台風の大雨災害 低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、うねりから避難するには?

浸水は低い土地から始まる(筆者撮影)

 台風10号の大雨で、各地で避難する必要のある方が不安な時間を過ごしていると思います。気象庁は低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、暴風、うねりを伴った高波に警戒するよう呼び掛けています。状況に応じての避難には考慮しなければいけないポイントがあります。特に避難中に溺れないように気を付けるために、どうしたらよいでしょうか。状況に応じて、それぞれの避難のケースで解説します。

低い土地の浸水

 低い土地の浸水では、周囲よりわずかに低いところにまず水が集まってきます。そして側溝があふれ、マンホールからもあふれてきます。その時点でその一帯は短時間で浸水する可能性が高いので、側溝やマンホールのあふれを発見したら、できるだけ高いところを目指して避難します。すでに一帯が水に浸かっていたら、建物の2階などに垂直避難します。なぜかというと、足元が水に覆われるとどこにトラップがあるかわからないからです。そのトラップにこれまで多くの人がはまって命を落としています。

 

川の増水や氾濫

 川の増水や氾濫が都市部で起こると、例えば地下街に水が流入することがあります。水が流れ落ちてきたのを発見したら、ただちに避難開始です。この場合、流れに逆らって、図1に示すように手すりを持ちながら地上に出ます。

図1 水が流入する階段を上る実験の様子。京都大学宇治川オープンラボラトリにて筆者が被験者となっている様子を自動撮影した
図1 水が流入する階段を上る実験の様子。京都大学宇治川オープンラボラトリにて筆者が被験者となっている様子を自動撮影した

 この状態では、流速が毎秒5 mくらいに達します。かなり激しい流れに見えますが、手すりにつかまりながら一歩一歩前に進めば階段を上がることが可能です。ただし、後ろの人が気になる場合とか、持ち物が流されてしまった場合とか、絶対に後ろを振り向いてはいけません。その瞬間に足が水に取られて、勢いよく階段を滑り落ちることになります。

 また、水が流入する地下街に階段で降りる行為も階段を滑り落ちる原因となります。図1くらいの勢いがあるところを降りようとすると、日ごろから鍛えている消防の救助隊員でもしりもちをついてそのまま階段を滑り落ちていきます。

うねりを伴った高波

 台風が接近、通過しているときには、海には絶対に近づきません。台風が近づいているときのうねりは砂浜の奥まで入り込んできます。平成30年8月23日に静岡市駿河区で発生した、3人が犠牲になった水難事故では、台風のうねりが砂浜を100 m近く駆け上がりました。事故発生直後の上空映像をみると、その様子がわかります。普段は図2のように穏やかな海で、左の波打ち際から右の国道まで相当距離があることがわかります。

図2 若い3人が流された現場の海岸 (筆者撮影)
図2 若い3人が流された現場の海岸 (筆者撮影)

 その波によって若い3人が100 m以上もいっきに沖に向かって流されて溺れたと推定しています。いくら砂浜の奥にいるからと言って、安全ということはありません。大潮の満潮、台風の吸い上げ効果、風による海水の吹き溜まりの条件がそろえば、むしろ海岸線から内陸に避難しなければならない状況となります。

避難するときの持ち物

 避難する際には、着替えやタオルなどをポリ袋に入れてリュックサックに入れます。これが優れた浮き具になります。そのリュックサックを背負って避難します。必ず両手が使えるようにしてください。

 大きいリュックサックごとトラップにはまったら、すぐに浮いてきます。できる範囲でのけぞって、背中をリュックサックの上にのせるようにして呼吸を確保します。

 リュックサックが小さくて胸にかけても足元が見えるようなら、前に抱えます。トラップに落ちてもすぐにラッコ浮きの姿勢になれるばかりでなく、呼吸も楽にできます。

 さらに、杖になるような棒をもって、道路が冠水したら、トラップがないか確認しながら歩くのに使います。

おわりに

 命を守るための早めの避難が呼びかけられています。台風の影響による洪水は規模が大きいので、ぎりぎりになると、突発的なことが起こりやすくなります。洪水から自分の身を守るためには、やはり早めの避難につきると思います。