Yahoo!ニュース

【HERITAGE CLASSIC 114】伝統的スタイルに現代の走り 日本でも使える旅バイクだ

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
Harley-Davidson HERITAGE CLASSIC 114

前後16インチのFLスタイルにワイヤースポークホイールと深いフェンダー、フットボードタイプのステップなど、1950年代のハーレーを彷彿させるノスタルジックな雰囲気が特徴の「ヘリテイジ・クラシック」。

こうした伝統を受け継ぎつつも、デザインは軽快感のあるモダンなスタイルへと生まれ変わった。前後16インチのスポークホイールや3連ヘッドライト、馬の鞍のようなサドルシートなど伝統的なスタイルは踏襲しつつも、新型ではヘッドライトもLEDタイプとなりサイドバッグもワンタッチで開閉できる防水仕様とするなど進化の跡が見られる。

◆Harley-Davidson HERITAGE CLASSIC 114 動画インプレッション◆

画像

▲新型ヘリテイジクラシック(左)と従来型(右)

分厚いトルクで押し出す気持ち良さ

試乗したのはミルウォーキーエイト114仕様。107仕様に比べるとやはり迫力が違う。排気音はジェントルだが迫力があり、より低速からトルクが弾けている感じだ。

従来型のTwin Cam 103は排気量1689ccから最大トルク125Nm/3000rpmを発生していたのに対し、このミルウォーキーエイト114は排気量1868ccから最大トルクも155Nm/3000rpmへと25%も大幅にアップ。分厚いトルクで巨体を押し出していくハーレーならではの気持ち良さはより深まった。

ライポジも脱着式のシールドがコンパクトになって目線にかからなくなり、ハンドルバーも極端に高くない自然な位置にセットされるなど改良され、車重も従来型の347kgに対し330kgと17kgも軽くなるなど取り回しもだいぶ楽になった。

画像
画像
画像

見た目によらず軽快なハンドリング

走り出すとまずその軽快さに驚く。とても車重が300kg以上もあるとは思えない。ハンドリングもニュートラルで穏やかだ。新型ソフテイルでも例えばファットボーイのように極太タイヤだったり、ブレイクアウトのように前輪が大きかったりすると良し悪しは別にしてクセが出るものだが、ヘリテイジの場合はそれがない。

雰囲気はクラシカルだがハンドリングはいたって現代的なのだ。ちなみに一昨年に開催された新ソフテイル海外試乗会でスペインの急峻なワインディングをヘリテイジで駆け抜けたが、そのときもハンドリングの良さはピカイチだった。見た目とのギャップに皆が驚いていたことを覚えている。

画像
画像

安心感が新ソフテイルの持ち味だ

理由としては、前後16インチの小径かつ細めのタイヤ(フロント130/リヤ150)を履いていることも挙げられる。キャスター角も立ち気味でディメンションが元々スポーティな設定なのだ。

リヤサスもロングストローク設定なので乗り心地もいいし、常にしっとりとした路面とのコンタクトが感じられるのだ。ブレーキも良く効いてABSもシュアだし、この辺りの安心感が新型ソフテイルの持ち味でもある。

地に足が着いたようなフットボードの安心感は従来どおりだが、一方でシフトペダルがシーソー式ではなく通常のリターン式に変更されたことからも、新型はよりスポーツ寄りに軸足を移していることがうかがえる。

大型スクリーンやどっかり座れるシート、余裕サイズのサイドバッグやクルーズコントロールも標準装備されるなど、ヘリテイジ・クラシックはその名のとおり古き良き時代のハーレーの雰囲気を持ったツーリングモデルだ。それでいて、より大型のツーリングファミリーにはないスポーティな軽快さも併せ持っているのが魅力。日本の道にもフィットする使い勝手のいいモデルと言えそうだ。

画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

佐川健太郎の最近の記事