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『馬好王国』MCの神部美咲がドラマ『ドンナビアンカ』に出演。無収入の時代を乗り越え活躍を広げる

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(c)草刈雅之/HUSTLE PRESS

競馬番組『馬好王国~UmazuKingdom~』(フジテレビ系)でMCを務め、グラビアでも人気を呼ぶ神部美咲が、5日に放送されるドラマ『ドンナビアンカ~刑事 魚住久江~』(テレビ東京系)に出演する。デビュー後にオーディションに落ち続け、光熱費を払えない時期もあったというが、今月からは新たにメインMCを担当する『青春(アオハル)しか勝たん』(BSテレ東)もスタートするなど、活躍を広げそうだ。

ガスが止まって真冬に水風呂を浴びたことも

 “神部”と書いて“じんぶ”と読む神部美咲。土曜深夜の競馬番組『馬好王国』で、小嶋陽菜に白石麻衣、松村沙友里(乃木坂46)が担当してきたレギュラーMCを今年4月に継ぎ、メインMCのDAIGOらから「じんぶちゃん」と呼ばれている。

 大阪出身の26歳。小学生の頃は極真空手、中学では柔道と格闘技に打ち込んだ。高校卒業後にアパレル店でOLをしていたが、プレスとしてモデルをアテンドするうちに「自分はアテンドされる側になる」と思い立ち、20歳で退社。事務所の面接を受け、所属が決まった。

 フジテレビのボクシング番組でラウンドガールを務め、村田諒太の世界戦でリングに立つと「かわいすぎる」とネットをざわつかせ、関根勤が主宰する舞台『カンコンキンシアター』にも出演。『ゴッドタン』では美形ながら下ネタに大笑いする掛け合いが話題になった。

 反面、『馬好王国』でセレクトセール(サラブレッドのせり市場)を取り上げたとき、「今まで私をオーディションで落としてきたヤツを見返します」と発言していたように、出演者オーディションにことごとく落ちて、仕事がまったくない時期もあったという。

「『これが獲れたら大きい』というCMやスポーツ番組のキャスターに最後の2人にまで残って、結局『ダメでした』とか。泣きながら帰って、焼肉やパスタをやけ食いして太っちゃったり、『どうせまた落ちる』とひねくれたりもしました」

 取材で当時を振り返り、こう語っていた。仕事がなければ、収入も入らない。

「電車賃も払えないから真夏に3駅分を歩いたり、ガスが止まって真冬に水風呂を浴びて仕事に行ったこともあります。バイト先でおにぎりを作ってもらったり、余ったロケ弁を持ち帰ったりもしていました」

(c)草刈雅之/HUSTLE PRESS
(c)草刈雅之/HUSTLE PRESS

競馬番組で初心者ながら万馬券を当てトークで爆笑も呼ぶ

 2020年に入り、「この1年で結果を出せなければ芸能界を辞めよう」と考えていた矢先、1月に『馬好王国』の「ビギナーと行く中山競馬場ツアー」の企画でゲスト出演。明るさの絶えないリアクションとバラエティ勘の良さが買われ、4月からレギュラーMCに抜擢された。

 競馬は初心者だったが、初回のG1「大阪杯」の予想でいきなり1位(単勝)を的中。さらに、5月には「NHKマイルカップ」で5頭ボックスで4着まで入るという万馬券を当てた。

「ビンゴ大会も商店街のガラガラも、当たったことは1回もありません。競馬は意外と向いているんじゃないかと、最近勝手に思っています(笑)」

 サバサバしてノリの良いトークも好評だ。クイズ企画「教えて!馬神様」では、「ディープインパクトが制した05年の菊花賞のゴールの瞬間に生まれた名実況は?」との問題に、3択から「私も競馬歴半年になりまして、これは有名なシーンで知っているんです」と自信満々で「空飛ぶ走りを見てくれ」を選んだが、正解は「世界のホースマンよ見てくれ」。DAIGOに「じんぶちゃん、マジダサいよ」と言われ、自身も大口を開けて笑いながらスタジオの爆笑を誘ったりも。

 仕事運も回ってきたようで、テレビ出演が増えたほか、『FLASH』や『週刊プレイボーイ』などでのセクシーな水着グラビアも評判に。10月1日からスタートした高校生向けバラエティ『青春しか勝たん』では土佐兄弟と共にメインMC。毎回、ティーンに人気のインフルエンサーをゲストに迎え、お姉さんの立場で青春トークを繰り広げる。

ドラマでNo.1キャバ嬢を演じ「久々に張り詰めました」

 そして女優として、10月5日放送のドラマ『誉田哲也サスペンス ドンナビアンカ~刑事 魚住久江~』に出演する。『ストロベリーナイト』などで知られる誉田哲也の小説が原作で、演じるのは事件のカギとなる中国人女性が働くキャバクラのNo.1キャバ嬢、エレナ。ドラマは『過保護のカホコ』などで経験しているが久しぶりで、キャバ嬢の出てくるドラマをネットでいろいろ観て臨んだという。

「アイラインを強めにしたり、メイクを自分に見えないくらい濃くして、髪もグリッグリに巻いてもらいました。撮影のことは何も覚えていません(笑)。カメラを向けられて台詞を言う緊張感がすごくて、周りを見る余裕が1ミリもなくて。現場の雰囲気もバラエティとは全然違いました。久々に張り詰めた仕事になりました」

 日ごろからバラエティを観ながら「この間に入っていけるのはすごい」などとメモを取り、売れている女性タレントのことを「この人の良さはどこだろう?」と勉強しているそう。そのうえで「一番大事なのは自分が楽しんでやることだと、最近は思っています。無理して発言しているように見えたら良くないので」と言う。今後は「のほほんと街ブラロケをやりたい」とも。

 「インドア派ですけど(笑)、私は競馬のように、お仕事がきっかけで趣味になることが多いので、番組でいろいろなところに行ってみたいです」

 テレビで美貌とトークを見る機会はますます増えそうだが、バラエティタレントとして、どこまでの存在に駆け上がるか注目したい。

(c)草刈雅之/HUSTLE PRESS
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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