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英国から電動バイク「ARC VECTOR」が登場!0→60マイル3秒、航続距離400km超えの衝撃

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
ARC VECTOR

2020年から受注生産予定

英国の伝統的なモーサーサイクルの街、コヴェントリーに生まれた新進モーターサイクルメーカー、ARC社(アーク)は、この度サウスウェールズに新設された拠点で世界最先端の電動バイクの生産を開始することを発表した。

現在開発中のARC VECTORは高性能電動モーターサイクルで未来的なカフェレーサースタイルが特徴。2020年から9万ポンド(約1,240万円)~で受注生産を開始する予定となっている。

独創的なハブセンター・ステアリングを搭載

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車体はカーボンモノコック製で、220kgの車重とクラス最高のシャーシ剛性を実現するという。ARC VECTORに投入される革新的テクノロジーとしては、ハブセンター・ステアリングやカスタムカーボンスイングアーム、ヒューマン・マシン・インターフェース、ヘッドアップ・ディスプレイ、触覚アラート、高密度バッテリーなどが挙げられる。

VECTORの注目すべき独自性としてハブセンター・ステアリングがある。従来のようにステアリングピボットポイントがホイールのハブ上ではなく、ホイールハブの内側にある構造になっているとのこと。これにより、低速域での自然なハンドリングとノーズダイブを生かした俊敏で安定性のあるコーナリングを実現。通常のフロントフォークとハブセンターの双方の利点を融合している。

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もちろん、クラッチもギアもなく、トラクションコントロール、ABSブレーキ、可変ダイナミックモードと独創的なヘッドアップ・ディスプレイおよびハプティックアラートシステムを採用。駆動系にベルトドライブを採用し静粛性とメンテナンスフリーを実現している点にも注目したい。

また、テクニカルパートナーとしてブレーキシステムにBrembo、サスペンションにオーリンズ、カーボンホイールにBST、電子制御にコンチネンタル、タイヤはピレリ、バッテリーパッケージはデルタモータースポーツを採用するなど世界一流のサプライヤーと組むことで信頼性を向上させた。

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リッタースポーツ並みの動力性能と航続距離

さらにVECTORの中核を成すバッテリーパックには最先端を行くサムスン製21-700高密度バッテリーを搭載。399ボルトのパワフルな電気モーターが最高出力133bhp(約135ps)を発揮し、220kgの軽量な車体を加速させる。

同社のプレスリリースによると、これは現在ある電動バイクの中では最高クラスのパワーウエイトレシオとのこと(1トン当たり650bhp)。時速0~60マイル(97km/h)まで3秒で到着し、最高速度は時速125マイル(201km/h)に到達。航続距離は270マイル(約435km)とロングレンジだ。

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これまで電動バイクで一番のネックになっていたのは航続距離の短さであり、特に充電ステーションなどのインフラが未整備の現在においては普及の妨げになっていた。しかしながら、ここにきて一気に電動バイクの性能が従来のガソリンバイクに追いついてきた感がある。価格的にはまだまだ手が届くとは言い難いが、近い将来にはきっと両者が街を並走する時代がやってくるに違いない。

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※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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