ヤマハ「新型テネレ700」がテスト走行を開始 いよいよ公道デビューか!?
MT-07ベースの本格派アドベンチャー
2016ミラノショーで登場し世界の注目を集めたヤマハのミドルアドベンチャーモデル「T7コンセプト」がいよいよプロトタイプとしてテスト走行を開始した。
専用サイトなどを見ると、2017ミラノショーでベールを脱いだ「Tenere 700 World Raid」(以下、新型テネレ700)と名付けられたプロトマシンは、MT-07ベースの水冷並列2気筒DOHC689ccエンジンを改良されたスチール製フレームに搭載し、ロングストロークの倒立フォークとリンク式モノショックが与えられた実戦的なモデルだ。燃料タンクは長距離走行に十分な容量が与えられ、人間工学に基づくデザインと軽量な車体、扱いやすくトラクタブルなパワーにより冒険を現実のものにできる性能が盛り込まれている。
世界のラリーコースでテスト走行
新型テネレ700のテイクオフに向けた「FIND THE NEXT HORIZON」と名付けられたプロジェクトでは、オーストラリアを起点にアフリカ、南米、ヨーロッパなどを代表する過酷なラリーコースを走破しながら、新型テネレ700の性能をアピールしていく。
テストライダーも、ダカールラリー13度の王座に輝くステファン・ペテランセル(仏)を筆頭にヤマハで活躍したレジェンドが名を連ねるなど、かなり気合の入った内容になっている。すでに公開されている豪州のステージでは、オーストラリアン・サファリの名手のRodney Faggoterによる、華麗なライドや地元ファンとの交流の様子も動画でリリースされているので必見だ。
Yamaha Tenere 700 World Raid | Australia Stage
CP2の素性の良さを生かしたエンジン
さて、新型テネレ700について今持ち得る情報から分析してみよう。写真などからは、エンジンはヘッドまわりからカバー類、ラジエターホースの取り回しに至るまでMT-07そのものの感じ。オフロード走行に合わせて、より低中速寄りの出力特性やギヤリングに見直されてはいるだろうが、基本的には元々の270度クランクCP2(クロスプレーン2気筒)が持っているムダのない慣性トルクによるドライバビリティの良さ、雑味のない軽やかなパルス感を存分に生かした仕様になるはずだ。
ちなみに雑誌の企画で最新モデルを一気乗りする機会があったが、その中で最も容易にフロントアップが可能だったのがMT-07だった。CP2の優れたエンジン特性を物語るエピソードと言っていいだろう。
車体と足まわりは本気のオフ仕様
フレームはMT-07のダイヤモンドタイプからスチール製ダブルクレードルタイプに強化されているようで、アルミ製スイングアームもリブの入ったストレートタイプに延長。前後ホイールも当然ながらクロススポークタイプで、おそらくフロントは21インチ。アルミ製アンダーガードを装備するなど本気のオフロード仕様に仕上げられている。
なお、ブレーキはMT-07同様のトリプルディスクであることから、オンロードでの制動力も十分に考慮されていると思われる。
公道デビューも秒読み段階か!?
ディテールを見てみると、LED4灯タイプのヘッドライトが埋め込まれたハイスクリーンはT7コンセプトから踏襲されていて嬉しい限り。フロントマスクの近未来的な雰囲気はまさにテネレ700のアイコンとなるデザインなので、市販モデルでもぜひ生かしてほしい。
また、アクラポビッチのマフラーはT7から踏襲しているが、サイレンサーの取り付けステーの形状やシート形状などからも、タンデム仕様である可能性が高いはず。シート高もT7コンセプトよりだいぶ下げられているようだ。
フロントフェンダーやシュラウド、シートカウルにカーボン素材が使われているのが目立つが、これはプロトタイプ故だろう。市販バージョンでは、外装パーツなどは耐久性とコストのバランスで見直されるはずだ。
というように、プロダクトの面でもだいぶ現実味を帯びてきた新型テネレ700。量産市販車としての公道デビューも秒読み段階にきていると思われる。楽しみに待とう。