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イングランド代表HCに就任したジョーンズ氏が語る2019年への展望「もっとボールを動かすことが必要」

斉藤健仁スポーツライター
イングランド代表の新HCに就任したジョーンズ氏(写真:ロイター/アフロ)

11月20日、先のワールドカップまで、ラグビー日本代表を率いていたエディー・ジョーンズ氏が、トゥイッケナム・スタジアムで会見を開き、イングランド代表のヘッドコーチに就任することを発表した。イングランド協会の公式HPに公開した動画で、ジョーンズ新HCは「ファーストインタビュー」で下記のように答えた。

※就任の経緯はこちら↓

元ラグビー日本代表HCジョーンズ氏が、イングランド代表の指揮官に就任決定! 任期は2019年まで

――イングランド代表のヘッドコーチになろうと決めた大きな理由は?

(イングランド協会の)イアン・リッチー会長から話を聞いたときに大変ワクワクしました。イングランド代表はとてもポテンシャルがあるチームです。イングランド協会は世界でも最も大きいユニオン(協会)の一つで、強い国内リーグを持っています。2015年のワールドカップ(W杯)は若くて素晴らしい選手がたくさんプレーしていたので、彼らの70%は2019年のW杯に出場するでしょう。こうしたチームを指導するのは大変良い機会だと思いました。

――成功の秘訣は?

私の仕事はタレントの潜在能力を引き出すことです。過去の多くの国際経験から勝つことも負けることも知っているので、それをイングランド代表選手に伝えていくこともあうでしょう。

――イングランド代表のラグビーについてどうお考えですか。

イングランド代表のラグビーとういのは実践的なスタイルで、強みの一つはセットピースです。ブルドックのような精神を持ってディフェンスをする。しかしそれだけではテストマッチには勝てません。もっとボールを動かすことが必要です。一部、ニュージーランドのスタイルを導入していましたが、さらに、選手の能力に応じてもっと適したやり方を加えていきたい。

――コーチという仕事についてどうお考えですか。

もう55歳ですが 今でもコーチの仕事は大好きです。いつもフィールドにいて、選手に指導したいと思っています。

――セントラル・コントラクト(協会が選手と直接契約すること)についてはどう思いますか?

その件については、数日前に、リッチー会長と話しました。イングランド協会はプレミアシップのクラブとお互いを理解し、良好な関係を築くことが大事です。イングランド代表が素晴らしいプレーをすれば、協会もクラブも機能します。相乗効果で良くなると考えています。

――選手選考について、どうお考えですか。

この1年のイングランド代表とプレミアシップのゲームはすべて見ています。非常に素晴らしい若い選手がたくさんいます。この1ヶ月間、選手選考については、しっかり考えたいと思います。

――キャプテンについてはいかがですか?

みなさんは、キャプテンは、リーダーシップがあり、試合でも選手を引っ張る、強い個を持った選手を望んでいると思います。

――今、どなたか頭の中にキャプテン候補はいますか?

いいえ、誰も浮かんでいません。まずは前キャプテンのクリス・ロブショウが適しているか確認したいと思います。

――海外でプレーしているイングランドの選手についてはどうお考えですか?(※トゥーロンにFL/NO8ステフォン・アーミテージが、クレルモンにFBニック・アベンダノンが在籍。2014年にアーミテージが、2015年にアベンダノンが欧州最優秀選手賞を受賞)

私はイングランド代表でプレーをしたければ、プレミアシップでプレーをすべきだと思います。それはルールです。私はそのルールに満足しています。そういう選手を必要としています。

――あなたのコーチングスタイルを見ると 非常に激しいイメージがありますが、いかがでしょうか?

まずは、どうやってイングランドラグビーに貢献できるかというアイデアを提案するのが最初の仕事だと思っています。それから選手たちを実際にコーチングしていくつもりです。

――どのようにイングランド代表チームを強くしていくおつもりですか。

ご存じの通り、私はコーチという仕事が大好きです。2019年までの契約ということですから、ここで、成果を出すことが私の仕事だと思っています。

――2019年W杯の展望についてお聞かせ下さい。

みなさん、そのことばかりを気にされますが、まず勝たないといけないのは(2月のシックスネーションズの初戦の)スコットランド代表戦です。スコットランド代表に勝ったら 2戦目、3戦目と勝っていって、勝ちを積み重ねていくことで、2019年も勝つことができると考えています。また勝ちを重ねることで自信を得ることができると思います。

――今すぐに、勝つパフォーマンス、勝つストラクチャー、勝つゲームプランというのはありますか?

パフォーマンスが良ければ勝つでしょう。一貫したパフォーマンスを続ければ、勝ち続けるのではないでしょうか。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

私は3回のW杯を経験しています。中でも2015年W杯は信じられないくらい素晴らしい経験となりました。もちろん、率いていた日本代表が素晴らしい成果を出したということもありますが、イングランドW杯の組織委員会が素晴らしくオーガナイズされていて、ファンもとても素晴らしかった。日本代表に対してもイングランドのファンが、自分たちのチームが負けているにも関わらず、素晴らしい声援を送ってくれました。そういったファンの方々が次の4年間で、もっとエキサイティングになれるようなチームを作っていきたいと思います。

さらに、公式記者会見ではジョーンズ氏はこのようにも語った。

「今までコーチしてきたチームは伝統的にアタックの良いチームでした。イングランド代表の強みはセットピースとディフェンスなので、そこに何かを付け加えることができるでしょう。選手が何ができるか見極めて、何を付け加えることができるか、実践的に考えたいと思っています。

自分たち独自のプレースタイルを作らないといけない。オールブラックスのコピーではない。自分たち自身のスタイルを作って、選手たちは100%そのスタイルを信じないといけない。それが上手くいったら、オールブラックスがイングランドのプレースタイルに注目することになるでしょう。素晴らしいことではありませんか?」

ジョーンズHCに率いるングランド代表の初戦は、2016年2月6日の「シックスネーションズ」のスコットランド代表戦である。やはり、「イングリッシュウェイ」を追求することになるのだろうか--。まずは、お手並み拝見である。

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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