欧州ライダーは何故上手いのか!? 海外試乗会で得たセーフティの教訓とは

海外試乗会にて、右端が筆者。 記事内画像出典:Webikeニュース 撮影:筆者

タフな峠道がテストコースに選ばれる

毎年この時期は各メーカーから発売を目前に控えたニューモデルのお披露目を兼ねたメディア向け国際試乗会が花盛りとなる。

先日もスペインで海外ブランドの試乗会があったが、場所もだいたいスペインやイタリア、モロッコなど、この時期でも温暖で天候が安定した地中海沿岸で開催されることが多い。サーキット走行もあるが、一般的な公道モデルの場合は山岳地帯のワインディングロードがメインステージに選ばれることが多い。どこまでも続く急峻な勾配を登ったり下ったり、長いストレートの後にいきなり急カーブが現れたり、岩肌が露出したガードレールも無いようなコーナーもあれば、ブラインドの先に砂利が溜っていることも日常茶飯事。千変万化する峠道はニューモデルの素性を試す絶好のテストコースというわけだ。

そんなタフな道を世界中から集まったジャーナリストやプロライダー達がけっこうな勢いで突っ走っていく。もちろん、日本ではあり得ないことだが、国によってそれぞれ事情があるようで「地元警察とは話がついている」(どんな話ですか!?(笑))みたいなことを耳にすることも。小心者の自分などは「あのぅ、ネズミ捕りとか大丈夫なんですか!?」と聞きたくなるが、まあ、伝統的に公道レースがモータースポーツ文化として根付いている国々では、そういうやんちゃなイベントなどに目くじらを立てる人も少ないようだ。

自分のコントロール下に置いている

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前置きが長くなったが、そんな環境でバイクに親しみ腕を磨いてきた欧州のライダー達は皆一様にライディングが上手い。傍目にはペースもめちゃくちゃ速いが、それでいて危なげないし、ライン取りも乱れない。向こうは右側通行なので右のタイトコーナーで見通しが利くときは反対車線からワイドラインでアプローチすることもあるが、それも計算ずくでやっていること。基本的には自分の車線からはみ出すことなく、車体の動きも盤石の安定ぶりを見せつけつつ、きれいなループを描いてコーナーへと吸い込まれていく。それは見事なもので、完全にバイクを自分のコントロール下に置いているからこそできる技だ。

▲世界一のワインディングロードと称される北イタリア・ステルヴィオ峠にて。
▲世界一のワインディングロードと称される北イタリア・ステルヴィオ峠にて。

海外試乗会ではだいたい同じようなレベルのライダーでグループになって走ることが多い。そもそも、ほとんどが欧州と北米からで最近は南米や中東辺りからもちらほら。開催地にもよるがアジア地域からコンスタントに参加しているのはほぼ日本ぐらいかも。中でも凄腕なのはやはり欧州勢で、とりわけイタリア、ドイツ、イギリス辺りから来ているライダーは速いし上手い。聞くとだいたい何かしら競技をやっていた人たちだ。というわけで、世界の一流ライダーたちと一緒に走れる貴重な機会なので、つぶさに観察するようにしている。

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言ってみれば超コンスタント

具体的に“どこが上手いのか”というと、

(1)ラインを外さない

前述したとおり、まるで一筆書きで描いたような角のない美しいラインをキープできる。だから彼らは複合コーナーに強い。

(2)ペースが乱れない

常に一定のリズムで加速・ブレーキング・コーナーインを繰り返すルーティーンが出来上がっている。だからハイペースでもミスがなく安定している。

(3)メリハリがある

その上で飛ばすところは飛ばす、抑えるところは抑えるフレキシブルな走りができる。特に感心するのはゾーン20のような生活道路では律儀なほどきっちり制限速度を守る姿勢。先に歩行者などが見えると、こっちが追突しそうなぐらいの勢いで減速するので車間は多めが鉄則。これは欧州どこでもほぼ共通だ。

万国共通のアドバイスとは……

どうしたら、そんなに余裕しゃくしゃくで高度なマシンコントロールができるのか、という技術的な話は別の機会にするとして、ともかくミスを犯さないということは、逆に言えば余裕があるということだ。そして余裕を作れるかどうかは自分次第である。

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こうした海外試乗会では大抵、先導役のインストラクターが付いてくれるのだが、彼らのアドバイスは言葉が違ってもだいたい共通していて、「一番大事なことは安全に戻ってくること。けっして無理なチャレンジはせず自分のペースで走ってください」みたいなことを言う。至極まともすぎて拍子抜けしてしまうが、バイクライディングで核心となる部分は万国共通、やはりそこなのかと腑に落ちてホッと安心するわけだ。いつも忘れないようにしたいと思う。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース