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10月4日に開幕する関東大学ラグビー対抗戦、各監督が注目選手を語る

斉藤健仁スポーツライター
早大・相良監督も注目選手に挙げる明大SO山沢(撮影:斉藤健仁)

関東大学ラグビー対抗戦、リーグ戦の各チームから今年度のスローガン、監督がオススメする注目選手、新人選手が発表された。今回は明治大、早稲田大、帝京大などが属する対抗戦Aグループ8校の選手を紹介する。なお昨年度、対抗戦Aグループから大学選手権決勝に2校出場したため、今年度の大学選手権には対抗戦Aグループから5チームが出場できる。

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◇明治大(昨年度優勝/大学選手権準優勝)

昨年度、全勝で対抗戦を制した明治大。今年度ももちろん優勝候補の一角だ。2年時に大学選手権の優勝している経験豊富なリーダー、さらに田中監督自ら声をかけた新人たちもポテンシャルのある選手ばかり。SO山沢がケガのため対抗戦後半からの復帰が予想されている。前半戦はSOのポジションに2年の齊藤誉哉や新人の池戸が入るか。また新人LO山本らの成長により、箸本主将はLOではなく本来のNo8でプレー、監督期待のルーキーSH萩原もメンバー争いに絡んできそうだ。

監督:田中澄憲

主将:LO/No8箸本龍雅(4年、東福岡)&副将:LO片倉康瑛(4年、明大中野)、SO/FB山沢京平(4年、深谷) 

スローガン:「One by One」

「一人一人がチームのために考え意見し合える環境を作り、チームの壁を一つ一つ乗り越え、隙のないチームを作ることを目標にこのスローガンを掲げました」(監督)

監督が注目する選手     

LO/No8箸本龍雅「力強い突破とキャプテンシー」

LO片倉康瑛「ラインアウトを中心にFWを引っ張る」

SO山沢京平「正確なパスとキックを駆使したゲームメイク」    

監督が期待する新人        

PR為房慶次朗(常翔学園)、PR中山律希(天理)、LO山本嶺二郎(京都成章)、SH萩原周(大阪桐蔭)、SO池戸将太郎(東海大相模)、CTB廣瀬雄也(東福岡)

◇早稲田大(昨年度2位/大学選手権優勝)

昨年度の対抗戦こそ明治大に敗れて準優勝だったが、大学選手権では11シーズンぶりに明治大を下して優勝した早稲田大。仕事人が揃うFW、タレントが揃うBKは健在だ。監督も言うとおり、4年間チームを引っ張ったSH齋藤、SO岸岡のハーフ団の穴を埋めることができるかが対抗戦優勝、大学選手権連覇の鍵を握りそう。SHは河村とSH小西が争い、SOは吉村が軸か。昨年度の「花園」こと全国高校ラグビーで桐蔭学園を初の単独優勝に導いた伊藤は、まずはインサイドCTBで出場して経験を積みそうだ。

監督:相良南海夫

主将:No8丸尾崇真(4年、早稲田実業)、副将:LO下川甲嗣(4年、修猷館)&FB南徹哉(4年、修猷館) 

 

スローガン:「BATTLE」  

「BATTLEには、『常に仲間と戦い続ける』、『自分自身と戦う』、『早稲田ラグビーが1つとなり戦う』という意味を込めた」(監督)

監督が注目する選手

SH河村謙尚(3年)、小西泰聖(2年)&SO吉村紘(2年)、伊藤大祐(1年)       

「昨年度までの4年間、不動のHB団であった齋藤直人(サントリー)、岸岡智樹(クボタ)の穴を誰が埋めるかに注目」

監督が期待する新人          

SO/CTB伊藤大祐(桐蔭学園)、HO川崎太雅(東福岡)、LO/FL村田陣悟(京都成章)  

◇帝京大(昨年度3位タイ※大学選手権出場は3位扱い)

2017年度まで大学選手権9連覇を達成した帝京大。今年度の4年生たちは1年生時に大学選手権を優勝したメンバーたちだ。特に4年生BKはSO北村、そして伏見工業出身のFB奥村、WTB木村朋也、CTB/WTB尾崎泰雅といった能力の高い選手が揃う。そのBK陣を生かすためにもFW陣の奮闘が欠かせない。留学生や高校2年時から高校日本代表で活躍したHO江良、FL奥井の2人といったFW陣がチームに勢いを与えることができるか。

監督:岩出雅之

主将:FL松本健留(4年、大阪桐蔭)、副将:SO北村将大(4年、御所実業)&FB奥村翔(4年、伏見工業)

チームスローガン:「Enjoy&Teamwork」

「昨年度の結果や苦い経験を生かして、部員一同、一丸となって対抗戦の一戦一戦に全力で臨み、対抗戦優勝、大学選手権大会優勝を目指す」 (監督) 

監督が期待する新人

FL奥井章仁(大阪桐蔭)、HO江良颯(大阪桐蔭)

◇筑波大(昨年度3位タイ/大学選手権出場は4位扱い)

昨年度は3位タイとなり、大学選手権に出場したAグループ唯一の国立大の筑波大。嶋崎体制となって2年目、チーム一丸、ひたむきに戦う姿勢は変わらない。岡崎主将、FB松永、WTB/FB仁熊秀斗(いずれも4年)を中心にスピード、決定力のあるBK陣が強み。FW陣がどこまでライバルに対抗できるかがが上位進出のキーとなろう。

監督:嶋崎達也

主将:CTB岡崎航大(4年、長崎北陽台)、副将:SO山田雅也(4年、桐蔭学園)&LO中原健太(4年、法政第二)    

チームスローガン:「HARD」

「大学日本一を目標に掲げています。その目標を達成するためにどこよりも『厳しく』どこよりも『激しく』どこよりも『結束を固く』取り組まなければならないという思いから今回のスローガンを掲げた。練習の中でも『HARD』という言葉が飛び交っています。どこの大学よりも『HARD』な筑波大学を見ていただきたい」(主将)

監督が注目する選手         

CTB岡崎航大(4年)「秋に教育実習が入る中で、チームを率い、自身のパフォーマンスを出し続けることに期待」

FB松永貫汰(3年)「マークされる中でも自身のプレーを発揮させることに期待」

FL/NO8 中田都来(4年)、飛高昂空(4年)、山本悠翔(4年)、岩田真樹(3年)「BKから転向組のバックロー達の活躍が勝負を左右すると注目」           

監督が期待する新人

PR田中希門(中部大春日丘)、LO/FL梁川賢吉(尾道)、CTB谷山隼太(福岡)

◇日本体育大学(昨年度5位タイ)

昨年は攻撃的なラグビーで11年ぶりに慶應義塾大を下した日体大。今シーズンは再び5位以上に入り、大学選手権を目指す。2015年から指導する元日本代表の田沼監督の下、展開ラグビーは健在だ。SO玉置主将、SH本堂、No8もBKもこなすユーティリティー選手のハラトア・ヴァイレア(3年)らがチームを引っ張る。

監督:田沼広之 

主将:SO玉置将也(4年、熊野)、副将:LO高木陽太(4年、府中西)

                

チームスローガン:「奪取~bash~」

大学選手権出場を目標にチーム一丸となって頑張っています。昨年度は対抗戦5位でしたが、今シーズンはさらに上位を目指して目標を達成していきたいと思います。私たちは他大学より体が小さいので、一人一人の速い動きだし、低いプレーで挑み続けます」(監督)

監督が注目する選手

SO玉置将也(4年)「昨年度は、ケガのため出場機会に恵まれなかったが、地道に努力し続けグラウンドに戻って来た。芯の強いリーダシップと直向きに取り組む姿勢で、誰もが認めるキャプテンとしてチームをまとめる」

SH本堂杏虎(4年)「強い気持ちと強靭なフィジカルで体張り、攻守でチームを牽引するファイター。厳しい場面での強気のゲームコントロールにも期待」

期待が期待する新人

FL長船鉄心(御所実業)「コミュニケーション能力が高く、チームのムードメーカー的存在に。運動量も豊富で、攻守の場面でチームに流れを呼び込むプレーに期待」

No8中原拓海(長崎北陽台)「恵まれた体格を活かし、コンタクトの場面で相手を制する。バックファイブのユーティリテープレイヤーとして活躍が期待される」

           

◇慶應義塾大(昨年度5位タイ)

元日本代表の栗原体制となって1年目の昨年度は、日体大に敗れたことが響いて大学選手権出場を逃した慶應義塾大。相部主将やPR大山祥平、WTB/FB宮本恭右、SH若林俊介(いずれも4年)、FL山本凱(3年)らといった慶應義塾高などの付属出身だけでなく、PR原田衛(3年、桐蔭学園)、SO中楠一期(2年、國學院久我山)ら能力の高い選手が揃う。昨年度加入した留学生2人も2年目となりチームにフィットしている。今年度は対抗戦で上位に進出し、大学選手権出場を目指す。

監督:栗原徹

主将:相部開哉(4年、慶應義塾)、副将:LO三木亮弥(4年、京都成章)

チームスローガン:なし

「昨年度は大変悔しい結果となりましたが、その悔しさを胸に今年のチームは昨年の12月には活動を開始し、タフな練習を積み重ねてきました。そんな中様々な困難がありましたが、これらを乗り越えてきたことでチームとして一回り成長できたと感じています。目標の日本一に向け、目の前の一つ一つの試合を勝って、勝ちを積み重ねていきたい」(監督)               

監督が注目する選手         

PR松岡勇樹(2年)、竹内寛(4年)、朝田将多(2年)「昨年不動のレギュラーであった有賀光生の穴を誰が埋めるか、一年かけて勝負をしているので」        

監督が期待する新人        

PR岡広将(桐蔭学園)、FL福本航平(常翔学園)、FB山田響(報徳学園) 

◇青山学院大学(昨年度7位) 

対抗戦Aグループで戦い続けることはできているものの、なかなか上位進出することができていない青山学院大。それでも毎年、有望な新人が入り、地力はつけている。大友監督が「テーマは“継続・展開・獲り切る”です。観ていてワクワクするようなスピーディーな展開ラグビーを期待してください」と語気を強める。CTB西野主将が「(ライバルは)日本体育大・筑波大・慶應義塾大の3チーム」と言うとおり、3校に勝利して5位以内での大学選手権出場を目指す。

      

大友孝芳監督 

主将:CTB西野稜祐(4年、東京)、副将:CTB河部周次(4年、中部大春日丘)&堀田琳(4年、京都成章)

          

チームスローガン:「LINK」      

「部員同士の繋がりを大切にし、大学選手権出場という共通の目標達成のために、全員が行動を起こしています。対抗戦から逆算して、早く充実した準備をすることを徹底してきました。悲願の大学選手権出場のため、本年度も精進致しますので、ご声援の程宜しくお願い致します」(主将)

監督が注目する選手          

CTB西野稜祐河部周次(ともに4年)「CTB2人が連携し相手ディフェンスを切り裂くスピーディーなアタックに注目してください。阿吽の呼吸がなしえる2人ならではのアタックは必ずワクワクさせてくれるはず」

FL中谷玲於(3年)「一撃必殺のタックルは迫力満点」

           

期待が期待する新人

HO門恒介(京都成章)「スピーディーな突進とハードなタックルが強み。流れを変えることができるプレーヤー」

PR寺本哲盛(桐蔭学園)「とにかくまじめに愚直にプレー。鍛えた身体をフルに使いスクラムの低さにこだわる」           

◇立教大(昨年度、入替戦で勝利しAグループ昇格)

昨年度対抗戦Bグループを全勝で制し、入替戦で成蹊大に勝利し昇格した立教大。Aグループは2015年以来の挑戦だ。チームの強みは「全員が頭を使ってボールを運ぶこと」と西田ヘッドコーチ(HC)が話すように、展開ラグビーを標榜する。SH北山主将、BKリーダーのSO岡本がチームのタクトを握る。またボールを動かすためには、副将HO/FL相良、FWリーダーのHO石塚大翔(4年、茗渓学園)、LO秋元律樹(4年、立教新座)らが引っ張るセットプレーの安定は欠かせない。Aグループは強敵が多く苦戦が予想されるが、西田HCは「立教旋風を巻き起こせるように準備をしています」と自身をのぞかせれば、北山主将は「自分たちに失うものは何一つないです。積み上げてきたこと全て出し切りたい」と意気込んでいる。

ヘッドコーチ(HC):西田創    

主将:SH北山翔大(4年、東海大仰星)、副将:HO相良隆太(4年、桐蔭学園)

スローガン:「BREAK」

「5年ぶりに対抗戦Aに参戦するチームにおいて、チームのスタンダードそのものを壊して成長しなければならないという思いを込めて、BREAKというスローガンに決めました。立教ラグビーが対抗戦Aの上位校の仲間入りをできるように、これまでの常識を壊して新しい強い歴史を創っていく意思が込められています」(HC)

HCが注目する選手

SO岡本力哉(4年、中部大春日丘)「昨年までBチームに甘んじており、公式戦出場はなかった選手です。ただ、そんな時でも努力を続けてきた選手であり、去年はBチームの実質的ゲームリーダーを務めていました。今年は司令塔としてチームの戦術全般を司っています。ゲームプランを着実に遂行できるSOとして、コーチ陣からは全幅の信頼を置いています」

HCが期待する新人

SH北川時来(國學院久我山)「素早い球さばきと、フィジカルを活かしたタックルが武器」

FB/WTB天羽秀太(桐蔭学園)「非凡なランニングセンスを有する」

HO二木翔太郎(立教新座)「付属高校から来た逸材。抜群のフィールドプレーを見せる」

※※※なお関東大学ラグビー対抗戦A、リーグ戦1部は今年もJ SPORTSで全試合、放送・配信される

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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