おうちでプール 親子で手つなぎラッコを楽しもう 大きなプールで水遊びの巻

自立式ビニールプールの設置例(筆者撮影)

 まだ夏休みには時間があるのに、連日のように繰り返される子供の水の事故。いつもの今頃の時期なら、学校のプール授業も始まってます。授業で体を冷やせば、とりあえず「水辺に行かなくてもいいかな」と思ってくれるのですが、プールの中止が広がる今年は、そういうわけにはいかないようです。そこで今年の夏、水の事故から子供の安全を守る工夫が、おうちでプールです。

 前回、「おうちでプール 外に泳ぎに行けない家族の新しい生活様式 小さなプールで水遊びの巻」をお送りしました。たくさんの反響を呼びました。中には「もう少し大きなプールで水遊びさせたい」という声があったものですから、今回は「大きなプールで水遊びの巻」をお送りします。

大きさはどれくらいが適当?

 直径あるいは長辺が2 mから3 mくらい、深さは70 cmくらいが適当です。家族で水遊びをしたり、子供同士で水遊びをしたりするのにちょうどいい大きさです。価格は1万円以下で購入できます。中にためる水の量は4,000 リットル(4立方m)程度です。水道料金で500円前後でしょうか。

 カバー写真の円形ビニールプールは少し大きめで直径4 mくらい、深さ80 cmくらいです。大きいといろいろな遊びができるとも思うのですが、大きすぎると設置や安全対策でそれなりにたいへんな思いをします。数軒のおうちで共同して管理するならいいのですが、1家族のおうちだけのプールなら、大きくても3 mくらいの大きさに抑えたほうが無難です。

水遊びのお作法

 大きいプールで水遊びする時には、お作法がとても重要です。わが国では、大きめのビニールプールで水遊びをする習慣があまりなかったので、明確なお作法は特にありません。実際にいくつかの保育園などで、ビニールプールの利用中に死亡事故が起こっていますから、キチンとしたお作法が示された方がいいと思い、ここに列挙しました。

お作法その一 ライフジャケットを身に着けて親が寄り添う

 図1をご覧ください。親子でライフジャケットを身に着けて、背浮きをしています。手をつないだりもできます。あらかじめ、ラッコが手をつないで浮いている様子の動画を親子で観てから、プールの中でやってみるとお子さんは大喜び。

図1 親子で手をつないでラッコ浮きの様子。二人でライフジャケットを着用して、安全管理のためにもう一人大人がついているとなおよい(筆者撮影)
図1 親子で手をつないでラッコ浮きの様子。二人でライフジャケットを着用して、安全管理のためにもう一人大人がついているとなおよい(筆者撮影)

 プールに入って最初から最後まで、このように浮いているのがビギナーのお作法と考えてみたらいかがでしょう。その理由は、親が子供に寄り添っていること、背浮きの練習ができること、大きな声を出さずにご近所の迷惑にならないこと。

 大きなビニールプールでの溺水事故。水難総合研究所の木村隆彦代表によれば「直接の原因がそれぞれあるのだが、事故の瞬間を大人が見ておらず、発見時には手遅れになっていることが多い」とのこと。「大人が見ている」ではだめで、「一緒に、寄り添う」ことが大事です。

 背浮きの練習は、保育園・幼稚園で実践しているところがあります。実践経験の豊富な木村代表(図2)は「顔を水に浸けるより、背浮きの方が抵抗を感じないお子さんが多い」と話します。「ましてや、ライフジャケット着用で浮いているとリラックス効果抜群」と加えました。水に浮くって、ママのおなかの中のイメージかもしれません。

図2 保育園のプールで子供たちにういてまての指導をしている木村隆彦氏(左側 木村氏提供)
図2 保育園のプールで子供たちにういてまての指導をしている木村隆彦氏(左側 木村氏提供)

 その一方で、ここのところの休校や分散登校で、「自由な時間が増えた子供たちが家にいる時の声がうるさくて」と思われているご近所もおられるようです。日常とは違う音が出るという点では、おうちでプールもそうかもしれません。背浮きをしている最中、声は出さないので、むしろシーンとしています。

お作法その二 プールに寄りかからない

 特に自立式のビニールプール。プールの縁をまたいだり、寄りかかったりすると自立が崩壊して、水が勢いをつけて、いっきにプールの外に流れ出します。一度こうなると止まりません。小さいお子さんだと流れに巻き込まれ、場合によってはプールの外に流される危険もあります。さらに大人がプールの外からプール内に身を乗り出すと、プールの中に落ちることがあります。いずれも筆者の実験中に発生したアクシデントで、後者についてはその様子を図3(a)に示します。また、直接またがないようにするために、入水・退水する時には図3(b)のように脚立を使います。

 図3 (a) プールの上のフィルムを取ろうとして落水した例、(b)脚立を使ってプールに入水する例(筆者撮影)
図3 (a) プールの上のフィルムを取ろうとして落水した例、(b)脚立を使ってプールに入水する例(筆者撮影)

お作法その三 安全柵を設置する

 一度水をためると、その水を何回か使いたくなります。それは、4,000リットルの水をためるのにかなり時間がかかること、入れたては冷たくて温まるまで少し時間が必要なことの二つの理由からです。

 何日間か水をしばらくためておくのであれば、安全柵を設置しなければなりません。図4にその一例を示します。素人施工なので、細かい不行き届きはご容赦ください。柵は、中の様子がわかるようになっていること、少なくとも子供の背丈では中に入ることができない高さであることの二つの条件を備えている必要があります。

 図4では、アルミフレームを組み合わせて枠を作り、ストレッチフィルムと呼ばれるポリエチレンフィルムで周囲を巻いています。アルミフレームは比較的安価で、六角レンチがあれば簡単に組み立てられます。ストレッチフィルムは一巻1,000円もしないで購入できますし、長さは数百mありますから一巻で十分です。材質はポリエチレンですから、ごみとして燃やしても有毒なガスが出ません。フレーム枠の高さは子供の背丈程度で1 mもあれば十分です。図4の高さはオーバースペックで、ここまで高くする必要はありません。柵を越えて中に入る時には、脚立を使用します。

図4 アルミフレームと樹脂フィルムを使った柵の例(筆者撮影)
図4 アルミフレームと樹脂フィルムを使った柵の例(筆者撮影)

お作法その四 塩素消毒と濃度管理

 水をためてすぐに水遊びをするのであれば、水道水なら清潔なので塩素剤を入れずに安心して遊べます。でも、ためたあと何日か使うのであれば、プール用塩素剤(カルキ)を水遊び前に入れます。図5(a)のような20 gタブレットであれば、2 mから3 mの大きさのプールで1個を入れます。

 遊離残留塩素濃度を測定するのであれば、図5(b)に示す試験紙をお薦めします。測定できる範囲は製品によって異なります。そのため、選ぶ時には濃度上限が3.0 mg/Lの低濃度タイプにします。これで測定して、濃度が0.4 ~ 1.0 mg/Lの間に入れば合格です。

 水中の遊離残留塩素は太陽の紫外線で分解しやすく、1時間ほどで1.0 mg/Lが0.4 mg/Lほどになります。効果は1日持つわけではないので、2時間おきくらいに、途中で塩素剤タブレットを追加投入するなどしましょう。

図5 (a) プール用塩素剤の20 gタブレットの例、(b)遊離残留塩素濃度試験紙の例(筆者撮影)
図5 (a) プール用塩素剤の20 gタブレットの例、(b)遊離残留塩素濃度試験紙の例(筆者撮影)

お作法その五 後片付け

 プールの水を抜かなければなりません。プールの排水に残留塩素があると、植物や魚に影響を与え、場合によっては命を奪ってしまいます。庭に流すとか、自宅の池に流すとかする時、プールに塩素剤を投入したのであれば、半日は直射日光に照らし、プールの水の遊離残留塩素濃度が試験紙で検知できなくなるのを待ちます。

 基本は、水道ホースを逆流させて、排水を水道の排水口に導き徐々に流します。プール本体についている排水口から排水すると勢いがよすぎて、庭の土を掘り返したり、庭一面が湿地帯になったりします。掘られた土が泥水となり、それが道路や側溝に入り込むと、ご近所の迷惑になります。排水には特段の注意をもって臨みたいものです。筆者がプールの自立を崩壊させた時に、大量の泥が道路側溝に流れこんでしまって、そのあとの掃除が大変でした。

まとめ

 ビニールプールを使った、おうちでプール。手軽そうにみえるのですが、大きいプールは慣れないと危険やご近所トラブルを招きます。まずは、「みんながビギナー」のつもりで、お作法に従って試してみてください。ここまでの苦労はしたくない方は、前回のニュース「小さなプールで水遊びの巻」をご参照の上、水遊びを手軽にお楽しみください。