻雀をひとつの武器にする目論見もあったんですか?

中田 そこまで考えていませんでした。本当に父にヘタクソと言われるのがイヤで、上手に打ちたかっただけで、まさか麻雀で冠番組をやるとは思い描いてなかったです。ただ、当時は個人仕事が欲しかったので、番組に出られたりするのはうれしいことでした。

――当時の取材で、花奈さんは選抜復帰を目指す中で、「当たり前のことは絶対やる。それプラス何をやるかが大事」と話されていました。その「プラス」として麻雀が見つかった感覚でもなくて?

中田 当時はどうしても麻雀で行きたい気持ちはなかったです。『乃木坂工事中』の私の卒業回のオープニングで、パンしてメンバーが「ロン!」と言ったのを見て、「私はそこまで麻雀キャラになっていたのか!」とビックリしました(笑)。自覚は全然なかったので。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

性格の悪さが打ち方に出ているみたい(笑)

――上達は早かったと思いますか?

中田 全然です。ただ、オタク気質なので、麻雀もハマってからはだいぶ時間を割きました。『熱闘!Mリーグ』でプロの対局を見るのが一番勉強になります。シーズン中は月・火・木・金と、ふた半荘を3~4時間観るから、時間が埋まっていっちゃうんですよね(笑)。

――メモを取ったりしながら?

中田 取ります。見逃し配信で観ていて、「こういうパターンがあるんだ」というところで一時停止します。牌をバーッとメモして、「ここからこう切って、対面がこういう状態で……」とか書いていて。ノートが1冊終わって、今は携帯のメモに書いています。

――花奈さんもMリーガー相手にいい勝負をしていました。

中田 ありがたいことに対局の機会がちょくちょくあって、きっとプロの方は私みたいなまだまだの人の打ち方を読めないんです。牌効率を完璧にできてなくて、「先にこっち?」みたいに切っちゃったりするのが、プロの方と対局するときの強みになって、勝つこともある感じです。

――麻雀は性格が出ると言いますが、花奈さんがわりと守備を固めて手堅く攻めていくのも、何かを反映していますか?

中田 どうですかね? 守備がどうこうより、性格の悪さが打ち方に出ていると思います(笑)。『トップ目とれるカナ?』のホームページでも「ストロングポイントは性根の悪さ」と紹介されていて。細かいことで言うと、絶対に国士(無双)をやってる人がいて、3枚切れて、あと1枚この牌が欲しいんだろうなというのを、絶対切らない(笑)。それで、降り始めたのを見てから「持ってるよ」とか、意地の悪いことをしたくなっちゃうんですよね。

――そういう行いを普段もしているんですか(笑)?

中田 『乃木坂工事中』では、(後輩の告白企画で)ガヤで「モノで釣ってるよ」と言ってるのが拾われたり、バナナマンさんのラジオで陰で悪口を言ってそうなキャラクターになっていたので、そういうイメージはあるみたいです(笑)。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

芸能界から引退することも考えてました

高2だった2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格した中田花奈。2ndシングル『おいでシャンプー』ではセンターの生駒里奈の右隣りなど、当初は選抜入りを続けていた。だが、大学受験をやめてアイドル1本で行くと決めた途端、7thシングルからは選抜落ちが続いた。

――2019年12月、冠番組を賭けた『トップ目とったんで!三代目決定戦』では、ガチで勝ちに行ったんですか?

中田 その頃はもう乃木坂46を卒業するつもりで、引退も考えていたので、冠番組が欲しいとは思ってなかったし、無理だろうと。ただヘタだと思われないように打っていたら、トップを獲っちゃった感じです。

――2020年7月に卒業を発表したときも、冠番組になった『かなりんのトップ目とれるカナ?』がなければ、もう卒業していたはず、とのことでした。

中田 そうですね。この冠が決まったり、スーパードライのCMもあって、ちょっと気持ちが前向きになって、もう少しやろうと。卒業しても、引退はとりあえずやめました。

――逆に言えば、『トップ目とれるカナ?』がなかったら、引退していたかもしれないと。

中田 私はアイドルが好きでこの世界に入って、アイドル以外でやりたいことが見つかったら卒業しようと決めていたんですけど、9年経っても見つからなかったので。それなら、もう芸能界を引退しようと思いました。

――選抜復帰がなかなか叶わなかった頃、「ここまで辞めないできたのは、半分は大学受験を捨てた意地」と話してました。

中田 本当にそうでしたね。親に申し訳ない気持ちがあって、とりあえず何か残さないとアイドルを辞められないと思っていました。

――乃木坂46時代の後半は、どんな気持ちで活動していたんですか?

中田 歌番組に出るのが好きだったので、やっぱり選抜常連がずっと目標でした。でも、もう無理だなと。私はここまでだと諦めて、卒業することにしました。『しあわせの保護色』で1期生が全員福神になって、ここで終わるのが最高の形だと思って。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

性格がめちゃめちゃ歪みそうになって

乃木坂46時代の中田花奈は、“ダンス七福神”に選ばれるなどパフォーマンス力の高さには定評があった。また、『乃木坂って、どこ?』の学力テスト企画で優勝するなど、頭の良さも当時から知られていた。さらにグループきってのグラマラスボディで、卒業前には写真集『好きなことだけをしていたい』を発売している。

――『乃木坂工事中』の卒業回では、バナナマンの設楽さんが花奈さんの「強い心、くさらない心」を称賛していましたが、くさりそうになったこともあったんですか?

中田 何度もありました。性格がめちゃめちゃ歪みそうになって、正常な判断ができませんでした。「私はどんなに頑張っても無理」とか、アイドルが考えたらいけないことばかり考えていて……。

――折々の取材では「落ちたままでは終われない」とか前向きな発言もありましたが……。

中田 望まれる通りの言葉を言おうとして、本心は言えなかった感じです。

――でも、そういう状況の中で育まれたものもあったのでは?

中田 (選抜に落ちても)「ああ、またか」って何も考えず、自分の感情を消していました。大人にはなったかもしれませんね(笑)。

――最初に出たように、卒業したときもヘコむかと思っていたと。

中田 今はたぶん比べる人がいなくなったから、「個人仕事が少ない」とか考えなくなって、それも良かったのかなと思います。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

財務諸表を見て計算するのはワクワクしました

中田花奈は20歳になって、父親の勧めで株式投資を始めた。昨年12月には日本大学の濱本明教授に受けた特別講義をまとめた『「バフェットの投資術」を学んだら、生き方まで変わった話。』を出版。また、『サンデー・ジャポン』(TBS系)に二度にわたって出演し、仮想通貨について「メディアが取り上げているときが天井。私はもう売って利益確定させました」などと的確なコメントが話題を呼んだ。

――『サンデー・ジャポン』では投資タレント的な立ち位置で出演してました。

中田 投資は20歳からやっていて、これも仕事にする気持ちはなかったです。バフェットの投資術の講義を受けたのも、24歳のときでしたから。

――もともと、お父さんが株式投資をしていたそうで。

中田 だから、小さい頃から株に馴染みはあったというか。当時は株主優待が目当てで、お父さんに「この株買って」とか言ってました。たとえばマクドナルドの優待では、ポテトのタダ券とかが束になって来るんです。学生時代はそういうのをもらっていたことが多かったですね。

――20歳で自分で投資を始めてからは、儲けを出していたんですか?

中田 最近はコロナの影響を受けてますけど、マイナスにはなっていません。

――さすが。『「バフェットの投資術」を学んだら、生き方まで変わった話。』の濱本教授が花奈さんを「数字に強い」と評しています。理系とのことですが、受験の志望学部まであったんですか?

中田 応用化学が志望でした。応用物理も考えていて、得意なのは物理のほうでしたけど、行きたかったのは化学系です。

――それは就職まで見据えて?

中田 そうです。化粧品会社や食品会社で、化学を使って成分とかを研究する仕事に就きたいと思っていました。

――なるほど。そういう頭脳なら、バフェットの投資術もすんなり理解できたでしょうね。

中田 もう株をやって長かったんですけど、財務諸表の数値を見て計算とかしたことがなかったので、そういうのを教えてもらうのはワクワクしました。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

ビジネスメールの書き方から手こずりました

――今は夢がいろいろ広がっている感じですか?

中田 そうですね。雀荘カフェを開きたいので、頑張っています。

――そのために必要な防水・防災管理者や食品衛生責任者の資格を取る勉強も、楽しめていて?

中田 その辺は勉強というほど大変ではないです。それより、経営学とかのほうが難しくて。私は大学にも行かなかったし、バイト経験もないので、雀荘をやっている方やカフェをやっている方に、どういう形態で回しているのか聴きに行って、1から勉強してます。バカみたいな話ですけど、ビジネスメールもしたことがなかったんです。

――アイドルは普通しませんよね。

中田 「お世話になります。中田です」みたいな文章を書いたことがなくて。「大丈夫です」という言葉は敬語でないので使ったらいけないらしいんですけど、26歳にして知らなくて、同世代の普通に働いている女の子に笑われました(笑)。そこから手こずって、いろいろな方と取引するためにビジネスメールの勉強をしていて、それも楽しいです。

――そんなにビジネスメールを送る機会があるんですか?

中田 今、女性が気楽に入れる雀荘カフェのオープンに向けて、いろいろな企業の方とやり取りしているので。打ち合わせをしながら、メールも送っています。

――雀荘カフェの話は、もうそんなに具体的になっているんですか?

中田 今、めちゃめちゃ忙しいところです。

需要がある場所で楽しく続けられれば

――プロ雀士のテストにもエントリーするんですよね?

中田 プロテストに向けて、何待ちとかの問題集をやっています。そっちは不安でいっぱいですね(笑)。

――もともと麻雀を仕事に繋げる気はなかったとのことですが、今はタレント活動の中でどう位置付けているんですか?

中田 プロテストを受けるには私はまだまだだと思っていたので、あえてこのタイミングで受けるのは、タレント活動として……という感覚はあります。

――投資も含めて、独自のポジションを築こうとしているわけではなくて?

中田 別にブランディングで麻雀や投資をしているわけではないです。もともとやっていたことなので。『サンジャポ』さんに出られたのは本当にありがたくて、反響も大きかったんですけど、狙っていたわけではありません。本音は乃木坂時代から「スイーツの仕事が来ないかな」と狙っていました(笑)。おいしいスイーツを食べに行く仕事はしたいです。

――アイドル時代初期の、ご自分で言っていた“全盛期”を超えたいというような、気負いはないんですね。

中田 自分に自信があるタイプではないので。できる限りのことはしながら、需要がある場所に行きたいです。今はプロテストの勉強で時間に追われて間に合う気がしなくて、ワーッとなってますけど(笑)、それも含めて毎日が楽しくて。今みたいな生活がずっと続けばいいなと思っています。

撮影/松下茜
撮影/松下茜

Profile

中田花奈(なかだ・かな) 

1994年8月6日生まれ 埼玉県出身。

2011年に乃木坂46の第1期生オーディションに合格。2012年2月に1stシングル『ぐるぐるカーテン』で選抜メンバーとしてデビュー。2020年10月に卒業。『元乃木坂46中田花奈の麻雀ガチバトル! かなりんのトップ目とれるカナ?』(TBSチャンネル1)に出演中。1st写真集『好きなことだけをしていたい』(光文社)、『「バフェットの投資術」を学んだら、生き方まで変わった話。』(PHP研究所)が発売中。

公式インスタグラム https://www.instagram.com/nakadakana_official/

公式ツイッター https://twitter.com/nakada_official

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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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